研究所新メンバー「にけの落書き部屋。 」のにけ様とコラボで、

本誌付録のカレンダー妄想!後編です♪

こちらの話にも素敵なイラストが掲載されていますが、すべてにけ様のご了承の上

転載したもので、それ以外の方の無断コピー、無断転載、二次加工はご遠慮下さい。


では、どうぞ続きをお楽しみ下さい。



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ピコ&にけコラボde妄想カレンダー☆

『青空に鳴り響くウェディングベル』 後編

(文:ピコ 絵:にけ様)



扉が開き、入口に花嫁が登場した瞬間、皆の視線がキョーコに集まった。

温かい祝福の眼差しと拍手に迎えいれられ、緊張で腕に組んだ手にも力が入り、少し指が震えている。


父親代わりとして隣に立っているだるまやの大将は、そんなキョーコの様子に気づいて、ただ優しく微笑みかけた。


いつもは、ぶっきらぼうであまり笑わない大将の笑顔が、キョーコの心を不思議に落ち着かせ、もう一度前を向かせた。


宝石のように煌めくステンドグラスの前には、神父が静かに花嫁がやって来るのを待っていて、その前には----神々しい笑顔でずっと見つめている久遠がいた。


久遠・・・この笑顔に私は何度助けられ、勇気づけられたんだろう…

会った当初は、似非笑顔と馬鹿にした笑顔しか知らなかったのに、

いつからか、その笑顔を私にも向けてくれるようになってたわね。

最初の頃は、あまりの眩しさに、闇に堕ちた私の心が浄化されて溶けてしまいそうで、必死で心の防御壁を厚くして、固まっていたな・・・


いつからだろう…


あの笑顔に安らぎを感じられるようになったのは・・・


そして段々欲深くなった私は、あの笑顔を自分だけのものにしたい、自分以外に向けないで欲しいと、独占欲に苦しんだ日々もあった。


でも今は、ちゃんとわかったわ。


誰にその笑顔を向けていても、貴方の瞳の向こうにはいつも私が映っているって・・・


だからもう大丈夫。


私は、貴方を信じて、これからずっと貴方の隣で歩いていくの。


そこで待っててね・・・今行くから・・・


厳かなパイプオルガンの音色と聖歌隊の歌声が響きわたる中、

純白のバージンロードを大将と一緒にゆっくりと歩き出した。


嬉しそうに拍手をする参列者の一人一人に、今迄の事が思い出され、感謝の思いで胸が締め付けられる。



モー子さん、天宮さん・・・


二人とも女優業で忙しいのに、私の為にわざわざスケージュールを都合して駆けつけてくれたんでしょ。

さっきのプレゼントも、私の幸せを願い、きっと奔走してくれたんだろう…

自分の事だけでも大変なのに・・・私なんかの為に・・・・・・・・


ありがとう、モー子さん、天宮さん


二人の笑顔は、いつも大丈夫だよと、私の背中を押してくれているようで、すごく嬉しかったんだ。


いつまでも親友でいてね・・・ これからもよろしく。


社さん・・・


この日を迎えるために、スケジュール調整からマスコミ対策まで、大分無理してくれたんでしょうね。

いつも私たちの為に、親身になってくれてありがとうございます。

社さんが私たちを守ってくれたから、ここまで来ることができたんですよ。

感謝してもしきれないくらい感謝してます。

今度は、社さんが幸せになる番ですね。

いつか社さんだけを大切に思ってくれる人が現れるのを心より願っています。

本当にありがとうございました。



だるまやの女将さん・・・


決して何があっても店を休もうとしなかったお二人が、私の為に3日も店を休んで、親代わりとして出席して下さり、ありがとうございます。

お二人は、私を自分の子供のように心配して、いつでも包み込むような大きな愛情で接してくれました。

親の愛情を知らなかった私には、それが嬉しくて、どんなにか心強かったかわかりません。

ありがとうございます。

お二人に出逢えて私は本当に幸せでした。



テンさん・・・


いつも私に魔法をかけて、自信をつけてくれた憧れのミューズ。

久遠と付き合いだしてからは、何度も恋の相談を聞いてもらいましたね。

ありがとうございます。

貴方のかけてくれた魔法のおかげで、私はここに堂々と立っています。



社長・・・


全身全霊で愛を拒絶し否定していた私に

救いの手を差し伸べてくれてありがとうございます。

社長のおかげで私はこの人と出会い、

愛することを知り、愛される喜びを知りました。

やはり社長は愛の伝道師なんですね。

これからは、私も少しだけ社長を見習って、皆に愛を分け与えられるように頑張ります。



マリアちゃん・・・


ごめんなさい・・・

マリアちゃんも蓮さんが大好きだったのに、

笑って私達の交際を許してくれて、ありがとう。

絶対に久遠を大切にするから、これからも仲良くしてね。



先生、ジュリママ・・・


私たちが結婚を報告に行った時、両手を広げて喜んでくれた…

あの日の感動を私は、一生忘れません。

先生は、父親のいない私に父親の愛情を教えてくれたんですよ。

こんな人が私のお父さんだったらと夢見ていたけど、

身の程知らずだと諦めようとした時、先生は言ってくれたんです!

『親子の縁を切ったつもりはないと・・・』

嬉しかった・・・本当に嬉しかったんです。

でもまさか・・・・・本当の家族になれるなんて夢にも思いませんでした。

私を受け入れてくれてありがとうございます。

これからは、たくさん親孝行させて下さい。



久遠・・・


森で出会った妖精国の王子様---コーン

本当に、大人になって迎えに来てくれるなんて・・・

最初は不幸でも、最後は誰よりも美しくなり、誰からも愛されて

王子様と幸せに暮らすのが私の子供の頃の夢だった。

でも、大きくなるにつれて、それは叶わない夢とわかっていたのに・・・

本当に夢を叶えてくれた---

私のかけがえのない愛しい人


今日から私は貴方の奥さんになります。


夢を叶えてくれてありがとう・・・




祭壇の近くまで来ると歩みを止め、久遠が近づいてくる。

大将は、私の腕を解いて、立ち止まった。


「幸せになれよ。」とぽつりと言った言葉に、目頭が熱くなるのを、ぐっと堪えて、

小さく頷くと一人私だけ前に進み、待っている久遠の腕に手をかけた。


2人でその先・・・新しい未来の第一歩を踏み出す為に・・・


そして・・・


神父様の前に立ち、挙式がしめやかに執り行われていく。

穏やかに式は進み、最後の誓いの言葉が始まった。


『その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも----------

真心を尽くすことを誓いますか?』


ここで『はい』と答えて、誓いのキスを交わせば、二人は夫婦になれるんだ…


万感に打ち震えながら、大きく口を開き、大事な言葉を告げる。


「 はい… 」


『 バ--ン!!  バタアーーーン!!!!!』


「ちょっと待ったああ!!!」


いきなり扉を思いっきり激しく開く音に驚き振り向くと、開かれたドアに

松太郎が仁王立ちしていた。


「ギリギリ ハッハッ・・・ 間に合ったな! ハッハッハ・・・

お前、俺様に内緒で、こんな所で何こそこそとやってんだあ!!!

お前は俺の---------」


言いかけた言葉は、久遠の射殺すような視線で飲みこまれた。


一触即発の不穏な空気が今までの甘ったるい雰囲気を一気に凍らし、

周囲を緊張へと導いていく。


火花が飛び散る睨みあい


隣でおろおろするキョーコを余所に、久遠はキョーコの腰を強く抱き寄せ、

決して離すまいと自分の元に引き寄せ、更に眼光鋭く睨み付ける。


まるで切れ味鋭いナイフを切りつけるように、入口に立ってる不破を威嚇していく。


緊張する周囲の空気を破ったのは、意外な声の主だった。


「松太郎!何、勘違いさせるようなこと言っとんのや!このバカ息子!」


ポカッと後ろから頭を小突かれて

「痛てぇ~」と後ろを睨む背後から、松乃屋の女将さんと旦那さんが姿を現した。


「キョーコちゃん・・・遅うなって、ごめんね。最後のお客さんを見送ってたら、こんなギリギリな時間になってしもうたんや。堪忍してや。でも、キョーコちゃんもほんま、水臭いんやからあ。なんで私たちをあんたの結婚式に呼んでくれへんのや。

私は、あんたを本当の娘のように思っていたんやでぇ。あんたの晴れの日は、何が何でも駆けつけて、この目で花嫁姿を見たいと思っていたのに…

まあ…このアホぼんがあんたにひどぉ迷惑かけたさかい、あまり強く言われへんけど、やっぱり寂しいわぁ…」


「女将さん・・・・」


両手を口にあてて、潤んだ瞳から涙が零れ落ちる。

緩んだ久遠の腕を解いて、ゆっくりと入口に立っている3人に近寄っていく。

そんなキョーコに安堵したのか、綾乃は後ろを振り返り、もう一人の連れを大声で呼んだ。


「ほれ、冴菜さん!あんたいつまでそこで隠れとる気や。

キョーコちゃん、すごく綺麗やでぇ。あんたが贈ったウェディングドレスが、ホンマによう似合うとるわ。

はよ出てきて見てやりなはれ。」


扉の陰から、複雑な面持ちで、顔を出す冴菜にキョーコは、目を見開いて歩みを止めた。


「本当にあんたら親子は、不器用もん同士の似たもの親子やねんなぁ。

いくらあんたが忙しくして、キョーコちゃんに構ってやらへんかったからゆうて、娘の結婚式に出席出来んのは、理由にならしまへん!親には資格なんて関係あらへんやろ!遠慮なんかせずに、ちゃんとこの子の晴れの日を祝ってやるのが、親の役目や!そんな遠くにおらんと、もっと近くに来て、しっかり見てやり!あんたが選んだドレス・・・ほんまにキョーコちゃん、ように似合うて、別嬪さんやで・・・他所の男にやるのが、惜しいくらいや!」


綾乃の言葉に戸惑いながらも、ゆっくりと教会の扉の前に姿を現した。


「キョーコ・・・式を中断させてしまってごめんなさい。

私はいいと・・・

親の資格なんてないから、結婚式にも出席できないと言ったんだけど、綾乃がそれは絶対にあかん!と言って、無理やりここまで連れて来られたの----

でも、来てよかったわ。あなたのこんな美しい花嫁姿が見れて、本当によかった・・・キョーコ、結婚おめでとう。」


「お母さん…嘘・・・本当に・・・本当に・・・お母さんなの?

・・・私ね・・・私・・・・・・・このドレスを貰った時、すっごく嬉しくて、すぐにお母さんに電話したかった。お母さんにありがとうと言って……そして・・・・お母さんにも、私がこのドレスを着ている姿をちゃんと見て欲しいって、本当は言いたかった・・・

でも忙しいお母さんに・・・そんな我儘言えなくて…また拒否されるのが怖くて・・・・・我慢して・・・我慢して・・・電話もかけられなかった。

でもね・・・今日来て・・・くれた・・・お母さん・・・うううっっ・・・・こんな遠くまで来てくれて、ありがとう・・・・・・・」


ボロボロと流れる涙を零しながら、堪らず駆け寄るキョーコをそっと抱きしめた。


「ほら、そんなに泣いたら、せっかく綺麗にして貰った化粧が全部とれちゃうでしょ。さあ、早く泣き止んで元の場所に戻りなさい。花婿さんがお待ちかねよ。」


言葉は冷たく突き放したような言い方だったが、見つめる瞳は優しく、慈しむように、キョーコの流れる涙をハンカチでそっと拭っていた。

冴菜が視線を上げると、少し離れた所で二人を嬉しそうに見守っている久遠と目が合った。


「優しそうな旦那様で、よかったわね。私なんかのようになっては駄目よ。

旦那様を大切にして、幸せになるのよ。」


花婿さんに軽く頭を下げて、キョーコの身体を押し返すように離した。


「行きなさい・・・貴方の戻るべき場所へ…」


黙って頷くと、キョーコはまたゆっくりと久遠の元へと歩き出した。


神父様に頭を下げてお詫びをして、また式の再開をお願いする。


「お母様も間に合って、よかったですね。ではもう一度始めましょうか。」


「「はい!」」


『----------真心を尽くすことを誓いますか?』


「 はい 」 「 はい 」


「では、誓いのキスを」


慈しむように互いを見つめ合い、そっと手を伸ばし、新婦の白いベールをあげた。

頬を桜色に染め、静かに目を瞑るキョーコの肩に手を置くと、一歩近づいて、

ゆっくりと顔を近づける。


触れ合った唇を合図として

割れんばかりの拍手とフラッシュが二人を包みこんだ。


走馬灯のように、今までの二人の思い出が浮かんでは消えていき、

キョーコは感動でまた目頭が熱くなるのを感じていた。


いつも私の側には、久遠がいてくれた・・・


あの下弦の月の夜・・・


闇の中から私を救い出してくれた愛しい人


あれからも貴方は、ずっとあの日の約束を守って、私の側で、私が求め続けたものを与えていてくれた。


ハリウッドに『俳優 敦賀蓮』として、デビューが決まり、旅立つ朝も

『パッヘルベルのカノン』をかけて、『また明日ね』と言って、旅立って行ったんだっけ…


たったそれだけの言葉がどれだけ私を勇気づけてくれたか、

貴方は知らないでしょう。


終わりではない別れもあるんだ・・・

待っていれば、必ずまた貴方は私の元に戻って来てくれる・・・


そう信じれたのは、貴方の愛のおかげかしら。


私も貴方に負けないように、これからもっともっとたくさんの愛を貴方に注いでいくからね。


ありがとう 久遠 愛してるわ



唇がゆっくりと離れていく感触に、静かに目を開いた。


そこにはいつもの光輝くような眩い笑顔があった。


これで私は、貴方の奥さんになれたんだ・・・


嬉しい・・・


はち切れんばかりの笑顔で交わす瞳に、そっと涙する母の姿が映った。


(お母さん 私を生んでくれてありがとうございます。これからは、この人と共に

新しい家庭を築いて、幸せになるから、見守っていてください-----)





無事に挙式を終え、教会を出ると、先に出て待っていてくれた列席者達から、

たくさんのフラワーシャワーで祝福された。


「まるで夢を見ているようだわ…

ずっと憧れていたものが今、私の周りを取り囲んでいる。

久遠・・・これは夢じゃ・・・ないよね?」


「夢なんかじゃないよ。

ここで君を祝福してくれている人たちは皆、君の幸せを願い、心から祝福してくれているんだ。」


「あなたに愛されて、枯れ果てていた私の心は、甘くまろやかな清水で満たされていったわ。ありがとう・・・久遠・・・貴方に出逢えて、本当によかった。」


「俺もだよ。キョーコと出会えて、闇に怯えて動けなかった俺は、自分の闇を受け入れる事が出来た。俺のすべてを受け入れてくれて・・・愛してくれて、ありがとう。」


視線が絡み合い、見つめ合う。
誘われるように軽く唇を合わせると、幸せに満ち溢れたハニースマイルのキョーコをおもむろに抱き上げた。

キョーコは驚いて、一瞬『キャッ』と小さく悲鳴を上げたけど、すぐにまた二人は蕩けるような笑顔で見つめ合い、落ちないように久遠の肩に自分の右腕をまわす。

お姫様抱っこをして、美しい花嫁が自分の物であると独占欲丸出しで知らしめる久遠に、苦笑が漏れそうになるが、いい男の見たことのないほど崩れた相好と花嫁のはち切れんばかりの笑顔に、列席者も素直によかったと心から安堵し、残りの花びらを降らしていく。

「凄いわ!久遠、見て。バラの花びらが、太陽の光を浴びてキラキラと7色に輝きながら舞っているわ!
なんて幻想的なんでしょう・・・まるで夢の国にいるみたい!!」

「本当だね・・・凄く綺麗だ。
じゃあお姫様、そろそろこの夢の国を出発しょうか。」

「はい。」


Bubble Shower

2人は列席者が作ってくれた、たくさんのフラワーシャワーで敷き詰められた薔薇の花びらのじゅうたんの上をゆっくりと歩き出し、教会の前に止められた白いオープンカーへと向かっていった。

2人が乗り込むと、列席者達も、2人を見送ろうと側まで近寄ってくる。

久遠はキョーコに目配せをしてから、軽く頭を下げて、エンジンをまわした。
静かに動き出す車上から、キョーコは思いっきり両手をあげて、持っていた色鮮やかなブーケを、青空を高く放り投げた。


くるくる舞うブーケが晴れ渡る青空に、弧を描くように飛んでゆき、打ち鳴らされたウェディングベルが二人を祝福するようにいつまでも鳴り響いていた。



おわり



にけ様!こんな駄文に素敵なイラストをつけて頂き、ありがとうございました♪


頑張ったつもりですが…もうしわけない出来ですみません!

文才のない私なのでお許しください(スライディング土下座!!)


でも楽しかったです(*^▽^*)




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