拍手ありがとうございました!
今の所、上手く出来ているみたいなので、こちらにも付けてみます
こちらも引き続き拍手、よろしくお願いしますm(_ _ )m
「一体どうして私がここに座っているんですかあ~~」
セカンド・ラブ 27-2 -初心-
私は、昨日ジュリママに拉致られるように香港に連れて来られた
落ち込んでいる私を心配するジュリママの思いやりだと思うし
スーパーモデルのお仕事を間近で見られるのはやはり社長の言うとおり
とても勉強になると思ったから、喜んで仕事場までついてきたけど・・・
どうしてこうなるんですかああ~~
スタジオに着いた私はジュリママの後をついて
今日撮って下さるカメラマンのRYUのもとに挨拶に行った
RYUとジュリマは二人で今日の撮影についての打合せを始めたので
私は少し離れたところで二人を見ていた
何て絵になる二人なんだろう・・・
ママは当たり前のように美しいけどあのRYUというカメラマンの人も
裏方でいるには勿体無いほどカッコいい人だ
あ~いう人を渋い中年というんだろうなあ・・・
オールバックに髭が憎いほど似合っている
Tシャツにチノパンというラフな姿なのに
誰よりも様になっていてカッコよく見えるから不思議だった
敦賀さんはいつもカチッと決めているけど
こんなラフな大人の姿も惹かれるよなあ・・・
敦賀さんも、もう少し年をとったらこんな渋い中年になっていくんだろうか・・・
今も素敵だけど・・・フフフ・・・楽しみだな・・・
きっと今よりもっと素敵なおじさんになっていくんだろうなあ
クーパパみたいにww
ぼんやり考え事をしていたらジュリママに呼ばれてハッとした
「キョーコ!」
「はい!」
急いで駆け寄ると、ジュリママはニコニコして信じられない言葉を口にした
「貴方も私と一緒に撮る事になったから急いで支度をして」
「ええええ~~~どうして?私なんかが、スーパーモデルのジュリマ・・ジュリエラさんと一緒だなんて無理です!絶対無理!できませ~~ん・・・」
首を振り子のように何度も振り、両掌を二人に向けて左右に振りながら後ずさる私にRYUは
「すぐに着替えに行ってこい
今回のコンセプトは『ユニゾン』だ。最初は二人とも同じ衣装のメンズを着て同じ動きをしてもらって撮る
そしてその後、女性らしい衣装で同じように撮るが、今度は対照的なイメージにしたいから、少し難しいかもしれない・・・まあジュリについていけば何とかなるだろう・・・早くしてくれ・・・あまり時間が無い」
「ちょ・・ちょっと待ってください!
私・・・まだやるとは言ってないです!」
焦って口答えする私にRYUはギロリと睨みつけた
「あーん・・・あんた・・・『ストリッパー』に出てた子だろう?
何ふざけた事言ってんだ?あんたのような新人がジュリと一緒に撮って貰えるなんて、普通はありえないんだぞ・・・こんなチャンスは滅多にない・・・
それなのになんでお前は、俺に口答えする?あんた何か勘違いしてないか?
思い上がるのもいい加減にしろ!」
「私は別に・・・思い上がってなんかいません・・・ただ・・・」
「すみません。うちの新人が生意気な事を言いました。すぐに着替えさせますのでお許し下さい」
突然入ってきた水沢に頭を押さえつけられ一緒に頭を下げて、急いでスタジオを出て行った
「水沢さん、どうしてここに?」
「ああ~、昨夜社長から電話があってな・・・ジュリが撮影にお前も連れて行ったから、念のために俺にも香港へ飛ぶようにと指示があってな・・・間に合ってよかったよ・・・・・・・
お前・・・あのRYUというカメラマン、知っているか?」
「いえ・・・知りません・・・」
「ハア・・・やっぱりな・・・RYUは、最近めきめき頭角を現しているカメラマンで、元は戦場カメラマンという異色の経歴の持ち主なんだ
彼の撮る人物はみんな生き生きしている・・・モデルの一番魅力的な表情を引き出してくれるんだ・・・そして外側だけではなく内面の美しさも彼は作品に映し出してくる・・・だから、彼に撮られるモデルは皆、気合を入れて撮影に臨む・・・そうしないと、自分の醜さまで映し出されるからな・・・怖いぞ・・・彼は・・・だが、それ以上に撮って貰いたい相手でもあるがな」
「・・・・そうなんですか・・・」
「彼は口は悪いが、人を見る目はあるぞ。彼は例えどんな偉い人に頼まれたからといって、気に入らなければ、どんな奴だって撮らない。お前は、彼に気に入られたんだ。ありがたいことなんだぞ!それを何断ろうとしていたんだ!お前、いつからそんなに生意気になったんだ?」
「別に私はそんなつもりは・・・ただ私なんかがジュリママのパートナーなんて畏れ多いと思っただけで・・・」
「それを生意気というんだ。口答えはするな!お前は、いつからそんなに偉くなった?新人のうちは、黙って与えられた仕事を全て全力でこなす!それが当たり前の事だ・・・お前に出来るかどうかは相手が決めるものだ。お前はいちいちそんな事を気にしなくていいんだ」
「すみません・・・」
しょんぼりと肩を落とすキョーコに水沢は厳しい表情を緩め、頭をぐしゃぐしゃとした
乱れた髪を手で抑えて少しムッとして見上げるキョーコの頭を今度は軽くポンポンと叩く
「お前は、少しチャックに大事にされすぎたな・・・
アメリカでのお前の仕事は全てあの人の目を通していたから、おかしなものは一つもなかった
全てお前のステップ・アップに繋がるものばかりだった
その上、彼が直接お前にオファーを持ってくるものだから、お前もチャックに言いたい放題だったろ?」
「それは・・・」
思い当たる節がありすぎて言い返す言葉もなく項垂れていた
「それが今、幸か不幸かお前の態度に出ているんだ
だから、生意気と言われる・・・お前にその気がなくともな・・・
もう少し自分の態度に気をつけて、謙虚でいろ」
「はい!すみませんでした」
綺麗なお辞儀で謝るキョーコに水沢は言葉を付け加えた
「但し、仕事は大胆で構わないから。皆をあっと言わせて来い!」
「はい!!」
キョーコは水沢の言葉に大きく返事をすると、着替えをするためメイクルームに入っていった
しばらくして部屋から出てきたキョーコは
まっすぐの黒髪のフロント部分をとさかのようにボリュームを付けねじってピンで留め、後はワックスで撫でるようにして綺麗に後ろで一つに纏め上げて、洗礼された男性の姿で現れた
タートルネックのシャツにストレートのノータックのパンツをはき
その上から濃いグレーのスタンドカラーのロングコートを羽織って体のラインを隠し、メークはナチュラルだが、目元はシャープな印象のアイメークを施され、本物の男性のようにすら見える
後から出てきたメイクの人も最高の出来栄え!と褒め称えてくれたので、私はつい調子にのってしまい、いつも敦賀さんがする仕草を真似て似非紳士笑顔でお礼をいうと、周りにいた女性スタッフは皆真っ赤になって、私の方をぼんやり見ていた
あれ?少しやりすぎた?
でも、さすが敦賀さんねww真似しただけで、女の人をメロメロにさせるなんて・・・
抱かれたい男1位を不動のものにしているだけあるわ
キョーコは蓮の真似をしたから、みんな真っ赤になっていると思っていたが、実際のキョーコは女性らしい整った顔立ちをシャープにメイクする事で、中性的な魅力に溢れ、清潔感のあるセクシーな男性に仕上がっていた
そんないい男(中身女性)が爽やかな笑顔を振りまけば、周りにいる女性スタッフの心は簡単にさらわれる事に当の本人は全く気づいておらず、ただ敦賀さんの真似をしたからだと思っている辺りが、キョーコんの昔とちっとも変わっていない所以だったのだが・・・
キョーコがスタジオに入ると準備をしていたスタッフがみんな、どよめきながらキョーコを見ていた
「ジュリのいう通りだったな・・・見事に化けやがった・・・面白い」
先に準備を整えていたジュリは、キョーコを見て、RYUに顔を戻すと、したり顔で微笑んだ
キョーコと同じ衣装を身にまとい、綺麗なブロンドを後ろに撫で付けるようにして一つに束ねた美丈夫な男性に扮したジュリは、クオンを思い出ださせるノーブルな大人の男性に仕上がっていた
そんなジュリに、指をファインダーのようにあわせ、そこからジュリを覗き込み、次にそのままスライドさせてキョーコを映し出した
何も言わずニヤリとしたRYUは、用意してあったカメラの方へと歩いていった
キョーコはRYUに近づいて挨拶してもう一度先ほどの非礼を謝ると、すぐにセットに入りジュリとともにスタンバイをした
黙ってカメラを覗いているRYUにアシスタントが声をかける
「何か音楽でもかけましょうか?」
「ああ~音大きめで」
「ポラOKです!本番行きます」
ジシャッ ジシャッー ジー ジシャッ ジシャッー
カメラのファインダー越しにひたすらシャッターを切り続けるRYUの指示がスタジオを緊迫させていく
「少し動いて」「キョーコ表情固い!」「笑いすぎ!」「もっと抑えて」
「音楽に合わせて」「立ち位置変わる!」「はい、そこ背中合わせ」
「遅れた」「ジュリをあまり見ない」「感覚を研ぎ済ませろ」
次々に飛ぶ指示にあわせるようにキョーコは必死でジュリエラについていった
ジシャッ ジシャッー ジー ジシャッ ジシャーーッ
「へぇ・・・いいじゃん・・・あの子…勘のいい子だなあ」
「ああ・・・最初はぎこちなかったけど、ジュリについていって、どんどん良くなってきている
あのRYUがもう指示する事も止めて、黙ってシャッターを切っているぜ」
「んん・・・こんなに吸収のいい子を見るのは、初めてだな
最初はちょっと生意気な子だなあと思ったけど、戻ってきたら、そんな雰囲気も無くなっていたしな
マネージャーに叱られたか?まあ素直なのも、新人のうちは伸びる要因だ」
「よしOK!次着替えて、またすぐに撮るぞ」
「おい、その間にセットチェンジ!早く!」
慌しく動くスタッフの中をすり抜けるようにセットを降りて
メイクルームに戻る道すがらキョーコはジュリに声をかけた
「ジュリママ」
「なあに、キョーコ?」
コートを脱ぎながら、振り向いたジュリにキョーコは思いっきり頭を下げた
「さっきは、すみませんでした!
私・・・ジュリママと一緒に撮影できて楽しかったです。ありがとうございました」
「もぉ~可愛い事言ってくれるわねぇ~」
キョーコをぎゅっと抱きしめると、身体を少し離してキョーコの両頬を手で挟んで自分の方に顔を向けさせた
その瞳はいつもの優しいジュリではなく厳しいプロの目になっていた
「次は、リサ、あなたの役柄は妖艶な美女だから・・・
思いっきり色っぽく演じるのよ・・・しっかりついてきなさい!」
「はい!」
ジュリエラの言葉に、キョーコは表情を引き締め、気持ちを切り替えると急いで次の準備を整えるべく、メイクルームへと入っていった
つづく
いつもの事だけど長くなってしまう~
次、27-3になるか28かは書いてみないとわかりません
早く馬の骨対決書きたいよお~
『ピコ頑張る!』って自分で言い聞かせてますσ(^_^;)
試験的に、web拍手を付けております
どうぞ皆さんポチっと押してやってください
ピコのやる気スイッチですww