今回のお話には、少し具体的な病気の描写が入ります。知識に乏しいため、間違った点があるかもしれませんが、個人の妄想ということでご了承下さい。
またまわりに同じ病気で闘っている方がいらっしゃって、このお話を読んで不快に思われましたら申し訳ございません。
あくまで私の勝手な妄想なので、どうぞご容赦下さい。
では、つづきをどうぞ。ドクターの病状の説明です。長くなったので、2つに切ります。
診察が終わると、看護師の人に案内されて、ナースセンターの隣の小さな部屋に通された。
「こちらにて少しお待ち下さい。後で、ドクターが説明に伺います。」
「ありがとうございます。」
私は、お辞儀をして顔を上げると、辺りを見回した。
テーブルと椅子が4脚、ホワイトボードにレントゲン写真を見る機械、他には何もない殺風景な部屋で、消毒薬の臭いがやたらと鼻につく。
お母さん、あの後一度も私のほうを見なかったなあ。
ずしっと暗い気分で沈み込んでいたら、ドクターとさっきの看護師さん、後一人見知らぬ人が入ってきた。
「すみません。お待たせしました。こちらは、通訳の高橋です。これからは、彼に通訳してもらいながらご説明いたします。何か判らないことがあれば、何でもご質問ください。」
高橋と紹介された人が軽く会釈したので、私も
「はじめまして。娘のキョーコです。よろしくお願いします。」
と挨拶して深くお辞儀をした。
レントゲン写真をセットして、母のカルテを見ながら、ドクターは説明を始めてくれた。
あなたのお母様は、先日貧血でこちらの病院に運ばれてきました。しかし少し気になる点がありましたので、そのまま入院していただき、精密検査をした結果、胃の方に腫瘍が見つかりました。
残念ですが、悪性です。お若い事もあり進行も早いようです。こちらのレントゲン写真を見ていただけますか。
こちらに少し黒く影になっている部分が腫瘍です。言いにくいのですが、他の箇所にも転移が見られます。
段階で言えば“ステージ4”になりますね。今の状態では、手術も難しく、余命は、そう...半年という所でしょうか。
淡々と説明をするドクターとMr.高橋を見ながら、私は目の前が真っ暗になった気がした。
嘘だ!絶対何かの間違いだ!さっきはあんなに元気だったじゃない。そうだ、何かのドッキリじゃないかしら。
まったくこんなペーペーの新人にお金をかけて手の込んだことするわね。きっとどこかにカメラが隠されている筈だわ。
キョロキョロと辺りを見廻していると、ドクターに声をかけられ視線をドクターに戻した。
「大丈夫ですか?最上さん。急なことで驚いたでしょうが、あなたがしっかりしないといけないのですよ。たった一人の肉親でしょう。」
「はい…」
私は、力なく返事をした。
3-2へ続く