20XX111

 

この日は脳SPECT検査を受けた。

 

薬剤を注射するために検査の一時間前に看護師さんに点滴ルートを確保してもらったが、針が刺さるのがあまりにも痛くて苦痛だった。

 

感覚過敏のせいで痛みにも敏感になっていたので仕方ないが、毎回のように痛がられて恨まれる看護師さんも気の毒なものだと思う。

 

SPECT検査は脳の血流状態や働きを調べるもので、HANSの患者さんに対しては神経症状の原因が脳にあるかどうかを確かめるために実施される。

 

検査の際には微量の放射線が含まれた薬剤を注射し、その薬剤が集積した部位から出される微弱な放射線を感知し、画像化するという検査だ。(https://himeji.hosp.go.jp/dep/radiology/spect.htmlより引用)

 

検査の副作用として頭痛や嘔気があるとのことで、実際に検査終了後30分ほどで頭痛が始まった。

 

SPECT検査の副作用について調べてみたところ、副作用はほとんどなく、稀に嘔気が現れることがあるとのことだった。

 

私は検査にあたってほぼ間違いなく一時的な頭痛などの副作用が起こると聞かされていたため、ネット情報との温度差に思わず愕然とした。

 

子宮頸がんワクチンも脳SPECTも、表向きには「ほとんどない」とされる副作用は普通に存在するのだ。言い方とは大切なのだと嫌でも実感させられる。

 

そんな脳SPECT検査の結果、脳血流の低下が認められたとのことだった。

 

この日の夜、それが体調不良の原因を作り出しているのだと入院棟の面会室にて両親に説明された。

 

それまで一連の体調不良は単なる「不調」であり病気ではないのだと言い聞かされ続けてきたため、この時自分が初めて「病気」なのだということを突き付けられて戸惑った。

 

父が敢えて気丈に振る舞い、母が目に涙を滲ませていることに気付いてしまい、両親の苦悩や悲しみがひしひしと伝わってくるようでとても辛く、私も泣きそうになったが我慢した。

 

なんとなくの感覚でしかないが、自分が泣いたら大切な何かが崩壊するような気がしてならなかったからだ。

 

とはいえ基本能天気で何も考えていない私は病室に戻ってしばらくすると、脳血流のことなどほとんど頭から抜け落ちてしまっていた。

 

飽きもせず何時間も数独だの前日に駄菓子屋で買ったルービックキューブだのに興じているうちに午前三時になったので、決して眠くはないが仕方なく寝ることにした。