双極Ⅱ型障害に関するエビデンスは少なく、治療薬剤についての堅牢なエビデンスはクエチアピンくらいである。
しかしクエチアピンは傾眠の副作用、メタボリックなリスクも多く、初めから出すには憚られる・・・
そこで、双極1型障害のデータを「外挿(extrapolation)」して考える人が多い。こうして世の双極Ⅱ型障害の患者さんに気分安定薬やら何やらが処方され、良くなれば良いが抑うつが遷延したまま「次の一手なし」といったことが多い。
先日、某有名精神科医Youtuberが、「ラモトリギンやクエチアピン、オランザピンにリチウムすべて試したが良くなりません。どうしたらよいですか」と聞かれ「これは分からないですね」「心理社会的治療も考慮したほうが・・・」などと答えていて、「コイツだめだ」と感じたことがある。
この場合、試すべき一手は「ベンラファキシン(イフェクサー)」「エスシタロプラム(レクサプロ)」である。
オランザピン(ジプレキサ)を併用すれば、(欧米で双極性うつ病に適応のある)「オランザピン・フルオキセチン」みたいな薬効も期待できるため、試してみても良い。
とにかく、躁転に注意する気概さえあれば、抗うつ薬を投与してはいけない理由はないのだ。



