双極Ⅱ型障害に関するエビデンスは少なく、治療薬剤についての堅牢なエビデンスはクエチアピンくらいである。

しかしクエチアピンは傾眠の副作用、メタボリックなリスクも多く、初めから出すには憚られる・・・

そこで、双極1型障害のデータを「外挿(extrapolation)」して考える人が多い。こうして世の双極Ⅱ型障害の患者さんに気分安定薬やら何やらが処方され、良くなれば良いが抑うつが遷延したまま「次の一手なし」といったことが多い。

 

先日、某有名精神科医Youtuberが、「ラモトリギンやクエチアピン、オランザピンにリチウムすべて試したが良くなりません。どうしたらよいですか」と聞かれ「これは分からないですね」「心理社会的治療も考慮したほうが・・・」などと答えていて、「コイツだめだ」と感じたことがある。

 

この場合、試すべき一手は「ベンラファキシン(イフェクサー)」「エスシタロプラム(レクサプロ)」である。

 

オランザピン(ジプレキサ)を併用すれば、(欧米で双極性うつ病に適応のある)「オランザピン・フルオキセチン」みたいな薬効も期待できるため、試してみても良い。

 

とにかく、躁転に注意する気概さえあれば、抗うつ薬を投与してはいけない理由はないのだ。

エスシタロプラム(レクサプロ)は双極Ⅱ型障害に積極的に処方できる。

CANMATガイドライン参照。

 

双極Ⅱ型障害の維持療法第1選択がクエチアピン、リチウムなどで、第2選択がベンラファキシン、第3選択がエスシタロプラム(三行目)となっている。

判で押したように『双極性障害には抗うつ薬は処方できない』と言っている精神科医は反省してくださいな。

パキシルをやめさせられたのは、妻による過介入であった。

やめてから、うつ地獄に陥り、ラミクタール200㎎まで増やすも効果不十分。

 

結局、パキシル再開、30㎎でようやく落ち着いた。

 

その後、(リチウム併用下で)パキシルをレクサプロ10㎎に置換。

経過安定するも、更なる改善を目指しレクサプロをトリンテリックス10㎎に置換。

→うつ転→トリンテリックス20㎎に→改善→かなり経ってから突然のうつ転。

4月16日、トリンテリックスをレクサプロに戻すも改善せず。

5月10日、激うつのためパロキセチン20㎎から再開。

5月22日、パロキセチン40㎎へ。それでも効果が現れず、6月14日ついにオランザピン導入。

 

現在の処方は6月14日以降↓

 

リチウム    600㎎

パロキセチン  40㎎

エスシタロプラム10㎎
オランザピン  7.5㎎(5~10㎎で自己調整)

 

昨日からようやく楽になってきた。

いま、岡田先生の『カサンドラ症候群』という本を読んでいる。


攻撃性の分類が興味深い。

とりいそぎ、メモ。


治療により多くのステップ(ひとつの薬が効かないから次の薬)を要した患者群より、少ないステップしか要しなかった患者群(例:はじめに投与した薬で寛解)の方が長期予後が良い(再燃率・再発率が低い)という論文。


そりゃそうだろうなという感じ。
流し読みでいいや。

イノシトールはうつ病や双極うつ病に対して有効かもしれないと一部で言われていて、いくつかの小規模な臨床試験でそれが示唆されている。

ただしいずれの試験でも統計学的に有意差は検出できていない。

これはそのサンプル数の少なさに起因するもので、もしかしたら本当は有用かもしれない。

↓参考
https://www.myprotein.jp/thezone/supplements/about-inositol/

ちなみに、その蔡に用いられたイノシトールの用量は12g/day


ふつうのサプリの一日一粒の含有量が750mgとして、その16倍!

これは少し厳しい、、、


なお、僕が参照しているガイドラインでの推奨グレードはAからEのうち「D」でしたorz
http://okspe.yomiuri.co.jp/reader/view/topic.jsp?tpid=473899

↑この記事はかなり示唆に富むのだが、
ぼくが、個人的に「だめな精神科医」だと考えている場末先生が、ぼくと正反対の見解を示しているので、それについて今後触れたいと思います。