写真家・福岡将之/旅の記憶は宝物

写真家・福岡将之/旅の記憶は宝物

日本、アジアの国々などで撮った写真と、旅の記憶や、旅先で考えたこと、見つけたものなどを短い文章を綴ります。

(撮影地・東京)

 

身の回りにある、

日常によく見慣れているものでも

カメラのファインダーを通して、

ちょっと普段とは違う見かたをすることで、

それが、アート作品のようになることがある。

 

この写真は、ゴミ集積所に置かれていた

カラスよけのネット。

 

折り重なったブルーの編み目の線が美しい。

 

普通は見過ごしてしまうものに

そのものの本来の姿とは異なる

別の価値を与えることができるのも

写真の力だと思う。

(撮影地・シンガポール、Buddha Tooth Relic Temple)

 

シンガポールのチャイナタウンに

お気に入りのスポットがある。

 

シンガポールに滞在中は、

ほぼ毎日、その場所に行った。

 

Buddha Tooth Relic Templeというお寺だ。

 

シンガポールの財力を注ぎ込んだような

とても煌びやかで豪華な寺院だ。

 

建物の4階にエレベーターであると、

ブッダの歯が収められているという

黄金の部屋がある。

この寺のもっとも大事な場所だ。

 

その御堂の両脇は、瞑想コーナーがあって、

誰でも自由に、そこに座って、

瞑想することができる。

そこで、20分ほど座禅をするのが僕の日課だった。

 

エアコンも適度に効いていて、

静かな快適な空間なので、

暑い外を歩き疲れたら、

そこで座禅しながら休憩した。

 

繰り返しスピーカーから流れる

単調だが、ゆったりした

歌のような旋律のお経を聴きながら

目を瞑って座っていると

脚も頭の中も休まるようだった。

 

そのお経のメロディは、今でも、

目を瞑ってその空間を思い出すと、

頭の中に自然に流れてくる。

(撮影地・ラオス、ルアンパバーン 弟2号)

 

僕にはあちこちの国に兄や弟がいる。

たぶん10人以上。

 

ラオスにも、タイにも、

台湾にも、ミャンマーにも、

シンガポールにも、香港にも、

中国にも、マレーシアにも。

 

もちろん本当の兄弟ではない。

 

一人旅の旅先で知り合った

ガイドさんとか、運転手さんとか、

ボートの船頭さんとか。

 

なぜか彼らはすぐにBrotherと言ってきた。

 

ただ、「Hey,Brother!」と

アメリカ人みたいに

友達を呼びかける表現ではなく、

 

「今日からお前は俺の弟だ」とか

「俺の兄貴になってくれ」

といったノリだ。

 

そして会話の端々に

「俺たちは兄弟だから…」と言って、

とても親切にしてくれた。

 

最初は、ちょっとびっくりしたので、

カモにされるのではないかと警戒していたが、

どうやらそういうことでもないらしい。

 

兄弟と言われるのも慣れてきたので、

途中から兄2号とか弟4号とか思うようにした。

 

義兄弟たちは、

食事をご馳走してくれたり、

幼馴染みの集まりに招待してくれたり、

生まれてばかりの息子を自慢げに見せてくれたり、

バイクのうしろに乗せてくれたり、

仕事を休んで観光に連れて行ってくれたり、

空港まで送ってくれたり、

困ったことがあったら、親身に助けてくれたり…

 

今もSNSで

やりとりが続いている人もいれば、

その旅が終わったら

それきり連絡できない人もいる。

 

義兄弟というと三国志みたいだが、

アジアの国々では、男友達はすぐに

義兄弟になってしまうようだ。

 

彼らは元気に暮らしてるだろうか。

 

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ブログのタイトルを変更しました。

 

(撮影地、モンゴル、ハラホリン オルホン川)

 

モンゴルのオルホン渓谷は、

首都ウランバートルから西へ約360 kmに在る

モンゴル中央部のオルホン川両岸に広がる渓谷だ。 

 

その景観は、2000年以上に渡って培われてきた

遊牧民の伝統を例証するものとして、

ユネスコの世界遺産に登録された。

 

川沿いの草原を4WDの車で移動していた時、

遊牧民のゲルがあったので、

運転手さんが立ち寄ってくれた。

 

すると、2人の上機嫌の酔っ払った青年が

真っ赤な顔で肩を組んで千鳥足でやってきた。

 

薄暗いゲルの中に案内されると、

中に家族が煌びやかな民族衣装の正装で

ベットに座っていて僕達を歓迎してくれた。

 

どうやら酔った青年の一人の結婚式の前日で、

皆でお祝いをしていたところだったようだ。

 

ゲルの中は、ベッドが4台と真ん中にストーブ。

チンギスハンの肖像が飾られた小さな箪笥が一竿。

 

移動しやすいように、

少ない荷物のシンプルな暮らし。

この家族よりも、

一人暮らしの僕の部屋の方が荷物が多そうだ。

 

ベットに腰掛けると、

グラスを「はいっ」と手渡されて、

ウォッカを並々と注がれた。

 

言葉は通じないが、

グラスを逆さまに振るゼスチャーで、

「飲み干せ」といった。(と思う)

 

アルコール度数の強い酒の代表ウォッカなんて、

小さな盃でチビチビ舐めるように

飲むものだと思っていたので、

グラス一杯はさすがに無理かと思ったが、

ここは飲み干すのが礼儀なんだろうと、

頑張って一気飲みした。

 

すると、すぐに今度は

ストーブの横に置かれた黒く大きな甕に中から、

白い馬乳酒をお椀一杯に注いで渡された。

 

舌がジーンと痺れるような

ヨーグルトドリンクのようなお酒だった。

 

お世辞にも美味しいとは思わなかったが、

珍しい体験なので頑張って2、3口飲んでみた。

 

あとで聞いたが、

遊牧民にとって馬乳酒は貴重な栄養源で、

食事はほとんど

この馬乳酒と干し肉なんだそうだ。

 

大量のウォッカと馬乳酒を飲んだが、

意外と僕は酔わなかった。

 

一緒にいた僕の友人は、

馬乳酒がダメだったらしく、

その遊牧民家族のゲルを離れてすぐお腹を壊した。

 

車を停めてもらって、

草原の中に慌てて走って行き、

小さな岩陰にしゃがみ込んだ。

 

ギリギリセーフで緊急事態を脱した友人が、

隠れた草原の中の小さな岩は、

どうやら世界遺産オルホン川流域に残る

遺跡の一部の岩だったようだ。

 

もう14年も前のこと。

(撮影地・中国、北京)

 

20代の頃、

当時勤めていた会社の中国出身の同僚の

里帰りに同行して

中国の山西省の田舎の街を訪ねた。

 

初めての中国旅行だ。

 

その街では、当時、

誰も外国人を見たことが

なかったのではないだろうか。

 

友人のお母さんが僕を見て

「日本人は髭が濃いんだね」とおっしゃった。

 

(たまたま、3日ほど

髭を剃っていなかっただけなんだけど・・・)

 

僕も含め、ついつい、

ある外国人を見て、

「○○人は~~だよね。」

と、その国の人の特性を一般化して

言ってしまうことがある。

 

でも、当たりまえだが、日本人にも

いろんな特性、いろんな価値観、

考え方を持っている人がいる。

 

髭が濃い人もいれば、

ほとんど無い人もいる。

 

ほんの数名のサンプルから

その国民の特徴や国民性を

一般化することはできない。

 

でも、たまたま出会った人を見て

「タイ人って、こうだよね」とか

「シンガポール人って・・・」と

思ったり、言ったりする。

 

ということは、

特に外国に行ったときには、

自分も周りからそう思われている、

ということ。

 

僕一人の容姿や言動を見て

「日本人って~だよね。」

と、日本人全体の特性だと

一般化されかねない。

 

僕みたいな、たった一人のサンプルでも、

(しかも、自分でも僕は一般的ではないと思う)

日本人代表として扱われるかもしれないから。

 

なので、日本にいる時よりも、

外国では、自分の立ち居振る舞いに一層気を使う。

 

せっかく一般化して見られるのなら

「日本人って礼儀正しい」とか

「日本人って綺麗好き」とか

僕を見て、日本人全体にプラスの印象を

持ってもらえるようにしたいと思う。

 

 

 

 

 

(撮影地・タイ、プーケット島)

 

プルメリアの花は、南国のリゾートを代表するような花で

よくホテルのプールの横に植えられています。

 

なので、プールの水面に、

落ちた花が浮かんでいるのを見かけます。

 

この花は、タイでは、昔「ラントム」という名称で呼ばれていましたが、

タイ語の「辛い、悲しい」を意味する言葉(ラトム)の音に似ていることで、

悪いイメージで好まれていませんでした。

 

プラテープ・シリントン王女が

「リーラワディー(美しい女性という意味)」と呼び名を変えてから

人気の花となったそうです。

(撮影地・タイ、プーケット島)

 

タイのプーケット島のリゾートホテルの

廊下に置かれた灰皿。

 

灰皿には、砂で優しい顔が描かれて

プルメリアの花が添えられていました。

 

おもてなしのひと工夫も

ここまでやると、ひとつのアート作品です。

 

一手間をかけることで、

小さな感動を生みだすことにつながります。

 

これに、タバコの吸い殻を捨てるのも

勇気がいるでしょうが・・・

 

(撮影地・ラオス、ルアンパバーン メコン川)

 

風景写真を撮るときに、最も大事なことは、

自分がどこに立つのかということだと思っている。

 

三脚を立てる場合にも、

「あと10cm右」とか微調整をしながら、

手前にあるものから遠くのものまでの見え方を確認する。

 

立ち位置によって、見える風景が違うというのは、

何も写真だけの話ではないのではないかと思う。

 

会社でも、家庭でも、友達付き合いでも

立ち位置によって、同じものを見ていても

きっと見え方が違うはずだ。

(撮影地・タイ、プーケット)

 

最近は、お互いに忙しくて、

一緒に旅行に行く機会も無くなったが、

以前、よく友人と一緒にアジア旅行に行っていた。

 

僕は長く休めたが、友人は2泊3日だけ。

 

なので、僕は先に出かけて、他の場所を回って、

途中、合流して、2、3日一緒に旅行をして、

その後、また僕一人で旅行をする、

という旅程になる。


その友人と最初に一緒に行った国はタイ。

僕にとっては、初めての東南アジア旅行だった。

 

友人が指定してきた集合場所は、

タイのバンコクの

とあるセブンイレブンの前だった。

しかも夜20時。

 

海外で、夜に現地のコンビニ前に集合できる友人は

なかなかいない。

 

お互いに旅慣れていないと、

そんな約束はできないと思う。

 

そういう旅慣れた人との旅は

少々のトラブルがあっても動じないので、

気楽でいい。

(撮影地・マレーシア、マラッカ)

 

カメラを始めて、はまりだすと

あれこれ交換レンズや、

新しい機種が欲しくなって、

機材がどんどん増えていく。

 

僕も同様に、昔フィルムで撮っていた頃は

35mmから8x10(エイトバイテン)という

超大型カメラまで、

さまざまなサイズのカメラ、レンズを持っていて

全部を並べると、床を覆い尽くすくらいだった。

 

しかし、今は、好んで使っていたフィルムも

印画紙も製造されておらず、

もっぱらデジタルでの撮影となった。

 

もう使わないカメラは、

中古買取業者に家に来てもらって

買い取ってもらった。


手放す前は、

「あんなにお金をかけたんだから」と

うじうじと悩んでいたが、

思い切って手放した後は、

すっきりと身軽になって

気持ちも楽になった。

 

体は一つなんだから、

カメラも実際に使っているものだけで十分だ。

特に旅先では、機材は少ないほうがいい。

 

デジタルカメラも数台保有していたが、

今はもう、本体2台(1台は予備)、レンズ3本

(広角〜中望遠のズーム、望遠のズーム、マクロ)というシンプルな構成だ。

 

レンズのうち、8割くらいの撮影は、

広角〜中望遠のズームレンズ1本で撮影している。