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ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

光石さん出演映画ラッシュ2作目。

これは観ようかどうか、しばらく悩んだ。

というのも自殺強要と飛び降り未遂の描写が

予告編にもあったので。

内容的にも重たそうだし

どうしようかなぁと悩んでいたところに

登場人物ごとの短い予告編がお出しされて

光石さん演じる段田重春校長の

「自分の蒔いた種だろ」

の言い方の冷たさにゾッとして

観に行くことを決めた。



そもそも、予告編自体がかなり謎だった。

主人公である小学校教師、薮下は

クラスのとある男の子にエグい体罰をして

冒頭にも書いた通り自殺を唆す。

で、被害者の男の子の両親が

学校に抗議をしたうえで

薮下に対して訴えを起こす。当然だ。


が、薮下は読み上げられた罪状について

「真実はひとつもない。やってない」

と否認する。

本来の薮下は子供が大好きで

保護者からの信頼も厚い、良い先生だった。

とても生徒に体罰をするような先生ではない。

予告の短い時間の中でも

前半と後半では全くの別人のように

描かれている。

どういうことなんだ…?



ここからは先はネタバレになるんだけど




つまり、「でっちあげ」だった。


すべて、被害者と思われていた男の子と

その保護者による「でっちあげ」


薮下は体罰なんてしていない。

指導の一環として、手の甲で軽く男の子の頬に

ペシペシと触れたことはある。

けどそんなのは体罰にもならない。

しかし校長や教頭は耳を貸そうとしない。

とにかく謝罪しろ、と強要してくる。

言われるがままに、やってもいない体罰を

やったと認めて保護者会で謝罪をする。

認めたことで保護者たちからの信頼も失う。

マスコミも、男児の保護者の言葉だけを信じて

裏どりもせず世間を煽る。

煽られた世間は盲目的にマスコミを信じて

薮下を「殺人教師」と批判する。



マジで観ていて辛い映画だった。

どんどん事態が悪くなっていく。

どんどん追い詰められて憔悴していく主人公。

それでも家族は味方になってくれて

できる限りのことをしてくれたし

唯一、弁護を引き受けてくれた弁護士も

ちゃんと主人公のことを信じてくれた。

それだけが希望だった。

この弁護士がずるくて、見た目は

心配になるほど飄々としたおじさんなのに

「いいですか、裁判は戦争です」

と言って全力で戦ってくれる。

いやぁ、カッコいいが……???



光石さんはというと、最初に書いた通り

主人公の小学校の校長先生役。

主人公の言葉に耳も貸さずに…と書いたけど

1番最初に男児の保護者が乗り込んできたとき

「え、うちの薮下がですか……?」

とビックリしている描写があったことからも

主人公が生徒や保護者から慕われてることは

分かっていたんだと思う。

ただ、男児の保護者の圧と

薮下も一部言動を認めたことから

(手の甲で触れた件とか。体罰ではないけど)

保身第一に考えて

「とにかく謝って」

「心を込めて謝罪するんです」

と謝れマシーンになったんだと思う。


段田校長は、あと1年数ヶ月で

定年退職という立場だった。

そりゃ、薮下がやってようがなかろうが

保護者の怒りをおさめて

無事に平和に定年まで勤め上げたいだろう。

先週観たフロントラインの轟もそうだけど

主人公の敵ではあるけど

悪役ではない、絶妙なキャラクター。


個人的にロストジャッジメントというゲームの

江原というキャラクターを拗らせていて

光石さんを知ったキッカケも彼なんだけど

江原は罪を犯して法廷の証言台に立つ

印象的なシーンがある。


で、今回、段田校長も一連の体罰の

事実確認のために証言台に立たされた。

光石研が証言台に立っている映像は

江原以外で初めて観たので

大袈裟じゃなく息が止まったし動悸がした。

それはあかんて。予告で一切出さなかったのに

急に出されたらダメだって。

主人公の弁護士から突っ込まれて

目を泳がせしどろもどろに答える

段田校長のアップの映像が続いて最高だった。



この映画、さっきも書いた通り

とにかく辛くて重たい映画だったのだが

忘れてはいけないのは

実話が元になっている映画だということ。


これは20年ほど前に実際に起きた事件。

実際に体罰の冤罪をかけられて

マスコミや世間から叩かれて

停職になって社会的に抹殺された

小学校教師がいたらしい。

あくまでWikipediaの情報だけど

少なくともこれを読むと

映画の内容そのまんまじゃん…と驚く。

でっちあげられた体罰の内容も

校長がとった行動も

男児の保護者がついたウソも

マスコミの杜撰さも

映画で観たままのことが書かれている。

関係者だってまだ全然存命だろうに

この映画を観て何を思うんだろう。


もうちょっと、ちゃんと知りたくなって

原作も買ってしまった。