残暑お見舞い申し上げます。

 

皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか?

今年の夏はこちらベルリンも大変な猛暑で、気温も40度近くまで上がった日もありました。

クーラーが一般的に普及されていないドイツでのこの暑さは暑がりの私には苦行でしたが、なんとか無事に乗り切りました。

昨日からベルリンでは新学期が始まりましたが、気温の方もだいぶ落ち着き、やっと過ごしやすくなりました。

 

さて、今日は今まで手元にしまいこんだままだった友人Sさんからの寄稿を公開させていただきます。

もちろんご本人の了解済みです。

Sさんは私の高校時代(芸高)の仲良しの友達です。

彼女は有名なピアニストのお弟子さんで、クラスでもトップクラスのよく弾く人だったのですが、高校二年の秋に急に進路を変え、一般大学へ進んでしまいました。彼女がピアノをやめたことは、当時の私たち同級生にとっては青天の霹靂で、大きなショックを受けたものです。先生方も随分思い留まるよう声をかけていたと聞いています。

しかし、彼女の決心は固く、 現役で有名大に合格して、音楽界から離れていきました。

大学では歴史学を専攻し、今でも引用される論文も書いたそうです。

 その後同業の研究者の先生と結婚し、4人のお子さんの母となり、子育てに明け暮れる日々を送りました。

長い間、ピアノの蓋は閉められたままでした。

しかし、子供達の手が離れた時、彼女に音楽が戻ってきたのです。

今では生き生きとピアノを楽しみ、リートの伴奏もしています。

昨年末、その懐かしいSさんから彼女の演奏動画と共にアドバイスの依頼を受けて、すぐにお返事しました。

再び音楽を見出した彼女に私のアドバイスがお役に立てば、こんな嬉しいことはありません。

 

そうして私のアドバイスを受けた後、私の宣伝紹介用にと彼女が寄稿してくれた推薦文が以下のものです。

 

Sさんの推薦文より・・

 

私は、小宮尚子さんと、都立芸術高校音楽科で三年間の高校生活を共に過ごしました。高校時代の小宮さんは、底抜けに明るくおおらかで、周囲に安心感を与える存在でした。ただ単に性格が明るいというのではなく、ものごとのとらえ方のスケールが、当時から人よりも大きかったと思います。思春期の悩みのあれこれも、彼女に、豪快かつ温かく笑いとばされて、朝露のように消えてしまうことがしばしばでした。

 

高校卒業以来ピアノから離れておりましたが、この年になって再びピアノに喜びを見出すようになり、小宮さんにSNSでアドバイスをお願いしながら、演奏を楽しむようになりました。

私にとって、小宮さんのアドバイスの素晴らしさは、音楽の流れを自然にするための、演奏時の具体的な動作と、意識のありどころを教えてくれる点にあります。

難しい曲ではなく、手の届く曲を美しく弾きたい、と思い、メンデルスゾーンの「無言歌」を三曲選びましたが、悩んだのは「音楽が流れない」ということでした。美しいメロディーを際立たせよう、内声は出来るだけ小さく、ということばかり考えていたため、力みが出て、自分の音が聞こえなくなっていたようです。内声や左手の伴奏の細かい動きをコントロールできなくなり、怖くてたまらなくなってしまいました。わらをもつかむ思いで相談したところ、小宮さんは、フレーズを流れさせるための動作のポイントを教えて下さいました。

 

Mendelssohn 無言歌より3曲

*No12 ヴェニスのゴンドラの歌 op30-6
*No25五月のそよ風 op62-1

*No18デュエット op38-6

(中略:これらの彼女への具体的なアドバイスは、私のFB(ピアノレッスンベルリンPiano Lesson Berlin)で2018年1月29日にアップしています。)

 

これらのアドバイスは、手探りであがいている私にダイレクトに届き、すぐに効果をもたらしてくれました。

それは、これが決して「方向性だけを示す」というような抽象的なアドバイスではなく、「具体的な動作」「視線の向ける先」に関する示唆だったからです。

フレーズが曲のリズムに沿って流れて行く時に、こぎ手としての演奏者が、どこに視線を置き、どこで棹させば船がスムーズに流れに乗れるか、という、いわば「水面下の動き」に関する指南なのです。

 

また、自分の音を聴くということに関しても、大切なことに言及しています。

それは、メロディーを追うばかりでなく、休符の余韻、長く伸ばした音の行方、とくに、左手と右手の作り出す和声を聴くということです。おそらく、そうすることで、演奏者は音楽が本来包含している奥深い響を聴き届ける余裕を取り戻すことができるのではないでしょうか。

 

このような的確かつ奥の深いアドバイスが出来るのは、小宮さんが「弾く」ということと、「教える」ということの両方に精通しているからに他ならないと思います。

小宮さんは、躓きの原因を見抜く力にすぐれ、それを解決するためのスキルを持っていらっしゃいます。

さらに、より本質的なことは、彼女が、ベルリンの重厚なピアニストの系譜に連なっていて、そこで現役の表現者として、本物の音楽、音楽家と長年向かい合い精進して来られたということです。

シンプルながら音楽の本質に深く根ざしたアドバイスは、そのキャリアから生み出されてくるのだと思います。

 

そんな小宮さんですが、昔と変わらずいつもおおらかで親切。取り澄ましたところも威張ったところもなく、いつもありのまま。

これからも、私のささやかなチャレンジをサポートしてくださいね。どうぞよろしくお願いします。 (S.Sより)

 

・・・以上です。

このような感想をピアニストだと言っても過言ではない友人からもらって、私は自慢しているわけです。(・・すみません)

そして、この長文を最後までお読みになって私の指導に興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、その方にはまだ成功のチャンスが残されているのだと信じてください。

そんな方達にお会いできるのを、私はいつでもベルリン短期集中レッスンでお待ちしています。

私のHPはこちらからどうぞ。


https://www.pianolessonberlin.com



今日もお付合いくださり、ありがとうございました。

次回まで、皆さまお元気で!