ジャズ・ピアニスト川島茂の『僕の好きなジャズ!』

ジャズ・ピアニスト川島茂の『僕の好きなジャズ!』

ジャズ・ピアニスト川島茂の、あくまで個人的に好きなジャズ(演奏、曲)をご紹介します!


 うちには1,000枚ほどジャズのCDがあるのですが、
僕の人生の中で、何度も何度も聴いた曲(演奏)が、いくつかあります。
このブログでは、それらを紹介したいと思います。

 
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記念すべき第50回目はコレ!
Domino Line / Casiopea



From album 『Mint Jams / Casiopea』

皆様、大変ご無沙汰いたしております!
お元気でお過ごしでしょうか?
今回は、2018年12月28日以来の1年半ぶりの投稿…という事で、スペシャルな回として、純粋なジャズとは言えないかもしれないのですが、カシオペアの登場です!

今日では、テレビで音楽番組を見ていると、クラシック音楽以外は、大概ボーカルが当たり前のように入っていて、インストゥルメンタルの演奏というのは滅多に聴けないのですが、今から30年ほど前、カシオペア、そしてザ・スクエア(現T-SQUARE)などは、インストゥルメンタルのバンドでありながら、”普通に”テレビの音楽番組に出ていました。
そして、アイドルっぽい人気を博していたのを記憶しています。

もちろん、昔ならYMO、今でも葉加瀬太郎(vln)やMIYABI(gt)など、テレビの音楽番組でも歌無しで勝負するアーティストはいるにはいますが、彼らの演奏には「アドリブ」や「テンション・コード」といったジャズ的要素はほぼなく、そういう意味では、カシオペア(&ザ・スクエア)は、リズムこそ16ビート主体、楽器もエレクトリックという、当時としては”非ジャズ的要素”も含みながらも、ジャズ的な演奏をする最後の全国区バンドだったんじゃないかと思います。




こういう曲(演奏)にたまに出会えるから、ジャズのCDを買うのをやめられなかったんですね。

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それでは皆様、よい1日を!



音楽聴くなら…
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第49回目はコレ! 
Cheese Cake / Dexter Gordon
 

 
From album 『GO / Dexter Gordon』

2018年の最後は、デクスター・ゴードンの『Cheese Cake』です!
この曲は、一番初めは、油井正一さんというジャズ評論家の方が選曲された、ブルーノート・レーベルのオムニバスCD(タイトル失念しました)に収録された中に入っていたのですが、それで聴きました。
高校生くらいだったかなぁ…。
カシオペアのCDを集めるのにお小遣いをほとんど費やしてましたから、他の音楽は、もっぱら近所のレンタルCD屋で借りるしかなかったのですが、こういうオムニバスCDは、1枚で曲数も多いし、たくさんのアーティストを聴けるので、好んで借りてました。

さて、この曲を初めて聴いた時の印象ですが、それはデックス(デクスター・ゴードンの愛称)のサックスがまだ吹き始める前にすでに強い印象を受けたのです。
なんと、出だしがベース・ソロなのです。ソロというのはアドリブ…というのではなくて、ベース1本で始まる…という意味です。
それまで聴いていた歌謡曲やニュー・ミュージック、カシオペアで、ベースだけでイントロを取る曲なんか、一曲たりともなかったわけですから、大事件です。
そして、5小節目からはドラムスも入ってくるのですが、ドラムスったって、ライド・シンバルで1拍づつ刻むだけですよ!

でも、このイントロ、Youtubeの音源を聴いて頂ければ分かると思いますが、もうもうもうもう、チョーカッケー(超カッコいい…の事)訳です。
特にこのブルーノート・レーベルのルディ・ヴァン・ゲルダーというレコーディング・エンジニアが、またこのイントロを、ものすごくジャジーに録音している訳です。
できたら、Youtubeではなく、24bitリマスタリングされたCDかアナログ・レコードで聴いて頂きたいですね。
 
そして、9小節目からデックスのサックスが入ってくるわけですが、デックスのサックスの音…というのが、これまたジャジー。
よく聴くと、サックスの音がリズム・セクションよりも微妙に遅れて出てるのですね。
これをレイド・バックと呼ぶことを知ったのは、もっと大人になってからでしたが、今聴いても、それにしてもレイドバックしすぎだろ…っていうくらいに遅れて聴こえる。しかし、それが悪いわけでなく、とてもハードボイルドで無骨な感じに聴こえるのです。まさにこれぞジャズ!

そういえば、ソニー・クラークのピアノを聴いたのも、この曲が初めてだったかも。
彼については、またこのブログでも紹介したいですね。


こういう曲(演奏)にたまに出会えるから、ジャズのCDを買うのをやめられなかったんですね。

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第48回目はコレ!
Garota de Ipanema / Stan Getz & João Gilberto
 

 
From album 『GETZ / GILBERT 』
 
まだ、この曲(演奏)を紹介していなかった!
…っていう言葉は、このブログでは何度も使ってきましたが、この曲(演奏)は特別です。
今でも、このアルバムは、毎日…とは言わないですが、週に一度は聴き(店で流し)ますし、僕の音楽人生の中でも、ものすごく重要な位置を占めてます。
 
多分、この演奏、このブログ自体の当初のコンセプトの『僕だけが知る』的な要素が薄いがために、紹介しなかったんだと思います。
でも、これまで47回も続けてる中で、だんだん『僕だけが知る』…というコンセプト自体が、それほど重要では無くなり、タイトル通り純粋に『僕の好きな』…という視点でセレクトする感じに変化してきたので、この曲(演奏)の登場となったのでしょうね。(←自己分析ってやつです)
 
さて、このアルバム。
何がすごいか…って言ったって、この1枚でボサノバとジャズが見事に融合させてみせた…という事か。
このアルバムよりも一足先に、ブラジルでボサノバという音楽スタイルが完成した訳なのですが、このアルバム以前のボサノバは、例えばこのアルバムの主役の一人、ジョアン・ジルベルトの1st~3rdアルバムを聴く限りは、ブラジルの歌謡曲の新しいスタイル…くらいの感じで、その後に、これだけジャズと密接になる…という事は想像つかない演奏なのです。
また、ボサノバには欠かせない作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンのアルバムも、どちらかというとイージー・リスニング的な感じで、ジャズ的要素は薄い…というか皆無なのです。
 
しかし、このボサノバ、意外とアメリカでウケたので、アメリカの名門ジャズ・レーベルのVerveが、Verveの契約アーティストで、当時の大人気ジャズ・テナー・サックス奏者、スタン・ゲッツがジョアン&ジョビンのボサノバを作り上げたアーティスト・コンビと組ませて録音したのですが、このときに、最高の『Chemical reaction(化学反応)』が起きたわけです。

今回紹介している『Garota de Ipanema(イパネマの娘)』も、出だしから2コーラスは、演奏自体は、それまでのブラジルの通常のボサノバという感じなのですが、もうまず、録音が、アメリカのエンジニアが行っているので、『ジャジー』な雰囲気が、充満する訳です。
それまでのブラジルでの録音の、歌謡曲っぽさは、微塵もありません。ハード・ボイルドな『ジャズの音』なんです。この事は、ジャズのアルバムにおいて、『録音』という作業が、いかに重要か…を実証している様です。
 
そして、2コーラスのボーカルのあと、このアルバムの唯一のアメリカ人、スタン・ゲッツのアドリブになる訳ですが、この瞬間、ボサノバとジャズは、完全な融合を果たしたわけです。
例えばビートルズの曲などをジャズ・ミュージシャンが演奏しても、どこか“よそよそしさ”を感じるのですが、ボサノバは、今ではもう、「ジャズの一部」となっています。
それは、この瞬間があったからなのです。
もしもVerveがここまで見越していたとしたら、このアルバムのプロデューサー、クリード・テイラーは、もう天才としか言いようがないですね。
 
あと、このアルバムのすごさは、まだまだあります。
収録されている曲は、今日ではボサノバ・スタンダードばかりなのだが、当時、ボサノバのスタンダードはまだ確立されておらず、このアルバムに収録された事により、ボサノバのスタンダードになりえた…と言っても過言ではないでしょうね。
  
そう考えると、このアルバム1枚で、その後のジャズにおけるボサノバを決定づけられたのでしょうね。
 
なお、ブラジルでは、ボサノバ自体がそもそもそんなに流行らなかった…という話をブラジル人から聴いたことがあります。リオの一部のクラブで観光用に歌われているくらい…だそうです。
おもしろいですね。


こういう曲(演奏)にたまに出会えるから、ジャズのCDを買うのをやめられなかったんですね。



それでは皆様、よい1日を!



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第47回目はコレ! 
Secret Love / Hampton Hawes 
 
 
 
from album 『The Green Leaves of Green Summer』
 
僕の人生の中に、何人か『ハマった』ジャズ・ミュージシャンがいます。
今回紹介するハンプトン・ホーズも、一時期、もの凄くハマってしまい、明けても暮れても、一日中、CDで、MDウォークマンで…と家でも電車の中でも聴いていました。
ハマった時期を過ぎて、今では他のジャズ・ミュージシャンと同じくらいの頻度で聴くようになりましたが、たまに聴くと、「やっぱりいいなぁ」って思ってしまいます。
 
ホーズの演奏の特徴は、「爽やかな疾走感」ですね。
ジャズの一番の魅力が「スイングする事」にあるのだと思うのですが、その「スイング感」が、ねちっこくなくて、それでいて軽薄でもなく、とても聴き心地のいいスイング感なんですね。それでいて、きちんとジャズ・ファンを納得させる演奏技術をもっている…。
 
今回ご紹介した曲も、よく演奏されるスタンダード・ナンバーですが、僕が知っているこの曲の演奏の中では、一番心地のいい演奏です。難しい事はあまり考えず、目を閉じて演奏に体をゆだねていると、本当に幸せな気分になれます。
今、僕はお酒を辞めているのですが、もしもお酒を解禁にしたら、こういう演奏を聴きながら、ロックのスコッチをゆっくり飲みたいですね。


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第46回目はコレ!
Brother, Can You Spare Your Car? / Joe Sample and The Soul Commitee
 

 
From Album 『Do You Feel That?』

ジョー・サンプルは、クルセイダーズのリーダーとして、そしてソロ活動も有名なピアニスト、キーボーディストです。
このアルバムは、ソロ名義で、一応は『with Soul Commitee』となっているが、これはバンド名というよりは、ノリというか、このアルバムがソウルフルである事を示しているくらいにとった方がいいかもしれません。
確かに、ジョー・サンプルのソロというと、ピアノを活かした、メロディアスな作品のイメージが強く、このアルバムの様に、ソウルフル、グルーヴィー、ファンキーな感じを全面に出す事は少なかったかもしれません。

さて、このアルバム、メンバーも超強力!
オスカー・ブラッシャー(tp)、ジョエル・ペスキン(ts)、アーサー・アダムス, マイケル・ランドウ(gt)、レディ・フレディ・ワシントン(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、レニー・カストロ(perc)という布陣。
中でも、名盤請負人、スティーブ・ガッドの参加が大きく、このアルバムが"ソウルフル、グルーヴィー、ファンキー"でありながらも、全体を引き締め、決してオーバー・ファンクにならない様にしている。
確かにこれまでも、フュージョン系の音楽で、これは!…と思ったものは、スティーブ・ガッドの参加しているものが多かった様な気がします。

さて、今回紹介したこの曲『Brother, Can You Spare Your Car?』ですが、この曲が突出して素晴らしい…という事でもありません。
このアルバム全体、どれを聞いても素晴らしいのですが、この素晴らしいアルバムの雰囲気を一曲で伝えるなら…という観点で選びました。
とてもソウルフルで、おもわず腰が動き出しそうです。
もうこういうアルバムは、理屈抜きで楽しむべきなのでしょうね。
 
こういう曲(演奏)にたまに出会えるから、ジャズのCDを買うのをやめられなかったんですね。



それでは皆様、よい1日を!



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ジャズを学ぶなら…
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