旅のきらめきAGAIN-4:ハケの情景4
京王沿線の旅で探索した府中用水谷保分水、
その旅レポで出さなかった未公開画像を中心に紹介しています。
締めくくりの今日は、府中市内まで行きましょう。
※文中の「ハケ」「ママ」は東京西部の方言で「崖」の意。
▼国立府中インターを過ぎた、国立市最東部の谷保分水。この近辺では
「下の川」というそうです。その名の通り、左側のハケの下を流れます。
▼ハケが遠ざかると、雰囲気はガラッと変わりますね。
▼国立市を抜けて、府中市へと入りました。「上坂橋」と書かれた石碑は、
府中市独自のもの。
▼その上坂橋は、この「上坂」に由来します。ここを上がっていくと、
▼上の説明版をアップで。
未公開画像はここまで。これより先は、以前のレポートとダブりますが、
せっかくだから写真付きで紹介しましょう。
▼西府湧水です。この水路沿いには多くのくさんの湧き水があり、
その豊かさを実感できる旅となりました。
▼ハケの中を通って登る道。東京の中の別世界のようにムードが魅力的。
そして・・・
府中市に入ると同時に、
谷保堰で別れた府中用水の本流が寄り添って来て合流。
谷保分水と府中用水の本流は、
再び一つの流れとなって、東を目指します。
谷保分水はここでおしまいとなりますが、
府中用水の流れはまだまだ終わりません。
このあと、府中市内にある数々の用水路への分流・合流を経て
最後は水源である多摩川に帰ります。
ところで、その多摩川に注ぐ場所ですが、
府中市押立とする資料と、
さらに先、調布市染地で注ぐという資料があり、
ハッキリ解明されていません。
また、どうやら水そのものは地下で別の水路に流れているみたいで
話はかなり複雑。
僕が府中用水の本流をコンプリート探索した
2010年の京王沿線の旅では、
調布説の方で染地まで歩きました。
でもその途中で、水路跡が追えなくなったり、
水のない空堀になったり、
その後でどこからともなく水が流れてきたり・・・
密集した住宅や中央自動車道に阻まれると、
流路の把握も困難となり、全容解明にはまだまだ時間がかかりそうです。
今回話題にした府中用水谷保分水は
東京都内に始まり、東京都内に終わります。
里山の風景が色濃く残り、
豊かな水資源に育まれた地域であるということが
記事を通して、お解りいただけたでしょうか。
府中用水は、ただ単に水が流れているのではありません。
多摩川から取水するのは農繁期に限られており、
水門はきちんと管理されているのです。
かつてワサビ畑があったというママ下湧水群は、
今も野菜を洗う水として使われており、
用水の周囲には、美しく広がる田園。
人々が自然と共生して生きてきた歴史があり、
そして今日も脈々と受け継がれてきている。
その証が、この水路には刻まれているのです。