ちょっと数学にかたよりすぎたので、理科に行きます。高校生レベルで話します。



運動の第1法則は慣性の法則。

p:物体にはたらく力が0N、またはその物体にはたらいていてもその合力が0N。

⇄  q:物体は静止し続けるか等速直線運動をし続ける。


この関係は、逆も成り立つ。

この関係は「覚えるだけでいい」と思いがちだが、そうではない。使えないといけない。数式でもないのに?

この関係を2×2=4通りに分けて考える。


① p→qについて

・「物体にはたらく力が0Nのとき、物体は静止し続ける。」

これは疑う余地もないと思う。


・「物体にはたらく力が0Nのとき、物体は等速直線運動をし続ける。」

ここで早速つまづく生徒が多い。よく例として挙げられるのが、摩擦のないスケートリンクや、大きな重力のない宇宙空間での運動だ。初学者が間違えやすいのは、「動いている」=「力がはたらいている」と思い込んでいることによる。力がはたらくと何が生じるのか、それは加速度なのだ。速度ではない。(速さと速度の違いはどこかで述べよう。)


②q→pについて

・「物体が静止し続けているときは、物体にはたらく力が0N、またはその物体にはたらく合力が0N」

静止しているときには、はたらく力が0Nなのは納得するだろう。さらに合力が0Nでも静止し続けられる。力0Nと合力0Nは物理的には等価だということだ。

簡単な例を上げると、床に置いてある物体だ。重力と垂直抗力の合力が0Nになっている。


・p:「物体が等速直線運動をし続けているときは、物体にはたらく力が0N、またはその物体にはたらいていてもその合力が0N。」

問題を解くときは、もっとも高い割合で登場する。速度が一定の運動をしているときは、物体には合力0Nも含めて、力がはたらいていない状況と等価ということだ。問題文には、速度一定をさまざまな表現で記述されるので、見落としがないようにしよう。(速さではなく速度であることに注意しよう)

次回は運動の法則。



(補足)

「慣性」の意味は、国語辞典などを引いてみればいい。よく慣性の例として挙げられるのは、電車に乗っている人の動きだ。

発車するときは、それまで静止し続けていた状態を続けようとして、結果的に後ろに倒れるような動きをする。

逆に、停車するときは、それまで運動し続けていた状態を続けようとして、結果的に前に倒れるような動きをする。


結果的に力をうけたような形になるので、この見かけの力を慣性力という。なぜ「見かけ」というのかというと、通常の力には必ずある反作用の力がないからだ。


慣性の法則だけで、これだけ記事を書いてしまった。高校の先生たちにはここまで話して欲しい。