変化する。 あの頃を思い出してほしい。 明るい未来。穏やかな空間。つつがない幸せ。 すべてがここにあり、ずっと続くものと思っていた。 否、もしかしたら続いているのかもしれない。 しかし何かが変わった。 家の中の何かひとつのものを欠かした。 私たちは何かを諦めた。 毎日の中に必ず組み込んできたひとつのものを失った。 なぜだろう。 彼はその右手に幸せと希望の象徴を握りしめていたはずなのに。 哀しいかな、その手は埃と雑巾で覆われていた。 彼は知っているのかもしれない。 この家の変化を。