19世紀フランスアカデミズム絵画代表画家、ブーグロー Bouguereau の作品、ガブリエル・コット Gabrielle Cot の模写を初めてしました。制作の過程を振り返ります。
私の模写作品です。
1.はっきりとした考え方もなく、「やりやすさ」と転写・トレースの流れにのって、塗り始めていました。楽をする発想、作品ができればいいということだけ。
そもそも古典技法とグリザイユ画法の位置付け、その目的と歴史の流れなど全く頭にありませんでした。

2.油絵の誕生の背景と、当時の画材の事情、画材の発展と古典派の考え方などを学ぶ機会があり、歴史を理解した上で、技法、手順の目的と必要性を整理し、自分の描き方を再考しました。
「暗やみに光を当てる」という考え方に基づいて、中間色(茶色)の下塗りに白を塗るという方針を決め、進めました。

3.美術解剖学の本を参考に、骨格、筋肉に注意し、強調気味になっていました。

4.下絵はこのくらいで完成にしました。

5.グレーズで、色を重ねていきました。

なかなか思い通りにいきません。

この作品の肌の質感を出すのに、この描き方でいいのか?グリザイユ+グレーズで描いた別の作品と比較して考えました。

写真を見て描いてもどうしても原典に近づけない。のっぺりとした顔になってしまう。
そもそもグリザイユ、グレーズで描くべき対象ではないのではないか? 白黒に透明色、半透明色を重ねて目標の色に到達する思考をやめようと思いました。
デッサン力の弱さが、転写・トレースとグリザイユに依存、作品の限界を作っていたと思います。「塗り重ねれば重ねるほど良くなる」という根拠なき期待は、自分の弱点へ言い訳を正当化しているのだと思いました。

6.wikipediaのアカデミック絵画の記事で、ブーグローは「色と線を同じものと見ること」と言っている。
どういう意味が良く分からない。しかし、明らかに白黒に透明色、半透明色を重ねる発想とは違うと思いました。
色そのものがもつ色調で、形、立体を表現しなければならない、
明確な不透明色の上に、肌色を重ねて、色調、明暗を表現する考えで、やり直すことにしました。
でも、うーん、これでもなかなか近づけない。







