日常に隠れたキャンディ
「嘘じゃん」違うんだ。僕は知らなかっただけだ。僕がいつも行く喫茶店では確かにあったのに。でもこの喫茶店にはなかったのだ。僕はその時はじめて気づいた。それは特別なことだったのだ。それに気づいた時からきっと僕は魔法にかかっていたのだろう。僕は休みの日によく喫茶店行く。コーヒーが好きなのもそうだが、ファミリーレストランと比べて静かで落ち着くからだ。家にいると本を読もうと思っても布団の上でダラダラしてしまったり、普段は手のつけないところを片付けてしまうなどして集中できない。それで何度休日の使い方に後悔してしまったのだろう。喫茶店の中でも頻繁に行くのがシルビアコーヒーというお店。お店の造りや雰囲気も好みなのだが、それ以上に店員さんの接客がとても良い。アイコンタクトをよく取ってくれるし、笑顔も良い。周りをよく見ていて、お客さんが減るお昼頃には2人テーブルから4人テーブルへ移動の提案までしてくれる。今はお洒落なカフェは多いが、店員さんの気遣いで感動できるお店は経験上多くない。いつも頼むのはアイスカフェラテ。僕は猫舌なのでホットコーヒーは熱すぎてすぐ飲むことができず、飲む頃には本来の美味しさで味わえないのだ。アイスカフェラテにするのにはもう一つ理由がある。それはホイップクリームが乗ってくることだ。注文するときに「ホイップクリーム乗せてもよろしいでしょうか?」と聞いてくれるところもまた、甘いものが苦手な場合の配慮があって素敵だ。アイスカフェラテにホイップを添えるのは誰が考えたのだろう。「とっても美味しい!」コーヒーはブラックでも大好きで苦味が嫌なわけではないのだが、ホイップの甘さとコーヒーの苦味が互いを引き立てていて無限ループだ。コーヒーの上は甘ければなんでもいいわけではない。アイスを添えた場合だと時間が経つと溶けてしまうのでコーヒー全体が甘くなってしまい途中からとても残念な気持ちになる。ホイップクリームだからこそいいのだ。ある日いつも行くシルビアコーヒーと別のお店に知り合いと3人で行った。メニューを決めかねてる1人に僕はアイスカフェラテをオススメした。「ホイップが乗っているから美味しいんだよ!」心の中ですごく自慢げに鼻を高くして紹介した。ホイップが乗るか乗らないかを人より知っているだけで何が嬉しいのか。冷静に考えるととても恥ずかしい。店員さんがアイスカフェラテを持ってくるといつもと違った。ホイップクリームが乗っていなかったのだ。「嘘じゃん」その時言われた。その後も他の同じお店に何店か行ったがいつも行く店以外はホイップクリームが添えられることはなかった。いつもの店が独自でやっていることだったのだ。その後はいつものシルビアコーヒーを行く機会が今まで以上に増えた。なぜかいつも以上に読書や勉強に没入できるようになったのだ。そこにはキャンディが隠れていた。ここまでホイップクリームだけの話で「いい大人がホイップクリームで何?」と思うでしょう。実はこんな些細なことでもいい気分になれるということが心理学者の実験で実証されているんです。これは “キャンディ効果” というものです。架空の患者の症状や病歴を読み上げ経験豊かな医者たちに診断してもらいます。Aチームの医者には 事前に何もしない。Bチームの医者には 事前に、医療関係の記事を読んでもらった。Cチームの医者には 事前に、キャンディをあげた。結果はCチームの医者の方がBチームやCチームを比べて2倍の速さで正確に診断したのです。信じがたい話ですが、いい大人がキャンディ一つで嬉しくなって仕事をすばやく正確に仕上げるのです。「これってとっても面白くないですか?」チップや菓子折りとかでなくても、こんな簡単に人のモチベーションって変えることができるんですよ。店舗の責任者などある程度キャリアを積んだ人なら部下のモチベーションの管理にも悩んだこともあるかもしれません。仕事の難しさによってその人の性格によって違うので難しい問題ですが、キャンディ一つでも効果あるんだと思えばかなり気持ちが楽になりますよね。僕は毎日ではないですが、その日出勤しているスタッフに飲み物を買って少しでもいい気分で仕事してもらえるよう努めています。小さいプレゼントでいいんです。キャンディでいいんです。ホイップでもいいんです。皆さんも僕のホイップクリームのように、隠れたキャンディにいい気分を作ってもらっているかもしれません。これからは相手のいい気分を作ってみませんか?