プログラムノート | ピアニストな毎日

ピアニストな毎日

ピアニスト安田裕樹

公式ウェブサイト http://yasuda-hiroki.com/




6/5のリサイタルでお配りした

プログラムノート

残念ながらご都合が悪く

お越しになれなかった方のために

ここに記載いたします。





プログラム

Program 


1

歌の翼に メンデルスゾーン/リスト

Auf Flügeln des Gesanges

(Mendelssohn=Liszt)

献呈 シューマン/リスト

Widmung (Schumann =Liszt)


メフィストワルツ第1   リスト

Mephisto Waltz(Liszt)


ひばり グリンカ/バラキレフ

The Lark(Glinka=Balakirev)

白鳥 サン=サーンス/ゴドフスキー

The Swan(Saint-Saens/Godowsky)

白鳥の湖のテーマ  ローゼンブラット

Main theme from Swan Lake 

(Rosenblatt)


2

ピアノ協奏曲 2 作品18

ラフマニノフ

Piano Concert No.2 op.18

(Rachmaninoff)


1楽章  Moderato 

2楽章 Adagio sostenuto

3楽章 Allegro scherzando 


エレクトーン 黒園克則

Electone  Katsunori Kurozono







本日は、ご来場いただきありがとうございます。


8回目のリサイタルとなりました。

今年は初めてのソロリサイタルから20周年の記念の年です。全ては支えてくださる恩師、友人、そしていつも応援してくださる皆様のおかげです。心から感謝申し上げます。


1部は編曲作品を中心に選曲しました。メンデルスゾーンの「歌の翼に」はハイネの詩によるロマンティックな歌曲、シューマンの「献呈」は、妻クララに捧げた「ミルテの花」第1曲で究極の愛の歌です。どちらも、リストが華麗に編曲しています。


メフィストワルツ第1番〜村の居酒屋の踊り〜は、メフィストが奏でるヴァイオリンの音色で村人達は踊ります。そして美しい娘マルガレーテと出会い、森へと抜け出します。森ではナイチンゲール(夜鳴き鶯)の鳴き声が美しく響きわたって・・・という物語を忠実に再現しています。この曲はピアノ作品の傑作の一つであり、ピアニストにとって重要なレパートリーとなっています。



ロシアの作曲家グリンカが書いた「ひばり」は歌曲集 「ペテルブルクの別れ」の第1曲を、同じくロシアの作曲家 バラキレフがピアノソロ用に編曲しました。

フランスの作曲家、サン=サーンスの「白鳥」はチェロの演奏が有名ですが、ポーランドのピアニストで作曲家のゴドフスキーが優美に編曲しています。

そして最後に、ロシアの作曲家ローゼンブラットの編曲した、チャイコフスキーの名作、バレエ「白鳥の湖」のメインテーマを演奏します。ファンタジーに溢れた魅力的な作品です。



2部はラフマニノフ ピアノ協奏曲第2 作品18 を演奏いたします。

2003年、ショパン の第2番のコンチェルトを弾いた時、次にピアノコンチェルトを弾くチャンスがあるならラフマニノフのピアノコンチェルト第2番、と心に決めてから随分長い月日が流れました。ずっと想いを抱いていた作品を、本日ようやく演奏する事が叶います。

大編成のオーケストラパートは、黒園克則氏がこだわり抜いた音色で再現してくれます。


ラフマニノフは1897年に、満を持して「交響曲第1番 二短調」を発表しました。しかし初演では、散々な酷評を浴び、ラフマニノフは深く失望し、精神耗弱状態からうつ病になってしまいます。その後数年間は作曲ができない状態でしたが、心配した友人たちの勧めで、精神科医 ダーリ博士に催眠療法を受けながら徐々に精神の病を回復させていきます。そして、ついにこのピアノ協奏曲を完成させます。

1901年、自身のピアノによる初演が行われ、作曲家としても、ピアニストとしても大成功しました。今日、この作品はピアノコンチェルトの中で、長きに渡り最も有名で愛され続ける傑作になっています。音楽家としての生命を繋げてくれたダーリ博士に献呈されました。