いつかまた逢えたら良いな。
いまでもそう思ってる。
あれは私が大学2年の時。
サークルとかも入ってなくてほんと自由に時間が使えたから、夏休みに入って前半は実家のある田舎で過ごし、大学のある県へ戻ってからの後半は、高校の時から通い続けてる英会話教室へ行く日々。
いつものようにそこへ行くと見慣れないスラッと背の高い外国人男性がいた。
講師が入れ替わるのは珍しいことでもないし、「あ、また新しい先生が来たんだ。」って思った。
私が通っていた教室は小さく、レッスンをするブースは4つあるものの、講師はいつも2人しかいなかった。
だから同じ講師にあたる確率は2分の1。
一日に2レッスン受けるとどちらの講師ともレッスンをすることになることがほとんど。
その日は確か1レッスンだけだった。
レッスンが始まるまでブースで待つ。ブースには私のほかにもう一人、いつも一緒の50代くらいのおばさんがいた。
レッスンが始まるまで世間話したり、他愛もない話をして開始がくるまで過ごす。
「さっき新しい先生がいたの見ましたよ~。」
「あらそうなの、どんな人かしらね~。聞き取りやすく話してくれる先生がいいわね~。アンソニーみたいな」なんて。
アンソニーはオーストラリア人の講師。背はそこまで高くなく小太り。その教室には長く在籍していて、とっても明るくて面白いおじさんって感じで生徒みんなから評判が良く、英語の教え方もとっても上手。
そんな会話をしているとレッスン開始を知らせるチャイムが鳴った。
もう一つのブースに入って行ったアンソニー。
ということは私たちのブースに入ってくるのはあの新しい講師。
いつも新しい先生に会うのは緊張する。
どんな話し方をするのか、愛想は良いのかとか。
新しい講師は目の色と同じ鮮やかなブルーのワイシャツに黒のネクタイ。爽やかにブースに入って来た。
(なんか冷たそうな先生・・・かっこいいけど・・・)
いつもレッスンの始まりは自己紹介と身の上話から。元気~とか近況とか聞いたり聞かれたりしながら会話を弾ませる。
その講師はフランシスというらしい。アメリカ・ボストンの出身だそう。よく見ると目は薄めのブルーで髪は少しカーリーっぽいけど短くカットされている。
私たちのレッスンが初めて行うレッスンではないらしいが、まだ慣れてなさそうでぎこちない。
特に何もない普通の英会話のレッスン。
でも彼は私の着けていた指輪を見つめ、「cool!」って。
その指輪はおじいちゃんから貰ったもので、体温で指輪の石の色が変わる私のお気に入り。
「my grandfather gave it to me.」
そういうとニコッとして「ムードリングって呼ぶんだよ。」って教えてくれた。
最初はなんだかこの人冷たそうな人だなぁって思ったけど、私の指輪を興味深そうに眺める無邪気そうな彼に、このとき恋をしてしまったのかも。