施設に入ってるボケボケ寝たきりのトメが、
肺炎で病院に入院したのが10日ほど前。
トメは今年で87歳だ。
入所中の施設から、
入院したと一報が入った時は、
ダンナ共々、いよいよかと浮き足立ってしまった。
ずっと専業主婦だったトメには、
雀の涙ほどの年金しか出ていない。
施設費だって、足が出ている。
足りない分は、こっちの負担だ。
この上、入院費まで取られたのでは堪ったものではない。
いい加減にしてほしい。
もうそろそろ、鬼籍に入ってくれないものだろうかと思ってしまう。
私は、いい人ではない。
が、人の死を願うような人間でもなかったつもりだ。
なのに、トメが入院してからというもの、
毎日そんなことばかり願っている。
ネガティブ、というには余りにも黒くて嫌な考えだ。
そんな風に思ってはいけないと自制しながら、
私をそんな人間にしたトメを恨む毎日。
疲れる。
トメは、3年ほど前から、もう何も分からず、話しかけても返事もせず、
目を開けることさえない。
起きているのか寝ているのかさえ分からない状態だ。
こんなトメに、生きてる価値があるのだろうか。
お金がかかるから死んでくれと思うのは、本当に酷いと自分でも思う。
でも、本心だ。
せめて、貯金していてくれれば。
そう思わずにはいられない。
ボケる前のトメは、年に1回はヨーロッパ旅行に行っていたし、
国内旅行はもっと頻繁に出かけていた。
服も靴も宝石も唸るほど持っていたし、
それらを買う際に値札を見ることもなかった。
欲しい物は買う。
行きたい所へは行く。
そんな生活。
ウトは嫌な奴だが、ATMとしては優秀だったようで、
それほど金持ちではないが、
そこそこの贅沢は出来る暮らしをしていたのだ。
しかし、ウトが退職して、貯金を使い果たすとほぼ同時に、
トメはボケた。
貯金はない。
だが面倒は見ろ。
そんな酷い話があるだろうか。
ボケる前は、私のことも本当の娘のようにかわいがってくれて、
いいトメだったのに。
トメのことは好きだったのに。
今はとっとと死んでくれと思っている。
1日も早く。
