ずっとこの日を待ってた。

今まで勇気を貯めてきたから
"出来るんじゃない"って、浮かれてた。
のかも知れない。

まだ寒さの残る三月の始め、準備室に
受験前のキミを呼び出した。

ん?何の用?俺忙しいんだけど?
なんてそんな顔でそんな声で言わないで。

《先輩、ここでよく練習しましたよね》
[そーやな、佐藤に目ぇ付けられたのも
ちょうど去年の今頃やったな]

って、ハニカまないで。胸が苦しくなる…
《先輩あの人に妙に気に入られてましたもんね》
[アイツなぁ いきなり俺の髪切るとか言い出してさぁ、本当意味わからんかった]
《そんなことばっか言ってましたねー。佐藤先生は》
[そうなんやっちゃ。本当に訳わからん
で、用事は何なん?]

やっぱり、そうなるよね。
でも、今がいいのか。今…でいいのか。
思いを伝えるには遅いことはないのか?
でも、やっぱり今しかなくて。

《先輩…私ずっと前から、》
[知ってる。知ってたよ。]
知ってたなら、ずっと知ってたなら
じゃあ何で言ってくれなかったの?

《じゃあ、何でずっと言ってくれなかった…んですか?》
[ごめんね。俺はその気持ちに答えることはできない。]
空気が重い。時が…止まる。


[俺は、世界中の可愛い子が好きだから]

な、何それ。じゃあ私は。私は?
私は何なの? 存在価値とかある…のかな