待ちに待ったメトロポリタンオペラのビューイング「アドリアーナ・ルクブルール」に行ってきた。
とは言っても生の舞台2回も見てるんだけど。
だからこそ確認の上でしっかり大画面で見たかった。
やっぱりねー。
みんなネトコがいいって言ってるけど、あんな迫力は生ではなかったわ。
何故ってやっぱり声がごつくないもの。
映画では音を揃えてしまうからなかなかわからないんだね。
私の嫌いな大音響になって耳が破裂しそうでどうしようかと思ったわ。
まあ年取ってもまだまだ美人だし何しろ器用だからアクートしようと思えばすぐ出来そう。
だけど迫力出す為のアクートは出来ない。
何故かというと中音の扱いがダメだから。
中音をあんなに胸声にしちゃダメでしょう、抜けてるじゃない。
ドラマチックにしようとしてるんだけど勘違いというか、知らないんだねえ。
まああのマリア・カラスも晩年に中音の扱いを間違ってダメになっちゃったもんね。
カヴァリエが凄かった終幕の狂乱の場が終幕はすごく寂しかったけどその原因もわかった。
二人して声の道がそれてるもんね。
ネトコは声細いし上出るからトラヴィアータまでだったらいいのに。
それに比べてとにかくアニタはもう本当の大物の貫禄だった。
いやはや実力が違い過ぎる。
しかもいつも演技が抜群にうまい。
自分の言葉も相手の言葉もひと言ひと言全部把握されている。
現在の歌手で歌の実力があり演技もうまくて感心するのはアニタとグリゴーロだと思う。
1回目生の舞台でアニタは中音Aまで胸声だった。
素晴らしい演奏だったしネトコのいい加減な胸声とは違ったのだけれど、
これからの事を考えるとあんまり上で落とさない方がいいのにな、と思っていた。
すると2回目、ビューイングの日だったが胸声はF音までだった。
大変美しい声がコンパクトになってより一層激しく飛んできた。
シミオナートは生で聞いていないから何とも言えないけれど(引退公演が酷すぎてがっくり来たことがある)、
もうシミオナートもコッソットも抜いているのではないだろうか。
ところが男性、特に日本のお年を召した方々、はアニタの様な女性は苦手らしく(多分おされるのだろうな)、
批評的にはネトコの方が圧倒的に好評だ。
これだからやってられませんな、と思うのだが仕方がない。
うちのオジサンはアニタが大のお気に入りで一緒にアニタと写真を撮ってご満悦だったのだけど・・・(笑)
