23日の演奏会合わせやらでクタクタになった所に師匠が天に召された話を聞いて頭の中がグルグルしてしまった。
勿論いつかはこの日が来るに決まっていたのだが、素晴らしい人だっただけにとても残念な気がする。
師匠は音楽家として演奏家としてそんじょそこらにない稀にみる優秀な人だった。
それは師匠の人間性に基づいていると思う。
大体先生と言う立場になると人は偉くなった気がして勉強もしなくなるし学生をバカにしだすものだ。
師匠の名言は数えきれないほどあるが、一番最初に師匠が言った言葉は今でも忘れられない。
「校門を出たらワシを先生と呼ぶな」
もう笑っちゃうよなあ。
じゃあ何て呼べばいいのか。
私達は秘かに「シゲオちゃん」と呼んでいたのだが(本人には流石に言えないけど)、
教師をやっていた私にも先生の気持ちはすごくよくわかる。
先生先生と言われているとだんだん演奏家としての自分がダメになっていく気がするのだ。
何故なら舞台に上がったら先生もクソもなく実力だけの世界という戦いの場になって、
自分の生徒に負ける場合も当然ある訳なのだ。
先生としてのプライドを捨ててどんな事があっても自分を向上させていくしかないのだ。
演奏家としてやっていきたいのならば。
だから校門の外では1対1の演奏家でなければならない。
師匠の言葉はいつも奥が深かった。
深すぎてみんなは理解できなかったかもしれないな。
これから少しずつ師匠の思い出を書いて鎮魂していきたいと思う。