先般フジミから発売された1:700「金剛」は、決定版の名に恥じないすばらしい完成度で多くの艦船ファンを満足させたが、これに続く姉妹艦として「榛名」が発表される。
「金剛」型4隻は太平洋戦争の時点でかなり多くの相違点があったことが知られており、現代の最先端レベルの模型で部品の広範な共有化を図るのはまず不可能。
フジミもこの点で妥協しておらず、「榛名」は船体を含む主要部品をすべて新造して事実上「金剛」とはまったく別のキットになっている。


一見共通でもよさそうな船体側面も、旧1、2蕃副砲跡の庇の有無を区別するため新作に入れ替わる由(作例は「金剛」の部品を修整して使っており、この部分に欠落がある)。
前後艦橋、煙突、航空作業甲板など、大多数のファンが気になるような部分に関しては、まず気をもむことなく楽しんで組み立てを進めていくことができるだろう。


リーズナブルなお値段にしてこのこだわりはまことにうれしい限り。
 今回紹介するのは開発中のテストショットをぎっと組んだもので、不足分を「金剛」の部品で補っている。
まだ木甲板のモールドなどが入っておらず細部の詰めも必要な段階だが、今回も完成度の高いキットになることをうかがい知るには充分なレベルだろう。
比較用として基本パーツのみの「金剛」も用意しておいたので参考にされたい。


 想定年代はマリアナ沖海戦当時らしく、単装機銃がセットされないようだが、そのかわり4番砲塔の横に舷梯がモールドされるといった渋い対応も見られる。
もっとも、マリアナ沖海戦は「榛名」の艦歴の中ではいまいちインパクトの乏しい部分なので、ファンはまずレイテ沖海戦の状態への改造を考えたいところでは。
いっぽう、「榛名」は大戦中期に艦橋上部を大きく改修しており、撤去された射撃指揮所を自作するのはかなり難しいため、大戦前期状態への改造はかなりハードルが高くなる。
メーカー側の今後の対応を期待したい。