vs.湘南ベルマーレ:こんなものはサッカーじゃない | みつぼしをこえてーglory for the fourth star

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サンフレッチェのことをうだうだと。広島のグアルディオラ(確信)森保一と紫の戦士たちの歩みとともに。




こんなものはサッカーじゃない。許せない。映像で見てみてもやはりその感想は変わりません。許せません。こんな試合は。


最低限のやるべきことすら存在しない。ありえない事態を40分近く放置している。そんなことが許されている。誰も指摘しない。直そうと動かない。ありえない。


私は出された料理が不味いと言っているんじゃないんです。注文があるのに料理をしないことに怒っているんです。材料も料理人も揃っているのに注文を無視することに怒っているのです。腹が減るいっぽうだし隣の料理人はちゃんと料理しているのでなおさらイライラするのです。目の前の事態以外のことに心を奪われているのでしょうか。今年はずっとそうですが、何を勘違いをしているのでしょうか。料理人なのにロケットでも作ろうとしているのでしょうか。それくらい突拍子のない時間が多すぎます。不思議で仕方がありません。






◆試合内容








広島はせっかく実力を出し始めた宮吉が長期離脱という憑りつかれているのかというこの頃。その位置には名古屋戦で試運転されたAロペス。


広島のネックは湘南の左ストッパー三竿が上がってきてプレッシャーをずらされてしまう右サイドアタックであるが、ちょうどそこで防波堤になるべきであるロペスはやはり守備で困っており、その穴埋めに青山が一人で走りこんでしまうため、広島の守備はブロックなど存在しませんという無秩序ぶりであった。懸命に埋めようとするマルちゃんさんや千葉ちゃんであったが二人しか気が利かないので(ミカ様に求めてもちょっと無理)、自由に裏とられ放題となり、ロペスが取りに行かないので誰も取りに行けず、ただ座して死を待つのみという有様であった。


先制点はフィードからであったが、座して死を待つことが開始数秒で確定してしまったために誰もジネイと清水航平の競り合いに反応せず、あっけなく端戸にシュートを打たれていた。当然すぎる失点。


ここからどうするか、というところであったが気を取り直すこともなく緩慢にカウンターのピンチを迎え続ける広島。なんとかウイングが裏を取ろうとするも、ストッパーが余裕をもってキープし、前進するという動きなくしては攻撃のしようがない。そのはずなのであるが、誰も外せていないのに中央でのウタカ、ロペスへの足元のパスで偶然ターンできることに期待しようという常軌を逸するアプローチであった上に、そのこぼれ球を狙ってカウンターにするという次善の策すらなく、ただ徒に湘南に良さを出させていただけであった。


ようやくまともに動き始めたのは35分、柴崎とロペスのサイドを替えて三竿へのマークをやっとやりはじめたあたりから。水準は低かったものの相対的な意味でいい守備を手に入れた広島は繋ぎの余裕を作ることができ、ウタカへのパスコースを作り出すことに成功した。そこで決めてしまうウタカが凄すぎる。


後半になるとロペスが少しは三竿につくことを覚えはじめ、少しはやれるようになったものの、ジネイを起点とするワンツーで清水航平の食いつきを狙い撃ちにするプランに移行した湘南。淀みなく、流石だし、見ごたえがある。ワンツー地獄であるので後ろががら空きというリスクを内包しており、そこを巧みに青山や丸谷が使うことで広島にもチャンスが生まれ始めるが、逆にブレなさで上である湘南が迷いな気プレスで丸谷や青山からひっかけてショートカウンターのチャンスを生み出す。


シーソーゲームとなった中で先に点を奪ったのは広島。こぼれ球をカズが正確につなぐと、クロスは流れて柏がキープ。期せずしてサイドチェンジとなったことで彼の仕掛けにより中央が空いたところに丸谷が飛び込み、右アウトサイドで難しいコースに流し込んだ。ここぞというところで大仕事。


攻めるしかなくなった湘南は神谷、ウェズレーを投入し、地上から人数をかけたワンタッチプレーの圧力を高めるとともにサイドからの早めのクロスでのゆさぶりも入れてくる。決定機での謎のワンツーやデフレクションを押し込めないアンラッキーが続いてしまい、なかなかゴールは上げられない。


広島もカウンターのチャンス度が高まったものの、柏の折り返しにウタカは成らず。脚を怪我してしまい皆川と交代した。守備で頑張る皆川はポストプレーでも非凡さを見せ、少し盛り返してくる。しかし、ロペスに変わって入った茶島はロペスとは逆に無謀なプレスが多すぎ、疲れ果てたほかの選手とかみ合わず皆川と二人でプレスを空転させ、湘南の決定機に貢献した。キーパーの飛び出た大チャンスも決め切れず、気負いすぎていたっぽい。


最後まで広島は試合のプランや選手のバイオリズムかみ合わず、湘南も湘南でかみ合わない広島を的確に料理しながらもなぜかフィニッシュの時だけ別人のようにゴールの外にボールをけってしまうというヘンテコぶりで、奇妙な90分は終幕となった。






◆トピックス:無免許運転アドリアンロペス



非常にフラストレーションが溜まったのが夏の補強で加入したロペスの「白紙」としかいいようのない立ち居振る舞いでした。広島のシャドウでやるべきことが何一つ満足にできていません。この状態でなぜピッチに立っているのでしょうか。無免許で飛行機を飛ばしているような(そんな飛行機乗ったことないけど)感覚でした。意味が分からなかった。


湘南の左サイドアタック―正確な左足のキックを持つ三竿のオーバーラップによりサイド攻撃で優位に立つ―が広島を苦しめてきたことは周知の事実です。毎回やられています。今季の広島はワントップの第一守備をかなりの時間放棄しているので青山が飛び出す守備が機能せず、特に彼のいる右サイドの守備の連係が非常に困難になっていることもまた周知の事実です。(そのこと自体の是非はウタカが元を取っているのでどうこうするつもりはありません。個人的には許容しにくいですが、彼を活かすにはワントップしかないのが広島の限界であるのでしょうがない)
ゆえにまだ来たばっかりのロペスを右に置くのは危険。証明終わり。


カウンターでやりかえすことでバランスをとるという算段だったのかもしれません。しかし、5バックをPAまで下げる名古屋であればともかく、湘南の守備位置は高く、足元でもらうことしかやらないロペスとの相性は最悪です。懸命に裏を取ろうとしているウイングまでフィードを飛ばすことすらできないほどにビルドアップの逃げ場はなくなり、湘南の前線守備が躍動することになりました。これも当然試合前に予測すべきだし、対処すべき問題だった。足元でもらいに行くポジショニングは置いても、少なくとも裏抜けを徹底しないのであればロペスに攻撃手としての価値はなかった。


上記二つの問題に対して広島は何を選んだか?答えは放置。攻守の懸念がそのままピッチに現れましたが、ピッチ上でもベンチにも何も手を打つことなくただただ湘南が走り、広島はただ見ている。それだけの時間が過ぎていきました。ここで4-0、5-0 にならなかったのはただ湘南のフィニッシュがへたくそだっただけです。湘南の試合のプラン自体は見事でした。


ただ、それは広島の予想の範疇だったはずだし、実際35分経ってようやく柴崎が右にうつって三竿をチェックすることでボランチが引き出されにくくなり、いい形で奪えるようになった矢先にウタカの同点弾が生まれました。これは偶然ではありません。やるべきことをやったから当然の結果として湘南の守備が切り替えによって崩れ、縦パスのコースが空いたからです。当然のことを当然にやったからです。これは試合開始からできたはずです。何度も繰り返してしまいますが、「出来るのにやらない」から度し難いのです



ここまでのリスクがありながら起用したということはボールを持った時によほど特別な才能を発揮しなければ元がとれません。ただでさえそのコストの大きなウタカを抱えながらそんな選手を併用していること自体許しがたい怠慢だと思うのですが、ロペスにはボールを持った時すらも凡庸で、今季の広島のシャドウの中で最も判断も身体の動きもクオリティが低かったです。名古屋戦も直線でゴールに向かってただぶつけるだけの選手でしたが、この試合でも全く改まっていません。後半湘南がストッパーを上げてカウンターを決めやすくなった状態ですら攻め残りながらも何も仕事をしていませんでした。なのになぜ使われているのでしょうか。練習で良かったのかもしれませんが、本番で足を引っ張っているのですからきちんと評価すべきでしょう。



フィットしないことを許されるのは、フィットしたときの爆発力が期待できることに担保されていると思います。ウタカであれば足元でのプレーのクリエイティビティと他の追随を許さない決定力。ドウグラスであれば、失敗の分以上にチームを救おうとする献身的な守備とカウンターで相手をなぎたおすランニングとヘディングのパワーによるフィニッシュと苦しい場面での人柱役。



アドリアンロペスには、組織的連動の欠如を許容できるスペシャリティが何一つありませんでした。大柄なことが注目されていますが、大柄であるだけで、相手のマーカーを上回るスキル、駆け引きが何一つありませんでした。一言でいえば外れだと思います。22歳でこのクオリティなら皆川をシャドウに置くことを検討した方がどう考えても上です。ここまで何もしない外国人を育てないといけないほど広島の選手層は困ってないと思うのですが。



こんなシャドウとしての免許の何一つない選手をピッチに立たせるようなハードルの低さでスタメン争いの充実を謳うのは間違っています。ブラジル人ならどんなに要求水準を下回ろうがだれでも出られるという風に言い直しなさい。彼に力がないことではなく、そんな選手をピッチに立たせることを許している人間全員が許せない。広島はそんな安いクラブじゃない。







◆未来へ:下がり続けるハードル



「サッカーが下手であること」はしょうがないです。思ってたんと違うという事態が今年は多すぎますし、そうであるので状況に合わせた制御をうまくとることが難しいのはわかります。


しかしながらその努力すらせずなすがままにしている。そういう、「サッカーをしないこと」を許してしまうことが不快だし、恐ろしいと思っています。昨日はそういう試合だったと思います。サッカーじゃありませんでした。スコアはたまたま2‐1になりましたが、本当にたまたまです。2点取ったことはたまたまではありませんし、よくやったといえますが、この内容で失点が1点で済んだことはたまたま以外の要素を見つけることが難しいです。たまたまを当てにするサッカーはサンフレッチェが一番嫌ってきたものであるだと信じているのですが。


それを許している、というよりもチームとしてすべき努力を放棄してそれに縋り付こうとさえしている。努力の結果として当てにせざるを得ないのであればそれは理解できます。その努力を取り違えて続けて半年が経過していることが腹立たしくてならんのです。追い詰められた結果ではなく、勝ち点に余裕のある状態でそんな試合を「選択」しているからこそ許せないですし、それを許している風潮も許せません。吐き気を催す甘えであると、断じておきます。


こんなものを続けて出すようであれば応援なんかしません。湘南でも川崎でも、J2にもいくらでもいいサッカーをするチームはあります。私が広島を応援しているのは第一に森保さんが監督をしているからですが、勝つんだというメッセージをピッチから明瞭に読み取れる監督と選手の持つデザイン能力、それが難しい時にもその状況を曇りなく分析し、団結して修正に向かうことのできる知性と強靭さに憧れるからです。


それが出来る力、選手の質と量をここまで積み重ねてきていながら、それらを放り投げて”今そこにある”自分たちと相手の状況を無視してやりたいことしかやらないのであれば、敵手としての役目を果たそうとしないのであれば、それは試合とはいえませんし、わざわざ見に行く魅力などありえません。勝手にすればいい。試合をやらないのであれば書きようもないのでブログもちょっと難しくなるかもしれません。まあ、サッカーはもっと見たいので広島関係なく観戦のブログにでもします。



以上です。