【2nd stage 第14節】vs.川崎フロンターレ―不撓不屈 | みつぼしをこえてーglory for the fourth star

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サンフレッチェのことをうだうだと。広島のグアルディオラ(確信)森保一と紫の戦士たちの歩みとともに。





不撓不屈 意味
  • 強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま。▽「撓」はたわむ意。転じて、屈すること。


http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/idiom/%E4%B8%8D%E6%92%93%E4%B8%8D%E5%B1%88/m0u/%E3%81%B5/



ギリギリの勝負でした。互いの持てる技術、精神力、そしてteamとしてのもろもろの力…すべてをぶつけあった試合になりました。これだけの大舞台でこれだけの試合ができたことがまずは良かった。前節は後半立ち上がりで全くついていけなかった残念感が強すぎたんですが、それを綺麗に払拭しました。それでもめでたしめでたしと勝たせてくれないのが川崎フロンターレという素晴らしいチームでした。



しかし、我々には、山岸智が居る



まだ何かを勝ち取ったわけでも、保証されたわけでもないですが、これだけは確かに刻み付けられました。どんな困難にも屈することなく、ほんの僅かな好機を手繰り寄せる、真のプロフェッショナル達と闘っているんだということを。



募集中のラッキー・スター、特に年齢制限とかないですからねw いぶし銀に輝くラッキー・スター、最高じゃないですか。



…なーんで土曜日まで広島にいなかったかなーワシ。。












◆真っ向勝負―我慢と我慢の頂上対決




川崎フロンターレも3-4-2-1―おそらく、エウシーニョと中野のフィニッシュワークに優れた両ウイングが絡みやすいようにという「攻撃的な」判断から―であったので、やはりバチバチと同じポジションの選手がぶつかり合うことになりました。真っ向からぶつかり合う「いい試合」となったのは、このマッチアップ環境によるところが大きいでしょう。お互いに望むところというメンタリティもあったので、一層の盛り上がりを見せていました。


初めは天皇杯で全員休んだ広島とフル稼働だった川崎にコンディション差があるな、という広島の優勢でしたが、徐々に不敵なポジショニングでかき回す川崎に押され始め、カウンターの発動も徹底した切り替えでのプレッシングに晒されて、マンツーマン状態が川崎に有利に働き始めます。


パスを繋ぎ、ゴールに迫る選択肢の数と速さの差とで―もう少し突っ込んで言えば、ストッパーとウイングのフォローの速さとボランチとシャドウの相手の守備網の間をとる動き直しの多彩さ、それらを判断する情報処理の速さ―川崎が押し込んでいきます。



広島は、相手をやり込み後ろを疎かにするリスクに重きに置く代わりに停滞を生むことがままあるのですが、代わりに「耐え抜いた先にチャンスがある我慢にかけては最も鍛え抜かれているチームであるといえるでしょう。川崎フロンターレという「引いた相手を崩す」我慢にかけてはおそらく、日本で一番鍛え抜かれたチームが相手であったことで、広島の「我慢」は今季最高の輝きをみせていました。



まあ、命がいくらあっても足りませんでしたが…サンキュータクトさん…サンキューカズ様…w







◆真っ向勝負―打ち破る強烈な個人技





お互いの持ち味がぶつかり合い、膠着した展開。集中力が極限まで高まったのか、後半は仰天のスーパープレーが試合の展開を二転三転させていきました。



伝家の宝刀であるカウンターが抑え込まれてしまい(ウイングをうまく使えなかったですね…)、ゴールをとる道筋が見えない我慢のチキンレースとなってしまっている、広島にとっては決して楽観できるものではなかった展開を一気にひっくり返した、柴崎晃誠先生の一撃。











広島の我慢が実を結び、このまま一気に勝負を持っていくぞと浅野カウンター戦法へ。同点を狙いさらにリスクをかけた川崎の陣地にはスペースが広がり、前半とは打って変わってパスもランも冴えわたる広島イレブン。


しかし、試合の趨勢は再び反転。幾度も試合をクローズされそうになった中で、大久保が放った起死回生の一撃で、試合はふりだしに。









このままでは終われない。その想いがあたかもボールに乗り移ったかのような、常軌を逸した軌道。この試合はただごとではすまない…そんな気配をたたえたまま終盤に差し掛かりました。







◆真っ向勝負―総力戦の果てに



先制した広島は、浅野で高速カウンターにて止めを、佐々木でサイド大外でのフィニッシュを抑える(対面のエウシーニョはフィニッシュが異常にうまいのです)、という狙いだったと思うのですが、その予定通りの働きを見せます。また、佐々木は守備のみならず、攻撃でもシンプルな判断からカウンターの好機を生み出していました。毎回思いますが、ウイングささしょDFと思えないくらい上手いw


対する川崎は杉本を投入して前線に高さを加え、トーンダウンした中野を車屋に代えて攻め込んでいましたが、効果は薄く…というところでの大久保の同点弾。


これで川崎に勢いが出て、広島は佐々木で抑えに行ったのにもう一点とらねば…と、どっちに転ぶかわからない状態になりました。
狙いがズレたとはいえ、広島もまた、勝ち点3が必須な川崎の裏を狙えていて、ささしょがクロスを入れまくる(それってどうなんだw)状態にはなっていました。


時間は90分まで進み、ここで両者三人目のカードを投入。


川崎はもう一点という小宮山→森谷。対する広島は清水の負傷交代、つまり、現状維持の予定が急きょ変更となっての清水→山岸でした。


方や、一気呵成、方や、満身創痍。それでも、前へ、ゴールへ。その想いと冷静な判断、技術が少しだけ上回った、92分のシーン。この試合最大のドラマは、林卓人のセーブでもなく、柴崎晃誠のスーパーシュートでもなく、大久保嘉人の魔球でもなく。ここから、最後の最後のこの場面でした。










最終ラインで川崎の攻撃に備えていたところから…森崎和幸のボール奪取、浅野拓磨が競り勝ち、ゴールにひた走るところで一気に敵陣へ…

ドウグラスとともにPAに飛び込んだ、まさにエアポケットに零れ落ちたクリアボールを落ち着いて押し込んだ…!

ナビスコ決勝で、攻撃の責任を一人で背負わせてしまっていたかのような突破の連続から、足を痛めてしまって逆転弾につながってしまった…あの失意から今季にさしかかるところで再びの故障…柏好文が新境地を見せ、清水航平が身体を張り、高橋壮也が台頭する中でベンチ入りすらもままならなかった、タイトルに関わり続けた男の、最高の、復活弾でした。


そうだ。そのゴールのどれもがチームを救う、そういう男が、山岸智なのだ…(本当にプロデビュー以来得点試合無敗らしいですw)








◆今季最高の「結集」を、最後まで。



試合内容としては、会心でもなく、むしろ褒められないものだったと思います。前半のやられすぎな内容は、攻撃の判断の精度がよろしくなかった…カウンターに急ぎすぎたところと、相手が5-2-3とブロックをつけたところで打開策を打ち出せなかったところと、「攻撃のまずさ」はそのままになっています。

後半、むちゃくちゃなミドルが決まった後、戦術浅野でゴールに迫った際の、ラストパスが雑でいくつものゴールチャンスを逃したこと。浅野は、ドウグラスへのラストパスなど、あまりにも味方に不親切なプレーが多くみられました。試合後泣きたい気持ちもわかる(泣きたいのはこっちだよ、にならなくて本当に良かったです…w)


それでも、こと「団結力」に関しては、今季最高のものを見せていたと思います。守備もそうですし、追いつかれた後も慌てず抑えながらもう一点というバランスが取れていました。さらに、監督の采配も加わって、それでも追いつかれてしまった、というところで、青山キャプテンがスタジアムの声援を味方につける煽り…今季で一番、多くのものを注ぎ込んだ試合になったんじゃないでしょうか。


そういう、「すべてをつぎ込んだ試合」を成功体験にできたこと。これは最高の成功体験になったはず。願わくば、最終節のホームゲームでも、次節とその次のアウェーゲームも、そして、チャンピオンシップも。そうなってほしいものです。



すべてが決勝戦。そういう時期になるでしょう。選手にとって、ではなく、サンフレッチェに関わる「すべて」が決勝戦になっていけば、自然と今日みたいな「すべてを注ぎ込む」試合になるはず。望む結果は、きっとその先に…





では。また中銀スタで。全てを、残り二か月に。