宮部みゆき『堪忍箱』の感想です。


堪忍箱 (新潮文庫)/宮部 みゆき
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江戸ものの短編集です。


「砂村新田」と「かどわかし」が良かったです。


名も無き人の人生に秘められた「想い」のようなことを書かせたら、宮部みゆきはやっぱりうまいと思います。


浪人中のお侍がでてくる「敵持ち」と「謀りごと」はどことなく山本周五郎を思わせる感じがしました。


「十六夜髑髏」で、主人公の少女に、先輩女中がいいます。


「世間様の風には、東も南もないんだ。ぜんぶ北風なんだからね。」


この言葉に象徴されるように、この短編集には、つらい境遇にあるためリアリストであるしかない女性が多く登場します。


全体として暗いので、「ぼんくら」のおでこや弓の助のような少年が登場する明るめの短篇があればと思いました。


アニータ・ブルックナー『秋のホテル』の感想です。


秋のホテル (ブルックナー・コレクション)/アニータ・ブルックナー
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30代の独身のイギリス人女性作家が、ある騒動(個人的事件)があって、逃れるようにスイスのホテルにやってきます。自分を見つめ直しながら、そこで出会った人々を観察しおだやかな交流を続けるうちに、ある男性と出会って。。。


カズオ・イシグロの『日の名残り』と同じ、ブッカー賞を受賞しました。

私は見ていないけど、映画化されたと思います。


題名から期待したとおり、上品で静かな感じ。今の季節に合っています。


主人公たちが散策したりするホテルの周りの描写がとても美しい。


不倫なんかがでてくるわりにはどろどろした感じがなくあっさりしています。


ホテルに来る前の騒動の部分がユーモラスです。


ミステリーではないのだけど、ミステリーのようなおもしろさもあります。

主人公の女性も、とても知的ではあるんだけど、嫌味がなく普通の人で私は好感が持てました。




ジョセフィン・テイ『ロウソクのために一シリングを 』の感想です。


ロウソクのために一シリングを (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/ジョセフィン テイ
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宮部みゆきが解説を書いています。先にその解説を読んだのですが、さすがにご自身もミステリが好きな宮部さんらしく、とても面白く、読みたくなるような解説だったので、読んでみました。


子供っぽい感じはあるけど、個性的だけれどいい人がたくさん登場して、読後感がさわやかな、上品な優しいイギリスのミステリです。


ミステリとしてもちろん良くできていて、謎解きも納得できますが、私は、題名の意味や、登場人物の性格の描かれ方が印象に残りました。


特に、宮部さんも解説に書いているように、容疑者の青年が印象的で、この人物が魅力的に描かれていると思います。


警察署長の娘など、他にも面白い人物が登場します。


学校の先生が被害者について語る部分は、宮部みゆきに似ていると思いました。


イギリスの風景や人々の暮らし(もちろん古い感じはありますが)の描かれ方も魅力的でした。