仕事が休みになったものでお父さんが病院へ定期検診に行った。
それで、夕ご飯頃に帰ってきて、

「買ってきた物あるんだ。早いけど誕生日プレゼントってことにする!」

といきなりの発言。
今までにないことだったから、私はただただびっくり。
それで、お父さんがくれた黄色い買い物袋の中はずっしりと重かった。
中を見てみると、そこには『1Q84』1巻と3巻が入ってた。

「なんで2巻がないんだ!? って思ったべ!」

うん、思った!

「本屋に行ったら、2巻だけしかなくてよ。それで市内の他の支店に電話かけて調べてもらったら、2巻だけありません…、って言われて」
えー、2巻だけ? どこの支店にもなかったんだ。

「そうなのさ。それでお父さん、頑張ったんだど! ○とか◆とか□とか6店くらいの本屋探してもなくてよ。もうだめか、って思ったんだ。…でも、」

そう言って、後ろから紙袋を取り出し、勢いよくそれを開ければ、新品の2巻がきちんと入ってた。

「最後の一冊だったんだぞ~。すごいべ!」

にっこりお父さんの笑顔。
目尻がだらんって下がってる。
私は何かがぶり返しそうなくらい嬉しくなった。
昨日の些細な会話の中<


昔は(って言ってもそんな大それた昔じゃなく、ひと昔、という意味で)連絡をとるのは、遠方であれば手紙とかリアルタイムでなら電話だった。
今はメールやら、ツイッターやら、瞬間的に手軽に事を済ませてしまえるものがほとんど。

別に私は前者後者を否定しない。
むしろ人間と同じようにそれぞれ個性があって素敵だと思う。

でも、ひと昔まえの連絡手段には、漠然と、いいなぁ、と感じる点が私の場合はなんだか多い。
それは、これとそれは違う! だめ! っていう白黒つけるようなばっさりと一刀両断するものじゃなく、なんというか憧れ的なもの。
現代っ子の私からすれば、平成初期の流行りは当たり前だけど、正直に言ってしまえばきな臭さを感じるくらいに、ダサい。

だけど、シンプルな飾らない便箋に綴られた手紙とか、重々しい重厚な電話とか、そのダサさがきな臭くて素敵だ。
ボリュームのある細やかにウェーブのかかった無機質なくらい黒い長い髪で、首を傾げながら手紙を書き、読み、電話口で聞き、話す。
そんな女の人。
瞼の裏に浮かばせなくても、素敵な雰囲気を纏ってる、ということは想像できる。
素敵なんだな、この斜め右前からの角度が。
ぶりっこじゃなくて、浅く広い知識を持った30代半ばの女の人なら尚素敵。


……でも、決して、自分がそうなりたいわけじゃないけど。
だって、昔はきな臭くてダサいからね。

なんて、江國香織の『きらきらひかる』を読んで、ちょっとそう思いました。
せっかく文章書いたのに瞬時にして消え去ったので、ささっと概要だけ(笑
弟への差し入れにチヂミを作り、函館で古本とレンタルDVD入手!



[本]
*きらきらひかる/江國香織
*新源氏物語(上)/田辺聖子
*ブロークバック・マウンテン/アニー・プルー

[映画]
*ハンニバル
*ゾディアック
*シャイン
*ジャーヘッド



明日からのちいさな楽しみがたくさん増えましたw