今日3月30日は、母親の88回めの誕生日でした。

コロナ禍なので本当は、神奈川に住んでいる私は、対面で面会出来ないルールですが、
(同じ秋田県内の人なら面会可)
最近母親の食が細くなって来ているため、施設の特別な配慮により、面会することができました。

施設では栄養が充分に取れていないため、母親がいつ意識を失ってもおかしくないと思っているのでしょう。
意識がはっきりしているうちに一度は面会してもらうことで、後悔してもらいたくないのでしょう。

ただし施設に入るためには、個人用防護装備(PPE)をつける必要があります。
具体的には、エプロン、マスク、マウスシールド、手袋、シューズカバー、帽子、荷物を入れるビニール袋でした。
※ゴーグルはつけなくて良いと言われました。

これは、感染しているかも知れない私たちから、母親を守る格好ではなく、感染病棟に入る私を守るための格好だよなぁ、と思いました。

感染者が連日100人超えの神奈川の人間を施設に入れるのは、施設にとってかなりリスクがあります。
私はかなりリスクがあるし、防護服を着たらただの怪しい人なので、母親は子供たちが来てくれたと思わない、そこまでして会いたいと思わない、今まで通り"オンライン面会"や"窓越し面会"で構わない、と言いました。

しかし、施設は覚悟していましたので、ご厚意に甘えることにしました。

施設の職員用入口の外で、体温計、消毒液、装備一式、装着手順のシート、帰る際のゴミ箱を受けとります。
私と姉は、体温を測り、持ってきた荷物を消毒して袋に入れて、エマゴテの順番で装着していきます。
そしてビニールに入れた荷物を持って、施設の中に入りました。

母親の部屋に入ると、母親は寝ていました。
施設の方いわく、今日は主食7割、副食5割食べたそうです。
食事の時間に、みんなから「今日誕生日ですね、おめでとうございます」と声を掛けられたから、いっぱい食べたのではないでしょうか。

しばらくしてやってきた看護師さんは、寝ている母親に強引に話しかけたり、ベッドを起こして、無理矢理起こそうとします。
母親は怒った様に何か言いながら、目をうっすらと開けました。
今がチャンスとばかり、施設職員や看護師が「○○さん、娘さんと息子さん、来たよ」と声をかけます。
母親は、我々がいるのを確認したら、また目をつむってしまいました。

誕生日にはいつも施設から誕生日おめでとうのカードをもらいます。
今年は、開くとHappy Birthdayの歌が流れるカードでした。

母親が寝ているのを邪魔したくなかったので、15分ぐらいで部屋を出ました。
職員玄関の外で、防護服などの装備を脱ぎ、ゴミ箱に入れて、施設をあとにしました。

介護は、罪悪感と達成感のバランスが大事であると、遠距離介護の先輩くどひろさんがブログで書いていました。

 

介護者が健康であり続けるために必要な「罪悪感」と「達成感」のバランス | 40歳からの遠距離介護 (40kaigo.net)
 

まさしくその通りだと思います。

私は独り暮らししていた母親を、もう独り暮らしは限界だと思い、母親の意思に反して強制入院させたことに"罪悪感"があり、かなりメンタルが傷つきました。
でも母親は強制入院させられたことは覚えておらず、「何もしなくても三食出てくるから良い」と言った母親の言葉に救われました。

父親は86歳で亡くなったので、父親の亡くなった年齢を追い越しましたが、女性は男性より長生きするので、私は達成感は感じませんでした。

日本人の平均寿命は、女性は87.45歳なので、こちらも超えました。
これについては喜ばしいことなので、今は達成感を感じていませんが、今後じわじわ来るのかもしれません。