2/27(土)、私は川崎市社協・川崎市が主催した「市民向け成年後見制度研修」に参加しました。
パンフレットはこんな感じ↓


今回の市民向け成年後見制度研修の内容は、こんな感じです。
1.講演(2時間) 「成年後見制度の概要について」 妻鹿琢生弁護士
2.質疑応答(30分) 「あなたの質問に弁護士が答えます」

今回初の試みとして、Zoomによるオンラインで開催されました。
定員20名でしたが、申込み31名全員が参加でき、大人数でのオンライン講義になりました。
参加者は顔出しNGに変更されたので、講師の方は反応がわからず大変そうでしたが、
ときどきリアクションで"挙手"や"拍手"をするようにお願いするなど、いろいろ工夫していました。

講師を担当された妻鹿琢生弁護士は、40代の若い弁護士ですが、
現在14名の後見/保佐/補助/任意後見/監督人を受任しているそうで、
過去を含めると、30件以上の受任経験があるそうです。

私が気になったことが、いくつかありました。

1.講演の中で、「法定後見申立に必要な書類」の説明がありましたが、
講師は、2019年4月から追加された「本人情報シート」の説明をしませんでした。
この本人情報シートは必須ではありませんが、ご本人が後見/保佐/補助のどれにあたるかを
医師や家庭裁判所が正しく判断するための、とても大切な書類になっています。
もしかして、妻鹿弁護士は、「本人情報シート」が追加されたことを知らないのかな?と私は思いました。

2.質疑応答の時に、昨年「意思決定支援を踏まえた後見事務ガイドライン」が制定されたので、今後は弁護士などの専門職後見人は、改善されるかを聞いた人がいました。(実は、私ですが・・・)
 

しかし妻鹿弁護士は、1人で10件担当していて月に2回訪問すれば、月20日取られてしまうことを理由に、市民後見人や親族後見人を増やす体制づくりを整えるべき、と回答しました。

この弁護士は「意思決定支援を踏まえた後見事務ガイドライン」が制定されたことを知らないのかな?と思いましたし、
残念ながら、この弁護士は効率的に仕事することが最優先で、本人の意思を尊重すること(※)や、「身上保護の重視」(※)する様、改善するつもりはない、と感じました。
 

※「本人の意思の尊重」は、民法第858条で規定されています。

※「身上保護の重視」は、成年後見制度利用促進法第3条で、基本理念の1つに規定されています。

 

3.イベント終了するとき、進行役の川崎市社協職員さんは、アンケートのお願いをしていましたが、そのとき、「来年度は、この市民向け研修を年2回開催する予定です。」と発言していました。
しかし、来年度の市民向け研修を主催するのは、中核機関である「川崎市成年後見支援センター」を受託する業者になります。
この受託する業者は、現在公募が終わり、3月上旬に結果が通知される予定です。

参考)令和3年度川崎市成年後見支援センター運営事業実施委託に関する公募型プロポーザルの実施について
川崎市成年後見支援センター運営事業仕様書 (この仕様書の中に「市民向け研修を年2回開催」という記載があります)

来年度も、きっと川崎市社協が受託すると思いますが、川崎市社協ではない業者に決定する可能性もあるはずです。
なのに、市社協職員が「来年も実施します」と発言してしまったのは、ちょっとフライングだなと思いました。