今回の帰省直前、母親の施設から姉に電話がありました。
「今朝大きな音がして部屋に行ったら、タンスが倒れていた。申し訳ないがタンスを撤去させてほしい」と。
以前から、タンスの引き出しを全部あけるという行動に出ていたそうです。
たぶん何かを探していたんだと思うのだけれど。
タンスを撤去させてほしいという苦渋の結論に行きつくまで、施設はいろんなことを試行錯誤してきたに違いありません。

その後続けて電話がありました。
「頭頂部に10㎝大のたんこぶと内出血が出来ている。往診の医師の診断では、病院で検査してもらったほうが良いと」
「往診は機嫌が良いけれど、採血しようとすると拒否するので、病院に連れて行くのは難しい」
病院嫌い、医者嫌いの母親は、施設の人(特に看護師)の言うことは聞きません。
父親の言うことだけ聞いていれば、病院に行かなくて済んでいたからです。
父親がいない今は、家族が説得するしかありません。

午前中2件の約束が終わり、施設に電話すると、お昼過ぎに救急外来に連れて行くので、今すぐ来て欲しいとのこと。
私と姉はお昼ご飯も食べずにタクシーで向かいました。

施設では、母親は昼食を食べていました。その間に状況説明を受けます。
すでにタンスは撤去され、部屋に入ってすぐ見える場所にベッドが移動され、センサーマットが設置されています。
センサーマットは、踏むと自動的にナースコールがされる、例のやつです。
父親の終末期でも、センサーマットは使いました。

母親は昼食が終わった後、立ちましたが、歩けないようです。
看護師さんに支えられ、車いすに乗りました。
食後の歯磨きをして、連れ出そうとすると、母親は「行きたくない」と拒否しましたが、心を鬼にして施設の車に乗せました。
知らない人が見たら、高齢者を虐待しているように見えたに違いありません。
本当に虐待していたら、虐待している人は絶対虐待しているとは言いませんが。

車の中では、施設の人が、「ひさしぶりのドライブですね~」と言いつつ、機嫌を戻そうと努力します。
病院に着いたら、施設の人は戻りましたので、私と姉が診察の付き添いをしました。
医師からいろいろ聞かれても、「なんでここにいるんだ?」と機嫌斜めMAXです。
なんとかベッドに寝かせて、触診をすると、痛いのか「やめろ!」というぐらいです。

なんとか頭部CTと下半身のレントゲン、採血、導尿をしましたが、CT撮影とレントゲン室からは、母親の大声が廊下にいた我々に聞こえるぐらい抵抗をしていました。
採血のときは、私が横にいて手を触り、機嫌が悪くならないようにしたら、なんとか採血させてくれました。

検査の結果、「慢性硬膜下血腫」が見つかりました。
脳外科の医師は、慢性の中に急性も含まれているかもしれないので、推移をみるため、本日入院して明日再度CTを撮ることを勧めます。
そして、状況によっては「拘束」することもあると説明しました。
私は「本人は帰りたがっているので、入院は難しい」と答えました。
そうすると医師は「本人に説明するので、本人がYesと言ったら入院でいいですか?」と言い、あきらめていないようです。

母親のところに戻り、医師は母親を説得しはじめました。
医師は最後の手段「ご家族も入院してほしいと言っている」とウソつくこともしましたが、母親は承諾しませんでした。
すると、母親の点滴(生理食塩水)が抜けていたことに気づきました。
一人になった時に、自分で抜いたのでしょう。袖口には大きな血の跡がついていました。
そのことを母親にいうと、「へへ」と笑っていました(笑)
医療保護入院(強制入院)させるためには、条件を満たしていないことがわかっていたのか、最終的に医師は折れて「よく相談しておいてください」と言い、その場を離れました。

結局明日(3/30)に再度一般外来にてCTを撮ることを条件に、施設に帰れることになりました。
医師のおかげで”不穏”になった母親を、なんとか機嫌良くさせるために、私は、孫の小さい頃の写真を見せました。
「かわいいねぇ」「めんこいごと~」を連発し、母親の機嫌は戻りました。

【おまけ】
救急外来にいった病院では、「携帯使用禁止」の張り紙の横に、「フリーWifi」の張り紙がありました。
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