認知症とは、「様々な原因で脳の細胞が死んでしまい、生活に支障をきたす症状」です。

~症なので、正式には病名ではありません。

四大認知症と言われているのが、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉型認知症です。

(私の講座の資料より)

 

私の両親は、二人ともアルツハイマー型認知症と診断されました。

アルツハイマーは、アミロイドβというたんぱく質が蓄積し、脳の広範囲で萎縮が起こります。

萎縮が起こっていても、生活に支障をきたさない人もいるそうなので、原因はよくわかっていません。

 

父親は80歳ぐらいまで仕事を続けていましたが、仕事場の同僚から「認知症の疑いがある」と言われて、健康診断を受けるように言われましたが、拒否したため、仕事の契約を延長されず、説得され辞めることになりました。

健康診断を受けるように説得することは、私にも電話がかかってきて、父親を説得する様に頼まれました。

私は父親本人には言えなかったので、母親に「お父さん、認知症の疑いがあるんだって」と言い、母親から病院にいくように説得を頼みました。

 

するとすぐ父親から電話がかかってきて「俺、認知症っていうのか!」というクレームでした。

私は「わからないけど、一緒に仕事している〇〇さんがそう言うんだから、そうかもしれないよ」と、結果的に”告知”しました。

 

この”告知”が良かったのか悪かったのか、今でもよくわかりません。

以前父親から聞いていたのは、「俺だったら、患者にはガンとは絶対に告知しない」でした。

それは告知された人の気持ちを考えてのことだったと思います。

今では、ガンは早期発見なら治せる病気になりましたが、当時は不治の病でしたから。

認知症も不治の病です。(脳血管性なら治るチャンスはありますが)。

認知症に関しては、私よりも父親の方が知識豊富でしたので、テキトーなウソをついて隠してもバレると思いました。

でも私は、告知された父親の気持ちを考えずに"告知"したことを、後悔しています。

 

これを踏まえて、母親本人には認知症とは"告知"していません。

母親は、認知症に関して全然知識がない一般人ですし、ショックを受けるだけで、認知症と言われてもこうすれば大丈夫だということも、知りません。

 

でも父親には、「お母さんは、アルツハイマー型認知症って診断された」と言いました。

それを聞いた父親は、アルツハイマー型認知症の特徴の一つ一つを挙げて、その症状が母親にあるのか尋ねて来ました。

そんな様子を見た私は、父親は本当はアルツハイマー型認知症ではなく、ただの老化だったと思っています。

 

認知症という不治の病を、本人に"告知"するかどうかは、大変難しい問題です。

ガンも治療に長い時間かかることがありますが、認知症も、診断されたあとも、長い人生があります。10年以上生きる方も多いです。

 

記憶力の低下が見られますが、それに気づくのは本人ではなく、身近な人間に指摘された場合です。

本人は気づいていますが、大きな問題ではないと判断しているので、全然気にしていません。

 

実際に母親は、財布をどこに置いたか忘れていても、問題ないと言いました。

大きな問題なのに、大きな問題ではないと判断してしまうことこそが、まさしく判断力の低下だと思います。

 

「本人が快適に暮らせるように、本人の気持ちに寄り添い、さり気なくフォローする」

そんな社会が、私の理想です。