フィリップ・ファイト作 「救い主の御母」
執り成しを求める祈りのカニヴェ (V. メニオル 図版番号20)
ドクロスハッチ
ドクロスハッチ?
ドクロスハッチ??
この単語を聞いて
「あー、あれね!」と、ピンとくる人は
たぶん変態(失礼)
ふなっしーさん御用達のウィキペディアにも載ってないなっしー(´□`。)
それなら、と
「クロスハッチング」でWikiってみました。
要約すると、強弱のついた線を重ねて描くことで2次元における絵画に陰影を付けて立体的に見せる描画方の一種。
さらに、「シェーディング」のページに詳しく説明がありました。
”紙上に絵を描く際のシェーディング(陰影画法)とは、暗い部分にはより濃く画材を使用し、明るい部分には軽く画材を使用することで、描く手法である。シェーディング技法には、直角に交わる線を間隔を変えながら多数描いて影を表すクロスハッチングなどがある。線の間隔が狭い部分は影が濃い部分となる。同様に線の間隔が広い部分は明るい部分となる。
対象物への光の当たり方を考慮してシェーディングを施すことで、紙上に奥行きがあるかのように感じられる絵を描くことができる。”
ふた昔、、
いや、もうちょい遡ること二十数年。
当時の私は、現役デザイナーやプランナーが講師の名を連ねる、とあるデザイン系専門学校の夜間部に通っていました。
そこに集う生徒は美術やモノづくりが得意であっても、それまで絵画や造形など基礎から習ったことのない生徒が大半(美大を受験するほど芸術肌ではないから?)。
授業では、基礎をじっくり身につけるためデッサンの時間がみっちりカリキュラムに組み込まれていました。
入学してから前期の半年間、デッサンの時間(一コマ2時間)は、ひたすら「ドクロスハッチ」をやらされました。
なぜ「ド」が付いてるの?
当時はなにもわからずだったけど、
「ドM」とか「ド根性」とか、
その持つ意味を強調する「ド」がついての「ドクロスハッチ」だったのか!
と、今になって気がついた次第。
2時間ひたすら、ケント紙の上に「クロスハッチ」を描き続けるのです。
当時は「なんでこんなことばっかりせなあかんねん!」と(心の中で)吠えていました。
しかし、、
その時のデッサンの先生は
「そのまま、ありのままを見る眼(まなこ)」について
「ドクロスハッチ」を通じて教えてくれていたのです(ネ申)
「目の前にあるこの物体はな、『線』で輪郭かいてその中を塗るんやない」
「この空間と物体のあいだに境目なんかないんや」
「点と点が繋がって出来た線が交わって交わって交わって、それで面ができるんや。
その面は、ここから見たらこの面しかみえへんけど、
その面を追っていったらどこまでも繋がってんねん」
「みえてない部分、全体を捉えてそれを線で全部表現するんや!
光の加減も影も全てを!」
と、必死に線をひいている生徒の間を歩きながら強い口調で講義してくれた。
K先生
たぶん、当時50代
赤いジャージ
ノーメイク
時代遅れのおさげがトレードマーク。
洗練された佇まいの現役デザイナー講師が多い中、
異質な雰囲気を醸し出していたK先生。
生徒がデッサンしている様子を見てまわっては、
「Rっちゃん、あんたはデザイン向いてないわ!学校やめてはよお嫁さんなり!」
とか
「Wクン、あんたは消防士が向いてる!はよ学校やめて・・(以下同文)」
と、スッパリ生徒の志を斬っていくもんだから
自分は何を言われるんだかとヒヤヒヤしていたものです。
ドクロスハッチにも慣れてきて、瞬間にその形と動きを捉えて描く5分間クロッキーや、光と影の微妙な境目を集中して描く球体など、どんどんデッサンの時間が楽しくなってきた頃。
ある日、背後にじっと立っていたK先生に
「短期間でグッと伸びたなあ。
ええで、そのままやっとり。」 と
静かに言われた時の嬉しさは今でも忘れていない。
いや、
忘れていたけど、ドクロスハッチの思い出をたどってるうちに思い出しました。
卒業後、はれてデザイン関連の会社に就職するも、
2度に渡る事務所の解散に見舞われ、デザイン業界は私がいる場所じゃなかったんだと打ちひしがれていた時代もあったけど、紆余曲折を経た全ての経験は今に役立っていて、そこを経てきたからこその今があるといえるようになった。
点 と 点
線 と 線
面 と 面
それらが縦横無尽に折り重なり、
宇宙にある全ての創造物は構成されている。
そして、その創造物同士に境目はあらず。
その間にある、空間でさえも・・・
目の前の立体物、現象を「そのまま」に見、
「そのまま」に描くことは
自分が世界を創っているという事イコールなのだ。
デッサン、深いわ。。。。
いつかまた会いたい、K先生。
「ありのままを見る眼」
デッサンを通じてあなたから訓練受けました
あの時の年齢から倍の年数がたった今
もう一度受けたい授業です。
そして。。。。
ドクロスハッチがら、どんどんマクロに私の妄想は広がってゆくのです
その話はまた次回・・・