閑散期って言いましたよね?
今は閑散期だって?
なんで、こんなに仕事があるんじゃーーーーーー ヽ(`Д´)ノ
いや、少なくとも倒産の危機はないからいいことなのかもしれませんが、しかし限度ってものがあるでしょう…。
あとからあとからわいている仕事に途方に暮れるぺち太郎です。
ということで、最近仕事にぐったり>気力なっしんぐのコンボで書けません(つд・)
正しくは「かくじょーヽ(`Д´)ノ」の勢いが来る前に疲れて眠くなります(つ∀-)
楽しみにされている方(いるのか?)には、本当に申し訳ないです!
これだけじゃ芸がないので、年末に陥っていたボツネタをちょこっと公開。
無論、完結していないので、それでもokと言う方だけ、ご覧くださいませませ(_ _(--;(_ _(--;
どれほど季節が巡っても、時が過ぎても、忘れられないものがある。
―― ごめん、なさい……。
その言葉の意味を知らないまま、僕は今を生きている。
「え…と。樫谷明音です。東京から来ました。―― よろしくお願いします」
おずおずとした口調の挨拶。
(似てるな…)
そう、思った。
正直、記憶は時間と共に薄れていくから、もはや明確な「彼女」の姿を僕は覚えてない。
けれども、なぜか声だけは今も胸に残っていた。
―― いらっしゃいませ、沖田さん。
恐れも媚びもないただの挨拶や
―― 健康は大事です! 沖田さんには大切なお仕事があるんですから!
僕のあまりの不摂生ぶりを呆れたりされながらも、
―― どうか、ご無事で……。
僕が誰なのかを知りながら、祈ってくれた「彼女」。
そして ――
―― ごめん…なさい。
初めて見せる涙とともに謝罪を残し、「彼女」は逝ってしまった。
胸の奥に響く「彼女」の声と転校生の口から発せられた音は信じられないくらいに似ていた。それこそ同一人物と言えるくらいに。
だからだろう。教室で勝手に行われている事に興味を示すことなく、ただそれまで眺めていた窓の外から僕が教室いや、教卓へと視線を戻しのは。
教卓には、担任の土方さん(相変わらずの仏頂面だ)と、そして挨拶を発したであろう少女が立っている。いや、立っているんだけど、今は頭を下げていて、顔は見えない。
「なんでえ、それだけか?」
土方がつまらなそうな声に、
「他に…何か言うことあります…っけ?」
頭を上げ、恐々 ―― だから、土方さんの顔は怖いんだってば ―― と土方さんに質問する少女に、土方さんはちょっと考えた後、
「―― ねえな」
(だったら言わなきゃいいのに)
「はぁ…」
「席はそこだ」
曖昧に頷いた転校生に構わず、土方さんが指をさしたのは、僕の右隣のぽっかり空いた席。土方さんの言葉に一瞬教室がざわついた ―― 理由は知ってるけど、言いたくないから言わない ―― けれど、土方さんの一睨みですぐにそれはおさまる。生徒に脅しをかける先生ってどうなの? なんて思っている間にも、
「は、はい」
そう言って、転校生は机と机の間の通路を緊張した面持ちで歩いている。
ゆっくりと、おっかなびっくりといった様子で僕の方に近づいてくると転校生は、
「あの…。よろしく…おねがいします」
人見知りが激しいのか、それともそういう口調が癖なのか。途切れ途切れの言葉で転校生は挨拶をする。
「うん、よろしくね」
と、我ながら極上だと思える笑顔で僕は挨拶をする。いや、したつもりだった。
けれども僕の表情を見た途端、彼女はびくりと身体を震わせ、慌てて僕から視線を外すと席についた。
(……なに、それ?)
あまりにも理不尽な彼女の反応に口元に浮かんだ笑みをすっと引っ込め、僕は彼女をまじまじと見る。その視線に気づいているのだろう、けれども何もいえない転校生はさらにうつむいて身体を小さくしている。
(小動物みたいだな)
なんて事を思ってしまう。ハムスターとかチンチラとか。こちらを気にしてびくびくしている姿が妙にかわいい。
「いいか、今日の予定だ。まず ―― 」
土方さんの(ありがたくもない)説明を遠くに聞きながら、僕は記憶の中の「彼女」に問いかける。
君は、知ってるのかな?
あの日の言葉。どうして君があんなことを言ったのか、僕は未だにわからない。
わからないから、いつも考えているって事。
視線の先には「彼女」と同じ音を持つ少女がまっすぐな目で土方さんの話を聞いている。
(…ねえ、君は誰?)
整いすぎた顔に不機嫌さを滲ませた土方先生がこれからの予定を説明し終え、呼ぶまで教室で待機していろと言い残して教室を出て行った直後、
「今時転校なんて珍しいね?どうして京都に?」
「東京のどの辺りにいたの?」
「前の学校ってどんなとこ?」
「なんでうちの学校に?」
待ってましたと言わんばかりに私の周りに人が集まってきた。口々に問われる質問。昔から注目されることに慣れていない私は戸惑いながらも一つ一つ答える。
「えと…。あのお父さんが京都にお店を出すことになって、それで京都に…」
「東京の…世田谷の方に ――」
「前の学校は、普通の公立高校で ――」
「ここを選んだのは…その、制服が可愛かったから……」
何とか答えきった後、
「お店って、お父さん何してるの?」
と誰かが尋ねてきたので、
「お菓子 ―― ケーキとか作ってます。お父さん、パティシエなんです」
私の言葉に男子が「パティシエって何だ?」と首をひねっている。説明しようと口を開きかけたとき、
「え? もしかして樫谷さんの家って『パティスリー・Kashiya』?」
こっくり頷くと、女生徒達から「きゃー」と悲鳴があがる。
「嘘!本当に『Kashiya』なの?」
「知ってる…んですか?」
うちの店は東京にしかない。だから、京都じゃ誰も知らないだろうと思っていたので、思わずこっちが尋ねてしまう。
「『知ってるんですか』って…。超有名な店じゃない!」
「そう…なんですか?」
私の間の抜けた質問に、隣の席の「彼」がくすりと笑ったような気がする。
その声の恥ずかしさと、そして「懐かしさ」に体温が上がり、顔が赤くなるのを感じる。
「『知ってるんですか』って…。超有名な店じゃない!」
呆れた声に、「は、はぁ」としか頷けない。
「あたし、通販で『Kashiya』のチーズケーキ、よく買ってるよ?」
「それは…。えと、お買い上げ、ありがとうございます」
そう言って頭を下げると、隣から「くくく…」という笑いを堪えているような声が聞こえてきた。
「突然、『閉店します』なんてホームーページ書いてあったからびっくりしたけど。まさか京都に移転なんて超びっくり」
「ねえねえ。お店、いつオープンするの?」
「本当は今日の予定だったんですけど…、お父さんがちゃんとしたものを作りたいからって、明日になりました」
その時のお父さんの表情を思い出し、苦笑まじりに私は答える。
「明日のお昼頃にオープンする…と思い、ます」
なので、明日からの三連休は私もお店のお手伝いをさせられることになる。「させられる」と言っても、お店のお手伝いは嫌いじゃない。むしろ大好きなほうだからうれいいのだけど、まだ引越しの荷解きが十分じゃないから、それが遅くなるのがちょっと心配。
私の言葉に
「行く! あたし絶対に行く!」
「あたしも!」
「あ~~! 私も一回『Kashiya』のケーキ、食べてみたーい」
口々に言い合うクラスメイト(主に女子)の言葉にかき消されながらも、
「あ、えと……」
よろしければ、これ…。と家を出る前にお母さんからもらったコーヒーの無料券を制服のポケットから取り出す。
「ここに、お店の住所、書いてありますから、よろしかったら来てください」
「行く! 絶対に行く!」
ちょうだーいと差し出される手が誰のものかわからないまま、次々とチケットをその掌に置いていった。そしてチケットが最後の1枚となった時、
「僕にもくれる?」
その声に、私の動きは止まった。そして、周りの声も驚いたように途切れる。
見上げた視線の先には、
「どうしたの?」
隣の席の「彼」が不思議そうにどこか可笑しそうに私を見ている。
「い、いえ。ど…どうぞ」
慌てて首を振って、私はおずおずと最後の1枚を彼の掌に乗せる。
「ありがとう」
「いえ……」
きっと彼の顔を見たら、何かを言いそうに、訊きそうになるから。我慢するためにも私は彼を見ないように俯く。と、
「それにしても君って ――」
よほどお菓子に縁があるんだね。
頭上から聞こえてきた苦笑混じりのその言葉に、その意味に私は弾かれたように顔を上げる。思わず食い入るように見つめてしまった「彼」は何も言わない。まるで、私からの言葉を待っているように、私を見ている。
その微かな笑みに促されるように、震える唇が言葉をつむごうした、そのとき
「何騒いでんだ! さっさと廊下に並ばねえか!」
土方先生の大声。私は我に返り、あわてて彼から視線をはずす。
「やれやれ」
がさがさと周りの人たちが廊下に移動する中、すぐ傍で「彼」のため息が聞こえる。見上げると、「彼」は土方先生に目を向けて、ため息をついている。
「相変わらず人の邪魔が上手いなあ、土方さんは」
担任の先生に対して「さん」付けはどうかと思ったけれど、やけに親しそうなその口調にそんな嗜めは必要ないように思えた。
と、私の視線に気づいたのか、不意に「彼」が私に目を向けた。まっすぐ射抜かれた眼差し。心の中、その奥の隠していることまで見透かされそうな瞳。吸い込まれそうになる自分を必死で抑えていると。
「え?」
思わず声が出る。目の前の「彼」はその優しげな顔立ちに狡猾さを滲ませて彼は私を見ていた。記憶にない「彼」の表情に思わず目を瞠ってしまう。と、
「樫谷さん?」
一向に教室から出てこない私に気づいたのか、クラスの女の子が声をかけてくる。
「体育館行くよ?」
「あ…はい」
慌てて、教室を出る。背中に「彼」の視線を感じながら、ざわつく胸の中、私は呟く。
(貴方は……誰?)
ボツの理由が「沖田さんの一人称、めんどい・⌒ヾ(*´_`)」だった気がしますw
今は閑散期だって?
なんで、こんなに仕事があるんじゃーーーーーー ヽ(`Д´)ノ
いや、少なくとも倒産の危機はないからいいことなのかもしれませんが、しかし限度ってものがあるでしょう…。
あとからあとからわいている仕事に途方に暮れるぺち太郎です。
ということで、最近仕事にぐったり>気力なっしんぐのコンボで書けません(つд・)
正しくは「かくじょーヽ(`Д´)ノ」の勢いが来る前に疲れて眠くなります(つ∀-)
楽しみにされている方(いるのか?)には、本当に申し訳ないです!
これだけじゃ芸がないので、年末に陥っていたボツネタをちょこっと公開。
無論、完結していないので、それでもokと言う方だけ、ご覧くださいませませ(_ _(--;(_ _(--;
どれほど季節が巡っても、時が過ぎても、忘れられないものがある。
―― ごめん、なさい……。
その言葉の意味を知らないまま、僕は今を生きている。
「え…と。樫谷明音です。東京から来ました。―― よろしくお願いします」
おずおずとした口調の挨拶。
(似てるな…)
そう、思った。
正直、記憶は時間と共に薄れていくから、もはや明確な「彼女」の姿を僕は覚えてない。
けれども、なぜか声だけは今も胸に残っていた。
―― いらっしゃいませ、沖田さん。
恐れも媚びもないただの挨拶や
―― 健康は大事です! 沖田さんには大切なお仕事があるんですから!
僕のあまりの不摂生ぶりを呆れたりされながらも、
―― どうか、ご無事で……。
僕が誰なのかを知りながら、祈ってくれた「彼女」。
そして ――
―― ごめん…なさい。
初めて見せる涙とともに謝罪を残し、「彼女」は逝ってしまった。
胸の奥に響く「彼女」の声と転校生の口から発せられた音は信じられないくらいに似ていた。それこそ同一人物と言えるくらいに。
だからだろう。教室で勝手に行われている事に興味を示すことなく、ただそれまで眺めていた窓の外から僕が教室いや、教卓へと視線を戻しのは。
教卓には、担任の土方さん(相変わらずの仏頂面だ)と、そして挨拶を発したであろう少女が立っている。いや、立っているんだけど、今は頭を下げていて、顔は見えない。
「なんでえ、それだけか?」
土方がつまらなそうな声に、
「他に…何か言うことあります…っけ?」
頭を上げ、恐々 ―― だから、土方さんの顔は怖いんだってば ―― と土方さんに質問する少女に、土方さんはちょっと考えた後、
「―― ねえな」
(だったら言わなきゃいいのに)
「はぁ…」
「席はそこだ」
曖昧に頷いた転校生に構わず、土方さんが指をさしたのは、僕の右隣のぽっかり空いた席。土方さんの言葉に一瞬教室がざわついた ―― 理由は知ってるけど、言いたくないから言わない ―― けれど、土方さんの一睨みですぐにそれはおさまる。生徒に脅しをかける先生ってどうなの? なんて思っている間にも、
「は、はい」
そう言って、転校生は机と机の間の通路を緊張した面持ちで歩いている。
ゆっくりと、おっかなびっくりといった様子で僕の方に近づいてくると転校生は、
「あの…。よろしく…おねがいします」
人見知りが激しいのか、それともそういう口調が癖なのか。途切れ途切れの言葉で転校生は挨拶をする。
「うん、よろしくね」
と、我ながら極上だと思える笑顔で僕は挨拶をする。いや、したつもりだった。
けれども僕の表情を見た途端、彼女はびくりと身体を震わせ、慌てて僕から視線を外すと席についた。
(……なに、それ?)
あまりにも理不尽な彼女の反応に口元に浮かんだ笑みをすっと引っ込め、僕は彼女をまじまじと見る。その視線に気づいているのだろう、けれども何もいえない転校生はさらにうつむいて身体を小さくしている。
(小動物みたいだな)
なんて事を思ってしまう。ハムスターとかチンチラとか。こちらを気にしてびくびくしている姿が妙にかわいい。
「いいか、今日の予定だ。まず ―― 」
土方さんの(ありがたくもない)説明を遠くに聞きながら、僕は記憶の中の「彼女」に問いかける。
君は、知ってるのかな?
あの日の言葉。どうして君があんなことを言ったのか、僕は未だにわからない。
わからないから、いつも考えているって事。
視線の先には「彼女」と同じ音を持つ少女がまっすぐな目で土方さんの話を聞いている。
(…ねえ、君は誰?)
整いすぎた顔に不機嫌さを滲ませた土方先生がこれからの予定を説明し終え、呼ぶまで教室で待機していろと言い残して教室を出て行った直後、
「今時転校なんて珍しいね?どうして京都に?」
「東京のどの辺りにいたの?」
「前の学校ってどんなとこ?」
「なんでうちの学校に?」
待ってましたと言わんばかりに私の周りに人が集まってきた。口々に問われる質問。昔から注目されることに慣れていない私は戸惑いながらも一つ一つ答える。
「えと…。あのお父さんが京都にお店を出すことになって、それで京都に…」
「東京の…世田谷の方に ――」
「前の学校は、普通の公立高校で ――」
「ここを選んだのは…その、制服が可愛かったから……」
何とか答えきった後、
「お店って、お父さん何してるの?」
と誰かが尋ねてきたので、
「お菓子 ―― ケーキとか作ってます。お父さん、パティシエなんです」
私の言葉に男子が「パティシエって何だ?」と首をひねっている。説明しようと口を開きかけたとき、
「え? もしかして樫谷さんの家って『パティスリー・Kashiya』?」
こっくり頷くと、女生徒達から「きゃー」と悲鳴があがる。
「嘘!本当に『Kashiya』なの?」
「知ってる…んですか?」
うちの店は東京にしかない。だから、京都じゃ誰も知らないだろうと思っていたので、思わずこっちが尋ねてしまう。
「『知ってるんですか』って…。超有名な店じゃない!」
「そう…なんですか?」
私の間の抜けた質問に、隣の席の「彼」がくすりと笑ったような気がする。
その声の恥ずかしさと、そして「懐かしさ」に体温が上がり、顔が赤くなるのを感じる。
「『知ってるんですか』って…。超有名な店じゃない!」
呆れた声に、「は、はぁ」としか頷けない。
「あたし、通販で『Kashiya』のチーズケーキ、よく買ってるよ?」
「それは…。えと、お買い上げ、ありがとうございます」
そう言って頭を下げると、隣から「くくく…」という笑いを堪えているような声が聞こえてきた。
「突然、『閉店します』なんてホームーページ書いてあったからびっくりしたけど。まさか京都に移転なんて超びっくり」
「ねえねえ。お店、いつオープンするの?」
「本当は今日の予定だったんですけど…、お父さんがちゃんとしたものを作りたいからって、明日になりました」
その時のお父さんの表情を思い出し、苦笑まじりに私は答える。
「明日のお昼頃にオープンする…と思い、ます」
なので、明日からの三連休は私もお店のお手伝いをさせられることになる。「させられる」と言っても、お店のお手伝いは嫌いじゃない。むしろ大好きなほうだからうれいいのだけど、まだ引越しの荷解きが十分じゃないから、それが遅くなるのがちょっと心配。
私の言葉に
「行く! あたし絶対に行く!」
「あたしも!」
「あ~~! 私も一回『Kashiya』のケーキ、食べてみたーい」
口々に言い合うクラスメイト(主に女子)の言葉にかき消されながらも、
「あ、えと……」
よろしければ、これ…。と家を出る前にお母さんからもらったコーヒーの無料券を制服のポケットから取り出す。
「ここに、お店の住所、書いてありますから、よろしかったら来てください」
「行く! 絶対に行く!」
ちょうだーいと差し出される手が誰のものかわからないまま、次々とチケットをその掌に置いていった。そしてチケットが最後の1枚となった時、
「僕にもくれる?」
その声に、私の動きは止まった。そして、周りの声も驚いたように途切れる。
見上げた視線の先には、
「どうしたの?」
隣の席の「彼」が不思議そうにどこか可笑しそうに私を見ている。
「い、いえ。ど…どうぞ」
慌てて首を振って、私はおずおずと最後の1枚を彼の掌に乗せる。
「ありがとう」
「いえ……」
きっと彼の顔を見たら、何かを言いそうに、訊きそうになるから。我慢するためにも私は彼を見ないように俯く。と、
「それにしても君って ――」
よほどお菓子に縁があるんだね。
頭上から聞こえてきた苦笑混じりのその言葉に、その意味に私は弾かれたように顔を上げる。思わず食い入るように見つめてしまった「彼」は何も言わない。まるで、私からの言葉を待っているように、私を見ている。
その微かな笑みに促されるように、震える唇が言葉をつむごうした、そのとき
「何騒いでんだ! さっさと廊下に並ばねえか!」
土方先生の大声。私は我に返り、あわてて彼から視線をはずす。
「やれやれ」
がさがさと周りの人たちが廊下に移動する中、すぐ傍で「彼」のため息が聞こえる。見上げると、「彼」は土方先生に目を向けて、ため息をついている。
「相変わらず人の邪魔が上手いなあ、土方さんは」
担任の先生に対して「さん」付けはどうかと思ったけれど、やけに親しそうなその口調にそんな嗜めは必要ないように思えた。
と、私の視線に気づいたのか、不意に「彼」が私に目を向けた。まっすぐ射抜かれた眼差し。心の中、その奥の隠していることまで見透かされそうな瞳。吸い込まれそうになる自分を必死で抑えていると。
「え?」
思わず声が出る。目の前の「彼」はその優しげな顔立ちに狡猾さを滲ませて彼は私を見ていた。記憶にない「彼」の表情に思わず目を瞠ってしまう。と、
「樫谷さん?」
一向に教室から出てこない私に気づいたのか、クラスの女の子が声をかけてくる。
「体育館行くよ?」
「あ…はい」
慌てて、教室を出る。背中に「彼」の視線を感じながら、ざわつく胸の中、私は呟く。
(貴方は……誰?)
ボツの理由が「沖田さんの一人称、めんどい・⌒ヾ(*´_`)」だった気がしますw