大好きで大好きで、もうあなたがいるから毎日が楽しい。くらいに思っていた人に振られてから約8か月。
なんだかんだ、ずっとずっと引きずってた。でも最近連絡してみたら、もう彼女ができていた。
ショックだった。自分にしてくれたように、今の彼女にもたくさんの愛をあげているのかな。なんて思っていたら、
毎日毎日涙が止まらなくって。なんであんなに幸せだったのになんてずっとずっと考えていた。
戻りたいとも思った。たくさんの後悔もあった。
なんだかんだ連絡を取っていたから、っていっても私から連絡することのほうが多かったんだけど。
もしかしたら、向こうもまだ私のことを少しは気にかけてくれているのかな。なんて大きな勘違いをしてた。
連絡を一切やめないと、私はずっと忘れられないとわかってた。
でもやめられなかった。ずっと恋しかった。愛しかった。
たくさん泣いた次の日、本を読んでいた。最近なんだか急に本を読むようになった。
本を読んでいると集中して、周りの音や視線を感じなくなった。自分の世界だけになれるような気がした。
お気に入りの本を読んで、新しい本を読もうと本屋さんに行ってみたけど、なんか惹かれるものがなく、
なんとなく、本当になんとなく家にあった途中のままだった本を持っていくことにした。
その本は、明日死ぬと申告された主人公の目の前に悪魔が現れて、世の中の何か一つを消せば、
一日長く生きられるという内容だった。最初は、面白くなくて早く読み終わってしまおうと思っていた。
そんな気持ちで読んでいると、一つのキーワードが出てきた。
「何かを得るためには、何かを失う。」
そんなの嘘だと。小説の世界だけだろうと思っていた。馬鹿にしていた。だけど、だんだん読んでいくと、
主人公が自分が生きるために何かを失うと、必ず何か新しい発見をしていく。そんな話にどんどん引き込まれていった。
そんな時に自分も考えてみた。彼を失った私は何を得たのだろうかと。
考えてもわからなかった。だから、やっぱりあの言葉は小説の中の話であって、現実ではありえないんだと思っていた。
でも、どうしてもその答えが知りたくて、見つけ出したかった。だから時間があるときには考えていた。
休日に試験監督のアルバイトをしていた時、ふと思った。彼と私は5年も歳が離れている。私には彼よりも5年も経験していない
これから始まるたくさんの時間がある。そんなこれからの時に、彼の事ばかり考えていていいのかと思った。
そして私は気づいた。大好きな彼を失った私は、たくさんの可能性を手に入れた。彼だけにとらわれて、視野が狭くなっていた私は、
彼がいなくなったことで、広い世界を見るようになったのだ。そこにはたくさんの可能性、自由があって、自分の好きなように生きられる。
彼に好かれるために洋服の系統もメイクも、髪の毛も、行動も、なにもかも変えて自分を作っていた私は、解放されたのだ。
自分らしくいきていけばいいんだと、素直でいられるようになったのだ。
こんなことに気づけなかった。こんなすごいことに気づけなかった。自分にとって好都合なのに。なんで気づけなかったのか。
気づけなかった理由も本の中から見つけることができた。
その本の中には、ある言葉が述べられていた。
「人間は、規則を作ることで自由がなくなった。しかしそれとともに安心感を得た。」
つまり、狭い世界にいることで安心するようになったということだ。それは私にも当てはまっていた。
彼だけでいいとそんな狭い世界で生きていた私は、突然広い世界に一人になったことで安心感を失い大きな不安を感じていたんだろうと思う。そんな不安から、彼を思い出して悲しくなっていたのだ。安心したかったのだろう。
でも、そんな自分に気づいた今。こんなに可能性が多く広がっている世界にいることに不安は感じない。
自分らしく、自分の好きなことを、自分の好きな時間に、好きなように生きれるのだ。新しい世界を見ることができるのだ。
すごいことじゃないか。これからの人生が楽しみになった。
もう彼にはすがらない。戻らない。前を向く。自分の興味のあること、好きなことに夢中になって生きていく。
そう強く決心した。