北海道に移住した目的の一つである「風力発電の町に住む」という点で、一つレポします。



僕が住む寿都町の海辺には風力発電の風車が建ち並ぶ。前方に海、後方に山が見えるその景色はとても綺麗だ。



ここ寿都町は日本の自治体で一番最初に風力発電に取り組んだ町。

1989年から始まり、今では11基の風車が回る。

昔から、だし風(太平洋から日本海に抜ける風)と呼ばれる強い風があるため安定して稼働している。



しかし、この風力発電の目的は自治体に供給する電力を作る事ではなく、売電だ。なので、町民に電気代が安い等といった補助はない。



11基の風力発電能力は計1万6580キロワット。発電した電気は関西電力と北海道電力に売却している。昨年の売電実績約2億5000万円になる。




疑問がひとつ。


何故、北海道で作っているのに関西電力に売電しているのだろう?



それは、北海道電力が決めた規制にある。

元々、風力発電の電力を買い取る事に積極的ではない。風力発電は安定供給が難しい事と原子力の力が占めているからだ。

そこで安定して供給させるため(北海道電力は原子力と火力を中心に電力を供給しているため、風力発電は多くても少なくてもダメ。足りない分しか買いません。という姿勢。)風車を建てる時に蓄電池を併設する事を条件にしている。



さらに、電力需要が低下する休日や夜間に発電風車の運転を停止する「解列」を買い取る条件にしている。

この「解列」により発電風車の効率は25%減少するし、蓄電池を設置すると建設費用は2倍に膨らむ。

この条件で風力発電で作った電力を買い取っている。



それ以外にも、売電価格の問題などもありメインの売電先は関西電力になっている。



自治体に供給出来ない理由には送電線の問題がある。送電線は国の物ではなく、電力会社の物だからだ。電力会社の送電線を使って、消費者に売電する事が出来ない。これは、全国で言える。

会社や自治体で運営している風力発電所や水力発電所のほとんどは、電力会社に売電する事で利益を得ている。その売電価格も電力会社が決めている。



こういった理由によって、風力発電などの自然エネルギーを求める声は上がっても、規制が多過ぎるため普及するには相当な時間がかかるだろう。

今回、東京電力の事実上の破綻によって、東京電力が所有する送電線の国有化が実現すればそれが大きな突破口になり得るかもしれない。





寿都町では、風力発電で得た売電益で、消防署、町で運営する診療所で出る赤字を補うなど、町の機能を維持する事に使われている。その他に、海の磯焼け対策のため、海の森作り事業、植林などの社会的事業に使われている。

この風力発電による売電益によって、本当なら赤字になってしまう人口約3千人の自治体を維持している事は間違いないが、町民が所謂「風力発電」という環境に配慮した自然エネルギーの町で暮らしているという美徳を感じている人は少ないのが現状だ。


自治体としても、企業としても、自然エネルギーに参加するには、しばらくは課題が山積みだ。

いずれにしても、近い将来化石燃料は枯渇する。今の日本のシステムに頼ったまま生きてしまえば、エネルギーの価格は言われるがままのお金を払い続けなければならない。エネルギーに取り組む自治体に頼るでもなく、ファンドで風力を持つよりも、僕たち現代で生きる20代後半の世代で考えるのであれば、エネルギーも家庭用太陽光パネルや小型風力発電機等で、各家庭で半分ほどの自給を目指すのが賢い選択かもしれない。



iPhoneからの投稿
photo:01



もう一度、この町でやりたい。日本対オーストラリア戦でビックリマーク


iPhoneからの投稿