一つのディールをまとめれば、
得られるのは、彼らの月給の10~20ヶ月分相当のインセンティブ。



釣られた業界未経験の中途採用者が仲介会社に流入してきています。


極端に言えば、FAX一枚持っていくだけで成り立つ仕事ですから、
後は人海戦術だとばかりに特に大手仲介会社は大幅に採用を増やしています。

彼らは、PDF化された物件概要その他資料をメールで送りつけ、入札に参加しろと電話してくる。
売主は誰だと聞いてみると誰もが知るファンドか、デベロッパー。
売却条件は、公簿売買、境界なし、瑕疵担保免責。
相対だと得意げに提示する価格は完全に相場を外した水準。


とにかく売却情報の取得部署から廻ってきた物件を知りうる限りの不動産会社に流す。
たまに当たってインセンティブが入る。
センスも能力も何もいらない、面白みのない仕事だと思います。


この手のブローカーからの電話やFAXやメールは最近、
どれもこう聞こえます。。。。



「いいから黙って買って、会社にも俺にも金をよこせ。」

今年に入ってからでしょうか、不動産を本業とする会社が所有する物件の売却情報が多くなりました。


- ファンドがバルクで買った物件の中でテナントの退去が決定した物件


- 分譲マンション専業のはずのデベロッパーが取得したオフィスビルに挟まれた更地


- モデルルームも完成し、エンドユーザー向けに堂々と広告を打っているファミリー向けマンションの一棟売り


- 細々と地場の不動産会社が所有・管理していた都心ではない場所のマンション。。。


これらの物件で提示される売却価格や入札最低価格は1年前の感覚では、想定されるプロジェクトの原価をはるかに超えたものとなっています。提示価格から売り主の取得価格を想定すると、同業他社への転売を目的とした取得が明らかです。



それでも不動産を取得し続けなければ、存続できないのが不動産会社。

完全な売り手市場の今、弱気の価格を提示した瞬間にブローカー達は他社へ走る。


アクイジション担当者への物件取得に対するプレッシャーは過酷を極めています。




参加20社を超える入札案件を最高値で落札してみれば、1ヶ月経たないうちに他社へそのまま転売できてしまう。


上野の相場がかつての麻布十番の相場を超える。


”本当の”銀座の土地は坪1億円を再びオーバーした。



都内には最近、長らく更地と化した物件やいつまでも掲示されたままの確認申請の標識が、目に付き始めました。。。






そう、何時か見た光景のように。






何十回とシミュレーションを行い、はじき出したプライスを告げると、


仲介業者が囁く。




「もう少しだけ何とかならないですかね?」




2年後のマーケットは強気に読んでいる。


想定したコストに削る余地は残っていない。




「あと5000、行ければ、必ず押さえてきますよ。」





同じ立場で苦悩する、他社の顔も知らない担当者を思う。


ディールを獲得したときの高揚感と埋まらない空室に対する恐怖が瞬時に交錯する。





「・・・分かりました。あと5000乗せて、12.3でお願いします。」





現在、恐らく世界で最も過酷な東京不動産アクイジション業界。

その日々をお伝えします。