一番最初に覚えた花の名前は朝顔だった?
チューリップかひまわりだった様な気がしないでもない・・・。
はたまた桜だったか、梅だったかも知れない・・・。
それでも、チューリップやひまわり、桜や梅よりも朝顔の方がずっと身近にあった。
幼稚園で朝顔を育てて、夏休みに入る日に家に持って帰る。
毎日お迎えに行っていた妻が、うちの二人の娘たちの時もそうして持って帰ったのだろう。
娘たちは自漫気に家に持ち帰ってきた朝顔のプラスチックの鉢のことを私に教えてくれた。
そして、数日間は朝顔の花が咲いているのを確かめる事が家族の日課になった。
朝顔は白やピンク、紫の花を咲かせていた様に思う。
しかし、それからしばらくすると、いつの間にか家族から朝顔は忘れられた。
やがて、夏休みが終わる頃、朝顔の蔓が支柱に絡みついたまま淋しそうに枯れているのに気づく。
私はそれを娘たちには伝えなかったと思う。
私は朝顔の枯れた蔓に残された乾いた小さな袋の中から、数粒の朝顔の種を取り出しポケットにしまった。
そして、家の中に戻り「朝顔の種を見つけた」とまるで宝探しで見つけた宝物を見せる様にポケットから数粒の朝顔の種を取り出しテーブルの上に置いた。
娘たちは目を輝かせその朝顔の種を手に取り声を弾ませた。
「あさがお、あさがお」
「口々にあさがおあさがお通学路」 誠治
「通学路」はフィクションであるが、娘達が口々に「あさがお、あさがお」とはしゃいでくれた、あのきらきらと輝いたその声は今でも私の耳の奥に残っているのである。


