夜中、息子のミルクで起きてた私。

部屋は静かで、ただオムツの音と

哺乳瓶の吸う音だけが響いてた。


ふと、旦那が寝返り打って

私の背中にぶつかってきた。

そのとき彼が、寝言でこう言ったの。


「……あ、ごめん、あやね」


……は?

一瞬、意味がわからなかった。


あやね?

誰?って思う間もなく、

心臓がズキッて痛くなった。


その名前、あの子の名前だよね?

なんでこの状況で、

その名前が出てくるの?


夜中に必死に育児してる横で、

無意識に「ごめん、あやね」って

口にする男。


さすがにもう、無理だった。

いよいよ限界がきた。




次の日、私は静かに言った。


「LINEをブロックするか、離婚するか。

どっちかにして。」


そしたら彼は言った。

「ブロックはできない。今までの恩が

あるし、またどっかで会ったときに

気まずいから…」

「でも離婚はしたくない」


──じゃあ、何を守りたいの?


なんで“気まずさ”>“家庭”なの?

そんなに気まずいのが怖いなら、

最初から通うなよ。




結局、話し合って、一度は

私の目の前でLINEブロックした。

そのときは、少しだけ希望を持った。


……でも、希望なんて

すぐに裏切られるんだよね。


次の日には、もうブロック解除してた。

そしてまた連絡とってた。




私はもう、決めた。


息子を連れて、家を出た。

何も言わずに、

ただ一通の手紙だけ残して。


「家族を取るか、女を取るか。

決まったら連絡してください。」




誰の名前を寝言で呼んでるかで、

誰が心にいるかなんて、痛いほどわかる。


私は“ごめん、あやね”を

一生忘れないと思う。