とあるところに伝説のエージェントと呼ばれる男がいた。

 

彼は、建築・不動産領域に特化した人材紹介会社プロキャリアエージェントに勤めている。
領域特化型の人材紹介会社ならではの、求人開拓から求職者の面談まで一気通貫で担当している。

 

総合型の大手に比べると一見効率が悪そうに見えるが、企業を深く知っているからこそ、求職者にもその企業の想いや熱量をそのまま届けることができ、結果的に、企業にも求職者にもメリットをもたらすと考えている。

その中でも彼は、領域を特化することによる高い専門性と企業情報量に加え、求職者の本質を引き出すヒアリング力とマッチング力を武器に、一見この経歴では無茶だろと思われるミッションインポッシブルな求職者でも必ず入社に導く姿から、いつしか彼はこう呼ばれるようになっていた。


”六本木のイーサン・ハント”


そんな彼の一日を少しご紹介しよう。

家にテレビがなくカーテンをしめない派の彼は、日の出とともに眼を覚ます。朝の光が最高の目覚ましだ。
起床後は、日課となっている朝のランニング。昼間の喧噪とはうってかわり、凛と張り詰めたまだ夜の冷たさが残る街中を、黄金色に輝く朝日を浴びながらのランニングは一日のパワーを充電しているかのようだ。

その日の体調によって、3~5Kmのコースを軽く走る。

行きつけの神社で求職者とクライアントの成長を願うことが毎朝のルーティンだ。

いつも同じ時間に合う焼き鳥屋の修行にきているというカナダ人のジョージともすっかり顔なじみとなった。

6月の早朝とはいえ、家に辿りつくころにはすっかり汗だくになる。少し冷ためのシャワーでクールダウンをしたあとは、最近流行りのヒゲ男をBGMに、ニュースをチェックしながら目玉焼きとカリカリのトーストをほおばり、淹れ立てのコーヒーで流しこむ。

朝の至福のひと時だ。

さぁ、今日はどんなご縁があるかな。

身支度を整え、最近購入したグリーンに水をやり終えて会社へと向かう。


彼の会社は六本木のど真ん中。

東京ミッドタウンの目と鼻の先にあるオフィスでは、彼を含め3名の腕利きのエージェントが在籍している。

せっかくなのでそのメンバーも少し紹介しておこう。

まず一人目は、上場企業での人事採用担当としての経験を武器に、驚異のスカウト返信率を誇る”スカウトの魔術師”Ms.S。

マンションフロント、建築施工管理分野を得意としており、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中の売れっ子エージェント。
最近エアポッドもどきを購入し、自転車での通勤に加え、夜もランニングを行っているらしい。ゴルフの腕前もなかなかとの噂の港区女子。

一方、プライベートでのスカウトの腕は・・・おっと、こんな時間に誰か来たようだ。

そして、もう一人は、宅建士の資格を持ち、自らも用地仕入や営業の経験をもつ、”不動産営業職のスペシャリスト”Mr.T。

約2か月にわたる在宅勤務生活により、久々の通勤で筋肉痛になるなど、体力面に不安は残るものの、その親身で丁寧なヒアリングスタイルで求職者からの信頼はお腹の肉よりも厚い。
そんな熱いハートと厚い信頼と高い血圧を備える彼はもっぱら黒ウーロン茶が手放せないようだ。

まぁ、このご時世色々と大変なことはあるが、どのような状況になっても、我々の使命は変わらない。

メンバー一丸となって一人一人の求職者様に向き合い、素晴らしい人生を歩んでいただくお手伝いをしていくことに尽きる。

人には輝ける場所が必ずあるのだから。

 

 

えっ、私は誰かって?

申しおくれてしまい、申し訳ない。

私はというと、今のところは残念ながら朝日が入る隙のない西向きの部屋に住んでおり、外国人に話しかける社交性も、トースターも持ち合わせておらず、ヒゲ男よりも氣志團をきいてるような、ただのちっぽけな男だ。

 

 

だけど、そんなことは大きな問題ではない。

きっと来年の今頃は”彼”みたいになっているだろう。

 

 

なぜなら、

 

『思考は現実化する』

 

のだから。

 

 


プロキャリアエージェント
牛島