普段は車を運転している人は、気づくと思うのだが
以前の様にフロントガラスが虫でいっぱいになる事がない。

蜂に刺されることも少なくなった。
 
ドイツでの最新の研究データーによると
有翅亜綱(羽を持ち飛ぶ事ができる昆虫)に属する昆虫が
過去27年間の間に75%減少したと報じた。

自然保護区内63箇所で採取トラップを用い、
トラップにかかった昆虫を量として測定調査を長期に渡りおこなってきた。
その結果、昆虫の活動が活発な夏期で最大約82%の減少がみられたという。
なおこのデーターを収集したのはデュッセルドルフから東南20キロに位置する
クレーフェルトという街にある昆虫愛好会(Entomologischer Verein Krefeld)で、
会の創立は1905年という。
メンバーには現職の生物学者を始めとする専門家から昆虫を愛でる市民まで多様である。

自然保護区内でこのように多くの昆虫が姿を消している事にまったく驚きである。

昆虫の減少というのはここ数年ずっと懸念されているテーマである。
減少のはっきりした原因は特定されていないが、様々な事情が絡み合っている事だろう。
気候環境の変化、生息域の破壊、単一作物栽培での多様性の損失、普遍的な農薬や化学肥料の使用など。

生態系とは相互に関連する複数の要因が重なり合って作られている。
一つの要素にダメージがあると補正システムが働き、生態系が回復される。
しかし近年、生態系を作る複数の要素にダメージや変化があり、
生態系の回復能力及び回復速度が追いつかないのではないだろうか?

彼らの結果は、それまで報告されていた、
蝶や野生のミツバチ、蛾などの種の最近報告された自然界での減少と一致している。
しかし、この調査では、特定の種類だけではなく、
羽を持つ昆虫の全体的な減少を起こしていることがわかり、事態の深刻さを示している。

研究者たちは、この劇的な減少は、生息地に関係なく明らかであるとしており、
天候や、土地の利用状況、および生息地の特性の変化などの要因では、
全体的な減少を説明することはできないことも判明した。

この減少は、大規模な要因が関与しなければ説明がつかないことを研究者たちは示唆しており、
今後の研究では、昆虫のバイオマスに潜在的に影響を与える可能性のある全範囲をさらに調査すべきだとしている。

論文の著者たちは、この減少の原因とその地理的範囲、
およびその潜在的影響が生態系にどのように影響するかについて、さらに調査するように促している。
 

除草剤「グリホサート」は、ご存知だろうか。

発がん性の疑いがあるモンサント社の除草剤グリホサート。
2017年末に暫定的使用の認可が切れるため、
欧州委員会がそれまでにグリホサートの使用に関し最終結論を出す意向である。
それに伴い欧州化学品庁(ECHA)が発がん性について再調査を行なっている。
再認可された場合、グリホサートの使用が今後10年間許可される。

先月中旬、
欧州議会はグリホサートの使用を2022年12月までに禁止する決議を採択した。
それに対し欧州委員会はグリホサートの使用有効期限を最長で7年間に短縮する案を提案した。
まだ決着がついていない。

ドイツでは収穫直前でのグリホサートの使用は禁止されているが、
年間使用量は5000トン。
ドイツ国内の農地の40%以上でグリホサートは使用されている。
また冬小麦や他の冬穀類の畑だけをみた場合では全体の70%でグリホサートが使用されている。
これはグリホサートの効果が大きく、また価格も安いからである。
農家にとっては大変助かる商品である。
もしこの除草剤が禁止になった場合、
農家は生産率を維持する為に更なる労働力や機械が必要になってくる。
その結果農作物を収穫するまでの費用が11%程高くなる。
またプラウなどと言った耕作機械を常用する事で土壌への負荷が高まり、
また弊害が生じる事も考えられる。

農作物の生産コストの増加は販売価格の値上がりにつながり、
国民の生活に支障が出ることも懸念される。
しかしドイツでは年間約1100万トンの食料品が廃棄されており
家庭から廃棄される量だけでも約670万トンだと言う。

そんな事を思うと食料品の値上がりで、
消費者が節約志向になっても良いのではないかとさえ考えてしまう。

グリホサートが安全なものであれば、農家も消費者も助かる。
しかし現在はその安全性が疑問視されている。
疑問を無視したまま使用を許可した場合、「第二のアスベスト」になる可能性もある。

しかし何においてもやはり一番困るのは農家なのではないだろうか?

生産コストの増加、消費者の節約志向、安い外国産農作物の流通、
また花粉を媒介する昆虫や害虫を食べる昆虫といった有益な働き手を失う事が懸念される。

自然界の植物の80%が昆虫による受粉で存在している。

そして
鳥類の 60%が昆虫を食べて生きている。

生態系の悪化が止まらない。


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