プリント配線板のダイエット(2)~ めっき/露光工程 | 続 サルでもわかるプリント基板のはなし~きばんやおやじのブログ

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プリント基板の基礎から、実装技術を駆使した品質管理のノウハウ、コストダウンの方策まで、電子機器のものづくりのノウハウの虎の巻です

以前、プリント配線板の材料とドリル工程のダイエットを論じた。
個別の工程別に仕様を検証することでオーバースペックを排除し
歩留まりを向上させることができれば、
プリント配線板の価格を低減することが可能になる。

最近の数十年間のトレンドは、
加工費用が低廉な海外企業で製造することで
部品価格や製造原価を低減が志向されてきたが、
円高のトレンドが修正されつつあり、
歩留まりを向上させる一方
製造原価の低減に努めることで、コストダウンにより
海外製の部品との価格競争に打ち勝つことも可能になりつつあると考える。

前回は、材料を板厚/ドリル工程/めっき工程について
プリント配線板のダイエットについて論じたが、
今回は、露光/現像工程について説明する。

以前にも論じたが、
「プリント基板のダイエット」 
とは、個人的には仕様を一元化して、
高い歩留まりを確保することと定義する。

露光/現像工程では、
プリント配線板の回路(パターン)を形成する。
すなわちエッチングレジストを形成する。
エッチングレジストは一般的には
フィルム
インク
が採用される。
フィルムとインクをコスト面で比較した場合、
インクが割安になる。
しかし、同じくフィルムとインクを品質面で比較すると
フィルムの方が信頼性に秀でる。
回路が高密度になるほど再現性の観点からの品質に相違が顕在化するためだ。

そこで、製造側の品質維持のノウハウがクローズアップされる。
日本国内のプリント配線板メーカーは
印刷の専業企業が参入したケースのほか、
めっきの企業が参入して設立されたケース
金型加工の専業企業が参入したケースなどに分類される。

その中で、印刷に特長をもって参入した企業は
配線の再現性を高めるノウハウを構築してきた企業が多く、
パターン&ギャップ(回路幅と間隙値)をより細かく設定している。
従って、高密度配線の再現性に秀でて
狭い回路と間隙値で製造するノウハウを持っている。

ただ、印刷工法で回路を形成する場合、
小口での製造が不得意とならざるを得ない。

プリント配線板を設計する場合、
ライン(回路幅)/スペース(間隙値)は、
200(ミクロン)/200(ミクロン)あたりの数値が
印刷工法とフィルム工法の分岐になると思う。

ライン/スペースで
200ミクロン未満で品質を保証できる企業は
高い品質を構築していると理解することができよう。

ここまで
ライン(回路幅)/スペース(間隙値)と基準に考えてきたが
穴径/ランド径を基準に想定することもできる。

フィルム工法では、
最小穴径は 仕上がりΦ0.3
最小ランド径 Φ0.5
程度まで対応が可能だが、
印刷工法では
最小穴径は 仕上がりΦ0.3
最小ランド径 Φ0.9
程度になると思われる。

回路の高密度化には制約が必要となる。

ここまでの仕様を前提とすると、
コストを低減する場合、
パターン(回路幅)/スペース(間隙値)を
200ミクロン/200ミクロン
最小穴径は 仕上がりΦ0.5
最小ランド径 Φ0.9
程度の仕様で設計され、
製造ロットが ワークサイズで 30ボード程度であれば、
プリント配線板のコストを低減することが可能だ。