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角田光代さん、好きです。今回はこちらの作品を読んだのですが、本当にこの作品は、今の私にぴったりでした。
本との出会いって、偶然だけど、今読むべきものにちょうど出会えた! なんてこと、まれにありますよね。
過去の私でもなく、未来の私でもなく、今の私だからこそ、客観的に向き合うことができました。
まず、過去の私でもなく、のほう。
ヒロインは、19歳の女子大生。その20年ほどの物語。
彼女が付き合った男性は、クリエイティヴな仕事を学生時代からしている人で。そして彼女の祖母は、結婚前は小説家志望だった。そういうこともあって、主人公は、小説家を志し、そしていろいろ経験しながら少しずつ売れていくというストーリー。
私は10年ほど、小説家を志していました。
大学もそういう学部に行き、ゼミの先生からは、何々賞の最終候補まで行けるだろうとおっしゃっていただけました。
でも、現実は、一次審査で落ちました。
その後いろいろな章へ応募したけれど、全部一次で落ちました。
書くことは好きだけど、才能なくって。文章を作ることは自負できるけれど、ストーリを作る力が弱いんですよね。
12年くらい小説を書き続けてきたけれど、もうこの1年半ほど、全く書いていません。今後、書くこともないんだろうなぁって思います。
それはもう、書けなくなっちゃったからで。書く意味も見出せなくて。
主人公は、小説家志望だった祖母がどうして書かなくなってしまったのか、ということに固執していました。
なぜ、そんなことに・・・?
親しい人とか、憧れの恩師とか、せめて両親とかなら分かるけれど、幼い頃に死別した、ろくに思い出もない人のそんなことになぜこだわったんだろう。
血筋、ルーツだから? 母の母の血が私にも入ってきてる、と思ったのでしょうけど、近しい人とも思えなかった。
この作品は、レビューを読むと、「登場人物の誰にも共感できない」と書かれているものがちらほらとあって。そういう意味で、「なぜ?」と感じるところはあった。
なぜ祖母は書かなくなったのか、なぜ書けなくなったのか――主人公が、ある人の一言をきっかけにそれに全くこだわらなくなってからは、小説家人生も上手くいくようになって。
所詮、亡くなっている他人の過去のことを、彼女が真実を知ったところで、何かが変わるわけでもなく。
もし、過去の私がこの作品を読んでいたのなら。
つまり、書いている最中で、これからもまだまだ書き続けていくと感じている頃の私がこの作品を読んでいたのなら。
きっと、主人公と同じ泥沼にはまっていたのかもしれない。
そういうどうでもいいことに固執して、そしてそれは作中だけでなく自分の周りに対しても同じで、そうやって、考えなくてもいいことを考えてしまっていたかもしれない。
ちなみになぜ私が書けなくなった、書く意味を見出せなくなったかと言うと、自分の身に起きたフィクションを超えるノンフィクションは私には思い付かないと思ったから。
妄想の世界より現実の世界のほうが幸せだと感じるようになったから。
物書きは、闇を抱えている人が少なくない気がする(笑)
やはり何かしら現実逃避の行為としての節はあるでしょう。
が、そんな作られた世界よりも、現実の世界のほうがどれだけ良いことか。そういう人に出逢えたから、空想を作る意味は見出せなくなってしまった。
卒業、なんでしょうね。
そういうことって、私にとっては大きなことでも、誰でも一度は経験すること。ただ元々小説を書いていたか、書いていなかったか、それだけの違いなのかもしれませんね。
話が長くなりますので、未来の私でもなく、のほうは、また今度更新しようと思います! 再来週? くらい??
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