「アルマエルマの両親の家って…一体…」
「思い出したの、ここが私の家だって」
僕はアルマエルマが何を言ってるのかさっぱりわからなかった。
質問したいことがありすぎる、どの質問をしても確実な真相には近づけないような、そんな気がするけれど。
何を言おうか迷っている頭を何とか整理していると。
「ルカちゃんは何も言わずに、私についてきてくれればいいから」
僕の現状を的確に読み取ったのか、アルマエルマはそう言って手を引いてくれた。
されるがままになって家へ入る。
中も外見と同じようにぼろぼろであった、リビングのテーブルとイスにはひびが入り、家中にツタが這っている。
老朽していく家の中、テーブルの上に悲しく佇んでいる写真が一枚あった。
当初の色とはかけ離れて、色あせてしまっているため顔が認識できるレベルではないが。
三人、写っているのはわかる。
少しだけ身長の高い人、髪の長い人、真ん中に立つ小さな子供。
「こ、れは…」
同じように覗き込んでいたアルマエルマが写真を手に取る。
「…思い出せないわ」
「えっ…」
ここがアルマエルマの両親の家であるのなら、そこに写っているの当然…。
しかし、僕はそんな言葉を口にできなかった。
だって僕は何も、彼女について知らないの…だから。
そう、これだけ長い旅をして、アルマエルマとも共に戦ってきたはずなのに。
怖くなってしまうくらい、知らなかった。
アルマエルマは大切そうにその写真をしまう。
思い出せなくても、わかるのだろう。
それから本棚に放置されたままの書物をあけてみるも、特に有益な情報を得ることはできず。
「一番手がかりだったのは写真一枚だね」
「そうね、でも、これが私にとって本当に、大切だってことはわかるわ」
しまっていた写真を大切そうに握り締めるアルマエルマ。
「アルマエルマさ、時期が来たら話してほしい」
もう何も手がかりを見つけることができないのがわかった僕達は森を出ようとしていた。
「ルカちゃんはやっぱり、優しいね」
前を歩いていたアルマエルマが振り向いて笑顔を作る。
無理しているのは、アルマエルマなんじゃないかな…。
彼女の笑顔を見るとそんなことをおもってしまう。
こんなアルマエルマ今まで見たことがあっただろうか。
「そんなルカちゃんに、面白いモノ見せてあげる」
悪戯っ子な表情を浮かべて、アルマエルマはサキュバスの村へと歩いていく。
そう、外れたこの場所ではなくて、本当のサキュバスの村。
彼女が一歩村に足を踏み入れると、村にあった雰囲気がとても険しいものになった。
同族であるサキュバス達が避けて行く、中には恐ろしい表情を浮かべて逃げだす者まで。
「ね、面白いでしょ」
「これって…」
サキュバスの村長がアルマエルマに歩み寄ってくるのが見えた。
何か話があるみたいなのだが、やはり難しい顔をしているので、好ましいものではないだろう。
「…アルマエルマ様、どうして戻ってこられたのですか」
「ちょっと用事にね…すぐ帰るわ」
村長が出てきたことでいずらくなってしまったのか、アルマエルマは後ろにいた僕の元へ駆け寄ってくる。
その背中にかけられた、残酷な一言。
「もう 戻ってこなくて結構です」
――――――――――――――――ズキンと痛む胸の奥。
今は、アルマエルマが触れたら潰れてしまいそうな儚い存在に見えてしかたがない。
アルマエルマは表情を変えず村を出て行く、僕もアルマエルマに手を引かれて行く。
「面白いモノって、これのこと…?」
「えぇ、そうよ」
「私はクィーンサキュバスで、サキュバスの中での頂点に君臨しているはずなのに。とっても、面白いでしょ」
その声音には、寂しさが混じっていた。
アルマエルマは確かに軽く、楽天的ではあるが…。
いつも僕のことを、人のことを考えて動いてくれて、協力もしてくれて…。
ここまで嫌われるような存在では、ないはず。
なのにどうして…。
しかし、この一言の真意は 「助けてほしい」ということだと、僕は気付いていた。
「思い出したの、ここが私の家だって」
僕はアルマエルマが何を言ってるのかさっぱりわからなかった。
質問したいことがありすぎる、どの質問をしても確実な真相には近づけないような、そんな気がするけれど。
何を言おうか迷っている頭を何とか整理していると。
「ルカちゃんは何も言わずに、私についてきてくれればいいから」
僕の現状を的確に読み取ったのか、アルマエルマはそう言って手を引いてくれた。
されるがままになって家へ入る。
中も外見と同じようにぼろぼろであった、リビングのテーブルとイスにはひびが入り、家中にツタが這っている。
老朽していく家の中、テーブルの上に悲しく佇んでいる写真が一枚あった。
当初の色とはかけ離れて、色あせてしまっているため顔が認識できるレベルではないが。
三人、写っているのはわかる。
少しだけ身長の高い人、髪の長い人、真ん中に立つ小さな子供。
「こ、れは…」
同じように覗き込んでいたアルマエルマが写真を手に取る。
「…思い出せないわ」
「えっ…」
ここがアルマエルマの両親の家であるのなら、そこに写っているの当然…。
しかし、僕はそんな言葉を口にできなかった。
だって僕は何も、彼女について知らないの…だから。
そう、これだけ長い旅をして、アルマエルマとも共に戦ってきたはずなのに。
怖くなってしまうくらい、知らなかった。
アルマエルマは大切そうにその写真をしまう。
思い出せなくても、わかるのだろう。
それから本棚に放置されたままの書物をあけてみるも、特に有益な情報を得ることはできず。
「一番手がかりだったのは写真一枚だね」
「そうね、でも、これが私にとって本当に、大切だってことはわかるわ」
しまっていた写真を大切そうに握り締めるアルマエルマ。
「アルマエルマさ、時期が来たら話してほしい」
もう何も手がかりを見つけることができないのがわかった僕達は森を出ようとしていた。
「ルカちゃんはやっぱり、優しいね」
前を歩いていたアルマエルマが振り向いて笑顔を作る。
無理しているのは、アルマエルマなんじゃないかな…。
彼女の笑顔を見るとそんなことをおもってしまう。
こんなアルマエルマ今まで見たことがあっただろうか。
「そんなルカちゃんに、面白いモノ見せてあげる」
悪戯っ子な表情を浮かべて、アルマエルマはサキュバスの村へと歩いていく。
そう、外れたこの場所ではなくて、本当のサキュバスの村。
彼女が一歩村に足を踏み入れると、村にあった雰囲気がとても険しいものになった。
同族であるサキュバス達が避けて行く、中には恐ろしい表情を浮かべて逃げだす者まで。
「ね、面白いでしょ」
「これって…」
サキュバスの村長がアルマエルマに歩み寄ってくるのが見えた。
何か話があるみたいなのだが、やはり難しい顔をしているので、好ましいものではないだろう。
「…アルマエルマ様、どうして戻ってこられたのですか」
「ちょっと用事にね…すぐ帰るわ」
村長が出てきたことでいずらくなってしまったのか、アルマエルマは後ろにいた僕の元へ駆け寄ってくる。
その背中にかけられた、残酷な一言。
「もう 戻ってこなくて結構です」
――――――――――――――――ズキンと痛む胸の奥。
今は、アルマエルマが触れたら潰れてしまいそうな儚い存在に見えてしかたがない。
アルマエルマは表情を変えず村を出て行く、僕もアルマエルマに手を引かれて行く。
「面白いモノって、これのこと…?」
「えぇ、そうよ」
「私はクィーンサキュバスで、サキュバスの中での頂点に君臨しているはずなのに。とっても、面白いでしょ」
その声音には、寂しさが混じっていた。
アルマエルマは確かに軽く、楽天的ではあるが…。
いつも僕のことを、人のことを考えて動いてくれて、協力もしてくれて…。
ここまで嫌われるような存在では、ないはず。
なのにどうして…。
しかし、この一言の真意は 「助けてほしい」ということだと、僕は気付いていた。