「はは……ん?」
文が消えた途端現れて、俺の後ろでなにやら動いている二人の人物を発見した。
「チルノちゃん、こんなことしたら怒られるよぉ…」
「大丈夫!あたいに任せておきなって」
………。
「おい、そこの人間、もっとこっちへ来い。面白いことになるから」
一歩踏み出したあたりに、主張の強い落とし穴が置いてあった。
そして、不思議な羽根の生えた二人。
よくまぁ、こんな短時間で落とし穴を作れたな、その能力をもっと別のものへ生かそうとは考えないのだろうか。
「その申し出は断っておくが、チルノ…と言ったか?君が近付くと面白いことになるぞ」
「あ、どうなるの?」
興味津々!という表情をしながら俺に近づき。
自分から落とし穴だ!と叫びだしかねない主張強い仕掛けに、チルノという人物が落っこちた。
…………。
呆れた目で、役目を終えた落とし穴を見つめ続ける。
「ち、チルノちゃーん、大丈夫?」
同じように呆然としていたチルノの相方がハッと我に返って、落とし穴を覗き、心配そうにそう話しかける。
「頭クラクラするぅ…」
落とし穴から抜けた声が聞こえてきた。
その状態はまるで、先ほどの橙みたいだなぁ…。
「人を落とし穴に落とそうとする子は、一生そこで眠ってなさい」
子供を叱っているような気分。
「こらぁー、さっさとここから出せー!手伝え馬鹿ー!」
深いところからうるさいチルノの声が響いていた。
気にせずに橙を確認すると、だいぶ立ち直ったようだった。
「じゃ、じゃあぁぁ…神無そろそろいこっか」
「そうだね」
橙は幻想郷を案内するという使命をまっとうしようとしていた。
素晴らしい、案内人の鑑だよ橙。
まぁ、チルノは…。
妖怪だから、落とし穴に落っこちたくらい大丈夫だろ。
「ちょ、ちょっとまてぇ、生意気な人間ー!」
とりあえず、聞こえないフリをしておいた。
―――――――――――――――――――――――――――
橙に案内されてから少し歩いて、また声を掛けられた。
「おい、そこの人間、ちょっと待ってくれないか」
「…さっきのチビすけ共の声じゃないな…」
そこの人間、人間と…。
なんだかこういう呼び方されると居心地悪いだけどな。
しかし、さっきの落とし穴を発見したのでまた新しい、いたずら妖怪だろうか。
と後ろを振り向くと、空から耳を生やした少女が降りてきた。
降りてきたと同時に、地上から消えていった。
「って、あぶねぇ!?」
落っこちる寸前に、少女の手を掴んだ。
「…迷惑な落とし穴だな…」
少女を引き上げると、まるでねずみのような耳と尻尾を生やしていた。
狐に猫に烏天狗と来て、次は鼠か
でもこれでわかった、この子がこの落とし穴を仕掛けたわけじゃないと。
自分で用意した落とし穴に自分で落とし穴に落ちる間抜けがどこにいるだろうか?
…いたわ、一人。
「あれ、そういえば隣に猫がいたような…」
鼠と猫を鉢合わせてしまっていいのかな?
橙は食べたりするような妖怪には見えないから、大丈夫なんだろうけど。
「す、すまない…感謝する」
手を繋いでいた橙は、よだれとか垂らさず、普通にこのネズミ少女を見ている。
どうやら、餌ではないらしい。
「橙、君はネズミを食べるの?」
食べないとは思うけど、一応きいてみた。
「食べないよ~。だって、橙は高貴な妖怪だから」
ふふん、と誰かを見下すように言い放った。
その言葉に、ネズミ少女は鋭く反応を見せる。
「何と失礼な。それでは、ネズミが下等な生き物みたいじゃないか」
「下等じゃなかったのぉ?」
とぼけてみせる橙。
「なん、だとぉ!?」
二人は同じ身長であったため、おでことおでこでどき付き合いを始めた。
おでこの真ん中が辺りが薄っすらと赤くなり始めてから、これはまずいと思い始める。
子供の喧嘩にも限度ってものがあるだろ!
「おい、二人共やめろって」
二人のおでこを抑えると、すぐに二人は力むのをやめた。
「橙、くだらない意地をはるのやめなさい、喧嘩の元になるから」
「わかったぁ…ナズーリン、ごめんなさい」
耳と尻尾を萎らせながらも、口は尖がっていた。
橙もやっぱり子供だなぁ、かわいいいじけ方をする。
よしよしと頭を撫でてあげると、いじけていた表情が一変してくすぐったそうに目を細めた。
そうだ!
このネズミ少女は、ナズーリンと言う名前なんだな、メモメモ…。
「あぁ、わかってくれれば構わない…」
そして、俺を見上げる。
「ところでそこの人間、落とし穴に落ちるとき、私の手、握ったよな…」
「あぁ、何かまずかったか?」
潔癖症であるとか…?
「いや…君はなんとも思わなかったか?」
手を握るときに思ったことと言えば…。
「着地するところぐらい、きちんと確認しろとか思った」
正直に思ったことを言ってみる。
「そ、そういうことじゃなくてだな!!、あの、そのぉ…」
ナズーリンはそっぽを向いて、こうこぼした。
「私がネズミだから、汚いとか…そういった類だよ…」
その彼女の表情には少しの不安と、少しの期待が入り混じったものであった。
「別に思わなかったけど?もしかして、この幻想郷ではそういうものなのか?」
「いや、すべてがすべてってわけじゃないんだ…ただ、ネズミってだけで、嫌がられるものだから」
「そうか、俺は別になんとも思わなかったから、あんま気にすんな」
慣れないけど、頑張って微笑んで親指を立てる。
「あ、ありがとう…」
「で、ナズーリンとか言ったな、何か用事か?」
橙との喧嘩のせいで危うく本題を忘れるところだった。
ナズーリンは「うんうん」と何度も頷く。
「そうだった。そのことなんだが、君の持っているその、宝塔を返してもらいたい」
「持っていると言えば…この邪魔でしかたないおもちゃのことか」
一応バックにしまっておいたおもちゃ、帰ったら橙とこのおもちゃで遊ぼうとか考えていたり。
どう遊ぶのかわからないのだけれど。
「それは私の主人の大切なものなんだ、返してくれ」
これが大切って…。
ま、ある人にとっては価値の無いものでも、またある人にとっては価値あるものだったりするからな。
そこは聞かないで渡しておくかな。
「あぁ、わかった」
投げると割れてしまいそうなので、手渡しをしておいた。
「ありがとう、助かるよ。主人は抜けていて、すぐ宝塔をなくしてしまって困っているんだ」
と、その時、空からもう一人降りてきた。
「ナズー…うわっぷっ!!」
先ほど、ナズーリンが落ちた落とし穴に、またもや降りてきた女性が落ちてしまったのだ。
まぁ、ギリギリで滑り込んで手は掴んだものの…。
あれ、俺ってこんなに運動能力よかったっけ?バレーボールの飛び込み並だ。
おかげで地面とキスをするかと思った。
もう、空いてある落とし穴に落ちるなんてなぁ、抜けている主人というのはこの人だろう。
「あ、ありがとうございます…」
「よいしょっと」と言って、派手な服装が目立つ女性が現れた。
と、虎?
「ナズーリン、宝塔は見つかりましたか?」
「あぁ、ここにあるよ」
ナズーリンが手に持っている宝塔を女性に渡した。
虎と鼠?
「ありがとうございます、ナズーリン」
「もうちょっと、宝塔を大切にしてくれると、ありがたいのだが、主人よ…」
「わかりました…反省します」
どっちが主人なんだかわからない光景。
二人は仲良くやっているので、俺達は静かに退散することにした。
「橙、そろそろいこっか、またせてごめんね」
「大丈夫ぅ。じゃ、案内するねぇ」
幻想郷巡りへ戻ろうとしてきたとき、ナズーリンに声をかけられた。
「ちょっと待ってくれ、人間」
折角、静かに消えてあげようと思のに台無しじゃないか。
そんな気遣いもお構いなしのナズーリンに呼び止められたので、二人で立ち止まる。
「ん、なんだ?」
「名前だけでも、教えてくれないか?」
またやってしまったことに気付く。
おでこに手を添えて自己嫌悪した。
これは、完璧に俺に非がある…。
「あ、あぁ…白鳥神無だよ…。そういえば、そこの派手な衣装着ている女性は、なんという名前なんだ?」
そして、抜けているご主人の名前を聞くのも忘れていた。
これは呼び止めるのも頷ける。
「あ、私は寅丸星と言います」
「そうか、じゃ、また会ったら声でも掛けてくれ」
手を振って、橙の案内へ戻っていった。
「白鳥神無か、いい人だったよ。この幻想郷では珍しい」
二人は、神無が握った手を見つめていた。
「「………」」
「ナズー、宝塔は、神無さんが持っていたんですか?」
コクンとナズーリンが頷くと、神無の背中を見つめた。
「…あぁ、別に盗んだりはしていない…と思う。どこかで拾ったとかだと思うよ」
「そうですか」
「「…」」
二人はそれぞれ感じるものがあったが、口にはしなかった。
―――――――――――
テストも無事終わりましたので、更新再開します。が
たまに更新しない日ありますのでご注意
基本不定期です
文が消えた途端現れて、俺の後ろでなにやら動いている二人の人物を発見した。
「チルノちゃん、こんなことしたら怒られるよぉ…」
「大丈夫!あたいに任せておきなって」
………。
「おい、そこの人間、もっとこっちへ来い。面白いことになるから」
一歩踏み出したあたりに、主張の強い落とし穴が置いてあった。
そして、不思議な羽根の生えた二人。
よくまぁ、こんな短時間で落とし穴を作れたな、その能力をもっと別のものへ生かそうとは考えないのだろうか。
「その申し出は断っておくが、チルノ…と言ったか?君が近付くと面白いことになるぞ」
「あ、どうなるの?」
興味津々!という表情をしながら俺に近づき。
自分から落とし穴だ!と叫びだしかねない主張強い仕掛けに、チルノという人物が落っこちた。
…………。
呆れた目で、役目を終えた落とし穴を見つめ続ける。
「ち、チルノちゃーん、大丈夫?」
同じように呆然としていたチルノの相方がハッと我に返って、落とし穴を覗き、心配そうにそう話しかける。
「頭クラクラするぅ…」
落とし穴から抜けた声が聞こえてきた。
その状態はまるで、先ほどの橙みたいだなぁ…。
「人を落とし穴に落とそうとする子は、一生そこで眠ってなさい」
子供を叱っているような気分。
「こらぁー、さっさとここから出せー!手伝え馬鹿ー!」
深いところからうるさいチルノの声が響いていた。
気にせずに橙を確認すると、だいぶ立ち直ったようだった。
「じゃ、じゃあぁぁ…神無そろそろいこっか」
「そうだね」
橙は幻想郷を案内するという使命をまっとうしようとしていた。
素晴らしい、案内人の鑑だよ橙。
まぁ、チルノは…。
妖怪だから、落とし穴に落っこちたくらい大丈夫だろ。
「ちょ、ちょっとまてぇ、生意気な人間ー!」
とりあえず、聞こえないフリをしておいた。
―――――――――――――――――――――――――――
橙に案内されてから少し歩いて、また声を掛けられた。
「おい、そこの人間、ちょっと待ってくれないか」
「…さっきのチビすけ共の声じゃないな…」
そこの人間、人間と…。
なんだかこういう呼び方されると居心地悪いだけどな。
しかし、さっきの落とし穴を発見したのでまた新しい、いたずら妖怪だろうか。
と後ろを振り向くと、空から耳を生やした少女が降りてきた。
降りてきたと同時に、地上から消えていった。
「って、あぶねぇ!?」
落っこちる寸前に、少女の手を掴んだ。
「…迷惑な落とし穴だな…」
少女を引き上げると、まるでねずみのような耳と尻尾を生やしていた。
狐に猫に烏天狗と来て、次は鼠か
でもこれでわかった、この子がこの落とし穴を仕掛けたわけじゃないと。
自分で用意した落とし穴に自分で落とし穴に落ちる間抜けがどこにいるだろうか?
…いたわ、一人。
「あれ、そういえば隣に猫がいたような…」
鼠と猫を鉢合わせてしまっていいのかな?
橙は食べたりするような妖怪には見えないから、大丈夫なんだろうけど。
「す、すまない…感謝する」
手を繋いでいた橙は、よだれとか垂らさず、普通にこのネズミ少女を見ている。
どうやら、餌ではないらしい。
「橙、君はネズミを食べるの?」
食べないとは思うけど、一応きいてみた。
「食べないよ~。だって、橙は高貴な妖怪だから」
ふふん、と誰かを見下すように言い放った。
その言葉に、ネズミ少女は鋭く反応を見せる。
「何と失礼な。それでは、ネズミが下等な生き物みたいじゃないか」
「下等じゃなかったのぉ?」
とぼけてみせる橙。
「なん、だとぉ!?」
二人は同じ身長であったため、おでことおでこでどき付き合いを始めた。
おでこの真ん中が辺りが薄っすらと赤くなり始めてから、これはまずいと思い始める。
子供の喧嘩にも限度ってものがあるだろ!
「おい、二人共やめろって」
二人のおでこを抑えると、すぐに二人は力むのをやめた。
「橙、くだらない意地をはるのやめなさい、喧嘩の元になるから」
「わかったぁ…ナズーリン、ごめんなさい」
耳と尻尾を萎らせながらも、口は尖がっていた。
橙もやっぱり子供だなぁ、かわいいいじけ方をする。
よしよしと頭を撫でてあげると、いじけていた表情が一変してくすぐったそうに目を細めた。
そうだ!
このネズミ少女は、ナズーリンと言う名前なんだな、メモメモ…。
「あぁ、わかってくれれば構わない…」
そして、俺を見上げる。
「ところでそこの人間、落とし穴に落ちるとき、私の手、握ったよな…」
「あぁ、何かまずかったか?」
潔癖症であるとか…?
「いや…君はなんとも思わなかったか?」
手を握るときに思ったことと言えば…。
「着地するところぐらい、きちんと確認しろとか思った」
正直に思ったことを言ってみる。
「そ、そういうことじゃなくてだな!!、あの、そのぉ…」
ナズーリンはそっぽを向いて、こうこぼした。
「私がネズミだから、汚いとか…そういった類だよ…」
その彼女の表情には少しの不安と、少しの期待が入り混じったものであった。
「別に思わなかったけど?もしかして、この幻想郷ではそういうものなのか?」
「いや、すべてがすべてってわけじゃないんだ…ただ、ネズミってだけで、嫌がられるものだから」
「そうか、俺は別になんとも思わなかったから、あんま気にすんな」
慣れないけど、頑張って微笑んで親指を立てる。
「あ、ありがとう…」
「で、ナズーリンとか言ったな、何か用事か?」
橙との喧嘩のせいで危うく本題を忘れるところだった。
ナズーリンは「うんうん」と何度も頷く。
「そうだった。そのことなんだが、君の持っているその、宝塔を返してもらいたい」
「持っていると言えば…この邪魔でしかたないおもちゃのことか」
一応バックにしまっておいたおもちゃ、帰ったら橙とこのおもちゃで遊ぼうとか考えていたり。
どう遊ぶのかわからないのだけれど。
「それは私の主人の大切なものなんだ、返してくれ」
これが大切って…。
ま、ある人にとっては価値の無いものでも、またある人にとっては価値あるものだったりするからな。
そこは聞かないで渡しておくかな。
「あぁ、わかった」
投げると割れてしまいそうなので、手渡しをしておいた。
「ありがとう、助かるよ。主人は抜けていて、すぐ宝塔をなくしてしまって困っているんだ」
と、その時、空からもう一人降りてきた。
「ナズー…うわっぷっ!!」
先ほど、ナズーリンが落ちた落とし穴に、またもや降りてきた女性が落ちてしまったのだ。
まぁ、ギリギリで滑り込んで手は掴んだものの…。
あれ、俺ってこんなに運動能力よかったっけ?バレーボールの飛び込み並だ。
おかげで地面とキスをするかと思った。
もう、空いてある落とし穴に落ちるなんてなぁ、抜けている主人というのはこの人だろう。
「あ、ありがとうございます…」
「よいしょっと」と言って、派手な服装が目立つ女性が現れた。
と、虎?
「ナズーリン、宝塔は見つかりましたか?」
「あぁ、ここにあるよ」
ナズーリンが手に持っている宝塔を女性に渡した。
虎と鼠?
「ありがとうございます、ナズーリン」
「もうちょっと、宝塔を大切にしてくれると、ありがたいのだが、主人よ…」
「わかりました…反省します」
どっちが主人なんだかわからない光景。
二人は仲良くやっているので、俺達は静かに退散することにした。
「橙、そろそろいこっか、またせてごめんね」
「大丈夫ぅ。じゃ、案内するねぇ」
幻想郷巡りへ戻ろうとしてきたとき、ナズーリンに声をかけられた。
「ちょっと待ってくれ、人間」
折角、静かに消えてあげようと思のに台無しじゃないか。
そんな気遣いもお構いなしのナズーリンに呼び止められたので、二人で立ち止まる。
「ん、なんだ?」
「名前だけでも、教えてくれないか?」
またやってしまったことに気付く。
おでこに手を添えて自己嫌悪した。
これは、完璧に俺に非がある…。
「あ、あぁ…白鳥神無だよ…。そういえば、そこの派手な衣装着ている女性は、なんという名前なんだ?」
そして、抜けているご主人の名前を聞くのも忘れていた。
これは呼び止めるのも頷ける。
「あ、私は寅丸星と言います」
「そうか、じゃ、また会ったら声でも掛けてくれ」
手を振って、橙の案内へ戻っていった。
「白鳥神無か、いい人だったよ。この幻想郷では珍しい」
二人は、神無が握った手を見つめていた。
「「………」」
「ナズー、宝塔は、神無さんが持っていたんですか?」
コクンとナズーリンが頷くと、神無の背中を見つめた。
「…あぁ、別に盗んだりはしていない…と思う。どこかで拾ったとかだと思うよ」
「そうですか」
「「…」」
二人はそれぞれ感じるものがあったが、口にはしなかった。
―――――――――――
テストも無事終わりましたので、更新再開します。が
たまに更新しない日ありますのでご注意
基本不定期です