感じの言い巫女さんだったね。いっつもニコニコしている」
「信仰集めてるためだよぉ」
橙、それは俺も思っていたけど、目を瞑っていた事実なんだよ。
キャラ崩壊するからそういう黒いことは言わないでね、お願い。
「ま、まぁ・・・同感」
縁側を出ると、すぐに大勢の参拝者達が見えた。
「あっ、お燐だ」
参拝者の中に知り合いでも見つけたのか、嬉しそうにそう言うと、橙すぐには駆け出していった。
「お燐、久しぶりぃ」
黒い服に身を包み、赤い髪に猫耳が生えている女性に抱きついた橙。
「あ、橙じゃない、どうしたの?こんな所で」
「今、幻想郷を案内中」
「幻想郷を?…新入りさん?」
「うん」
お燐といったかな、その人物は俺を見つめる。
橙の知り合いなら大丈夫だろうと俺も近くへ寄ってみた。
「お兄さんが、新人さんかな?」
「そんなところ」
周りには、妖怪と一目でわかるような参拝者が多く歩いていて、驚きで一杯だ。
ここの神社は盛んに参拝者が来るんだな。現在の日本なんて、正月ぐらいじゃないか…?
それとも、幻想郷の暦では今日が正月とか?そんなはずはないよねぇ。
春はまだ始まったばかりのはずだ。
「あたしは火焔猫燐、気軽にお燐って呼んでね」
「あぁ、よろしく」
差し出された手を掴む。
「…っ」
そのお燐の隣には、少し背の小さい少女が、俺を凝視していた。
「あっ、この人は、私の主人で、古明地さとり様です」
そのさとりには、とても奇妙な目玉が繋がっていた。
「よ、よろしくね…」
お燐と同じように、握手を求めたので、それに答える。
「二人共、こんなところに何しにきたのぉ?」
橙がさとりとお燐を質問をした。
「地獄から、地上に出られるようになったから、観光でもしよーかなって」
じ、地獄…。
この幻想郷には地獄なんてものがあるんだ?罪人でも裁いている閻魔でも出てきそうだね。
なんてたって、神様が存在するのだから。
天国があったらどうしよう、一度行って見たい気がする。
それにしても…。
観光がてらに、こんな険しそうな山を登るなんて、素晴らしいとしか言いようがないな。
それか、モノレールでもあるんだろうか。
「橙達と似ているかもね。それじゃ、妖怪の山を降りなきゃ」
「うん、またね」
二人はにっこり微笑みを交わして、去っていった。
「あっ、名前言うの忘れてた」
「神無のあいさつって、いつもそんな感じだねぇ」
「慣れてないからな、コレでも結構頑張っている方だ」
独りで生きてきた代償が、こんなところでくるなんて。
でも、自己紹介もろくにできないなんて自分のことを嫌悪してしまう。
この世界で生きて行く一歩を進むのに必要なものだから、注意しないと…。
「あっ、忘れてた…。橙は空飛べるけど、神無って空飛べないよね!?」
…あっちの世界だったら問題発言だな。
「飛べるわけないだろ!?えっ、何、ここの住人は空を飛べるものな・の・か!?」
橙は静かに頷いた。
今まで人間が精一杯空を飛ぼうと考えに考えて、ヘリコプターや飛行機を発明したというのに。
ここの住人は普通に空を飛んでしまうというのか。
今までの偉人の努力はいずこ…。
「…これは驚いた…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
早苗組の一方。
変わらず、三人肩を並べて平和を堪能していた。
「早苗、顔赤いよ」
「え、そ、そうですかぁ…?でも、私と同じ人がいたことが、すごく嬉しかったんです」
あくまでも、同士がいたことを主張する早苗。
「本当にそれだけかな?」
「それだけです!」
早苗は更に顔を赤くして、お茶をすする。
しかし、神奈子は二人の考えとは一味違った。
「…でも、白鳥とか言ったな…」
「はい?」
「…神である私の目を欺いて、この地へ落っこちてくるなんて、一体どういう奴なんだ?」
「それは、橙さんがいたことから推測して、紫さんの隙間じゃないんですか?」
「…それだけだったら、まぁいいんだけどな」
意味深に神奈子が呟く。
「そうですか、神奈子様がそんなに言葉を濁らせるなんて、珍しいですね」
「あたしにだって、そういうときぐらいあるさ」
そして、地獄組。
「さとり様~、新入りのお兄さんの名前、聞くの忘れてましたぁ~」
お燐がさとりに泣きつく。
「あ、えーと…白鳥神無と言ったはずよ」
さとりはお得意のその能力を初対面の白鳥神無に対しても使っていた。
「あ、ありがとうございます」
そして、さとりは少し嬉しそうに表情をほころばせた。
「ねぇ、お燐、あの子の心の底には、深い傷が見えたわ」
どうしてそんなことを嬉しそうに零すのか、神無がいればそう疑問に思うはずだが。
事情を知っているお燐は頷いた。
「あの子っていうのは、新入りのお兄さんのことですね」
「えぇ」とさとりが頷く。
「それと、とても微弱だけど、何か温かいものを感じたの、それは私とすごく似ている気がする…」
赤いホースのようなもので繋がっている目玉に、両手を添える。
「さとり様が他人に興味を持つなんて、珍しいですね」
さとり様にも、深い悲しみを負った時期があったから…それに何か繋がるものを感じたということかな
お燐にはあのお兄さんの事情はわからない。
でも、さとり様がここまで言うということは、とてもつらい何かがあったはずなんだね。
とお燐は神無達が去っていった方向を見つめる。
「あの人とは、共通する何かが感じられた…。もう一度会ってみたいわ」
「そうですか、なんか嬉しいです。さとり様が他人の興味を持つなんて」
それがさとり様に幸せを与えてくれるものなら、なおさら…と。
お燐は主であるさとりに対して強く思った。
「そうかな…?」
――――――――――――――――――――
一方、八雲家では。
「あっ、霊夢んとこ落とそうとしたのに、早苗んとこ落としてしまったわ」
紫は隙間を見つめながらそう呟くものの。
「まぁ…神無なら大丈夫…」
…………。
「ふわぁ~、朝早かったし、少し、寝ようかしら」
―――――――――――――――――――――――
「信仰集めてるためだよぉ」
橙、それは俺も思っていたけど、目を瞑っていた事実なんだよ。
キャラ崩壊するからそういう黒いことは言わないでね、お願い。
「ま、まぁ・・・同感」
縁側を出ると、すぐに大勢の参拝者達が見えた。
「あっ、お燐だ」
参拝者の中に知り合いでも見つけたのか、嬉しそうにそう言うと、橙すぐには駆け出していった。
「お燐、久しぶりぃ」
黒い服に身を包み、赤い髪に猫耳が生えている女性に抱きついた橙。
「あ、橙じゃない、どうしたの?こんな所で」
「今、幻想郷を案内中」
「幻想郷を?…新入りさん?」
「うん」
お燐といったかな、その人物は俺を見つめる。
橙の知り合いなら大丈夫だろうと俺も近くへ寄ってみた。
「お兄さんが、新人さんかな?」
「そんなところ」
周りには、妖怪と一目でわかるような参拝者が多く歩いていて、驚きで一杯だ。
ここの神社は盛んに参拝者が来るんだな。現在の日本なんて、正月ぐらいじゃないか…?
それとも、幻想郷の暦では今日が正月とか?そんなはずはないよねぇ。
春はまだ始まったばかりのはずだ。
「あたしは火焔猫燐、気軽にお燐って呼んでね」
「あぁ、よろしく」
差し出された手を掴む。
「…っ」
そのお燐の隣には、少し背の小さい少女が、俺を凝視していた。
「あっ、この人は、私の主人で、古明地さとり様です」
そのさとりには、とても奇妙な目玉が繋がっていた。
「よ、よろしくね…」
お燐と同じように、握手を求めたので、それに答える。
「二人共、こんなところに何しにきたのぉ?」
橙がさとりとお燐を質問をした。
「地獄から、地上に出られるようになったから、観光でもしよーかなって」
じ、地獄…。
この幻想郷には地獄なんてものがあるんだ?罪人でも裁いている閻魔でも出てきそうだね。
なんてたって、神様が存在するのだから。
天国があったらどうしよう、一度行って見たい気がする。
それにしても…。
観光がてらに、こんな険しそうな山を登るなんて、素晴らしいとしか言いようがないな。
それか、モノレールでもあるんだろうか。
「橙達と似ているかもね。それじゃ、妖怪の山を降りなきゃ」
「うん、またね」
二人はにっこり微笑みを交わして、去っていった。
「あっ、名前言うの忘れてた」
「神無のあいさつって、いつもそんな感じだねぇ」
「慣れてないからな、コレでも結構頑張っている方だ」
独りで生きてきた代償が、こんなところでくるなんて。
でも、自己紹介もろくにできないなんて自分のことを嫌悪してしまう。
この世界で生きて行く一歩を進むのに必要なものだから、注意しないと…。
「あっ、忘れてた…。橙は空飛べるけど、神無って空飛べないよね!?」
…あっちの世界だったら問題発言だな。
「飛べるわけないだろ!?えっ、何、ここの住人は空を飛べるものな・の・か!?」
橙は静かに頷いた。
今まで人間が精一杯空を飛ぼうと考えに考えて、ヘリコプターや飛行機を発明したというのに。
ここの住人は普通に空を飛んでしまうというのか。
今までの偉人の努力はいずこ…。
「…これは驚いた…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
早苗組の一方。
変わらず、三人肩を並べて平和を堪能していた。
「早苗、顔赤いよ」
「え、そ、そうですかぁ…?でも、私と同じ人がいたことが、すごく嬉しかったんです」
あくまでも、同士がいたことを主張する早苗。
「本当にそれだけかな?」
「それだけです!」
早苗は更に顔を赤くして、お茶をすする。
しかし、神奈子は二人の考えとは一味違った。
「…でも、白鳥とか言ったな…」
「はい?」
「…神である私の目を欺いて、この地へ落っこちてくるなんて、一体どういう奴なんだ?」
「それは、橙さんがいたことから推測して、紫さんの隙間じゃないんですか?」
「…それだけだったら、まぁいいんだけどな」
意味深に神奈子が呟く。
「そうですか、神奈子様がそんなに言葉を濁らせるなんて、珍しいですね」
「あたしにだって、そういうときぐらいあるさ」
そして、地獄組。
「さとり様~、新入りのお兄さんの名前、聞くの忘れてましたぁ~」
お燐がさとりに泣きつく。
「あ、えーと…白鳥神無と言ったはずよ」
さとりはお得意のその能力を初対面の白鳥神無に対しても使っていた。
「あ、ありがとうございます」
そして、さとりは少し嬉しそうに表情をほころばせた。
「ねぇ、お燐、あの子の心の底には、深い傷が見えたわ」
どうしてそんなことを嬉しそうに零すのか、神無がいればそう疑問に思うはずだが。
事情を知っているお燐は頷いた。
「あの子っていうのは、新入りのお兄さんのことですね」
「えぇ」とさとりが頷く。
「それと、とても微弱だけど、何か温かいものを感じたの、それは私とすごく似ている気がする…」
赤いホースのようなもので繋がっている目玉に、両手を添える。
「さとり様が他人に興味を持つなんて、珍しいですね」
さとり様にも、深い悲しみを負った時期があったから…それに何か繋がるものを感じたということかな
お燐にはあのお兄さんの事情はわからない。
でも、さとり様がここまで言うということは、とてもつらい何かがあったはずなんだね。
とお燐は神無達が去っていった方向を見つめる。
「あの人とは、共通する何かが感じられた…。もう一度会ってみたいわ」
「そうですか、なんか嬉しいです。さとり様が他人の興味を持つなんて」
それがさとり様に幸せを与えてくれるものなら、なおさら…と。
お燐は主であるさとりに対して強く思った。
「そうかな…?」
――――――――――――――――――――
一方、八雲家では。
「あっ、霊夢んとこ落とそうとしたのに、早苗んとこ落としてしまったわ」
紫は隙間を見つめながらそう呟くものの。
「まぁ…神無なら大丈夫…」
…………。
「ふわぁ~、朝早かったし、少し、寝ようかしら」
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