とある神社の縁側では、青空を眺めながら、平和というものを堪能している三人の姿があった。
「早苗のお茶はいつもおいしぃね~」
「ありがとうございます」
「早苗、この世界にはもう慣れたか?」
「はい、おかげさまで」
ニコニコ、緑色の髪を揺らしながら、会話のキャッチボールをして。
三人は肩を並べて お茶をすする。
そして、突然目の前に人が出現した。
――――――――――――――――――――――
「あ、いてて…こんな落ち方するんだ…」
橙はきちんと俺がキャッチした。
こんな落ち方してたんじゃ、いつか骨折でもしてしまいそうなんだが…。
「普段はこんなこと、紫様はしないと思うけど…。多分、サプライズだよ」
「そ、そうか、毎回こんなことされてたらたまったもんじゃないから、聞いて安心した」
土ほこりを払って立ち上がると、変わらない青空が見えた。
ブゥゥゥ!!!
と、同時に何か奇妙な音が聞こえた。
振り返ってみると、身長の違った三人が湯飲みを片手に、お茶を噴出していた。
あぁ、なんとなくわかった…。
「ど、どうも…」
そりゃ、のんびりお茶を飲んでいたのに突然人が現れたらそうなるわな。
俺が八雲家の三人と縁側で過ごしていたなら、同じくお茶を噴出すはずだ。
軽く頭を下げて、ここから立ち去ろうと思った。
「神無、大丈夫だよ。知っている人だから」
「あ、そうか、良かった…」
さすがに不法侵入とかで捕まるかと…。
改めて三人を見る…と、帽子の目玉が忙しく動いているのが気になった。
「あ、八雲藍さんの式神さんですね」
「お久しぶりです」
俺は、その帽子をかぶっている女の子と目が合っている。
というより、帽子の目玉と目が合っている。
発泡スチロールに黒いインクをたらしているわけじゃないらしい。
「………」
「……」
二人は沈黙する。
「橙さん、そちらの方は?」
「白鳥神無と言って、現実の世界から来た方です」
俺の傍では橙が変わりに自己紹介してくれているのが聞こえる…けど…。
気になる、とても気になる…。
「やっぱりそうでしたか!服装からそう思ったんです」
俺の高校の制服姿を見て、ニコニコ笑いながらそう言った。
「な、なぁ…その帽子、一体なんなんだ…!?」
先ほどとは距離を詰めて、じっと睨みつけて疑問をぶつけてみた。
「これ、私の本体」
帽子が本体って…。
すぐにでも壊されてしまいそうだな。
「君の体は偽者なの?」
「そうだよ~。だから、この帽子は大事なの」
と言って両手で帽子を抑えて笑顔を見せる。
「そそそ、そうなのか…。帽子が生きている世界か…。なんでもありだなぁ」
帽子の目玉は、俺に焦点を合わせたままで、不気味だった。
「神無、この人、現実世界にいた人間だよ」
橙が服の袖を引っ張って、女性を指差す。
「え、まじか」
緑色の髪と、巫女服に身を包んだ女性を見つめる。
「…そうは見えない…」
「あ、あの、その服装からして、高校生ですよね?」
「そうだよ」
かたっくるしい制服を、無理矢理引っ張る。
「そうですか、こちらへ来たのは最近なんですか?」
「うん」
早苗は「そうなんですかぁ…」と瞬きして、俺の姿をもう一度確認する。
「あ、そうでした、私は東風谷早苗って言います。」
「さっき橙が紹介した通り、神無って言うから、よろしく」
早苗は笑顔を作った。
果たして、これが巫女という役割での笑顔なのか、それとも現実の人間と言葉を交わしたことへの喜びなのかは、定かではない。
「現実の世界の人としゃべるなんて久しぶりで、すごく嬉しいです」
どうやら、後者が正解だったみたい。
「そっか、俺も現実の世界の人と会えてよかった」
これは本音である。
この世界では色々な種族が混じっていると言っていたが、本物の人間と最初に知り合えるなんて願っても無いことだ。
これは幸先がいいかもしれない。
この人も、あっちの世界で色々と苦労したんだろうな。
なんだか重い話にでもなりそうなので、事情は聞かないことにした。
この幻想郷へ来る意味…か。
「はい!じゃあ、この神社の神様と、その隅に祀られている神様を紹介しますね」
「か、神様…!?」
隣に座っていた二人へ視線を送ると、二人は頷いた。
か、かかか神様が普通に暮らしているなんて…。
さすが、幻想郷である。
「そうですよ、右から、八坂神奈子、洩矢諏訪子って言うんです」
「よろしくね」「これからよろしくな」
「神様」その言葉の途端、自分の無礼な行動を後悔した。
「すすすすすいません、神様とは知らなかったもので…」
「私、祟り神だから、祟っちゃうよ~?」
先程、帽子を睨み付けてしまったのだった。
こ、これは幸先悪いかもっ!?
「勘弁してください…」
両手を地につけて、頭を下げた。
必殺の土下座である。
「冗談だよぉ、大丈夫大丈夫。だから頭を上げて」
そういわれて顔を上げると、その神様は舌をペロッと出して笑っていた。
「あ、良かった…」
「その、俺は白鳥神無って言うから、今後よろしく…お願いします。加奈子様、諏訪子様…」
「にゃは、神無が改まっているところ、面白い」
隣にいた橙に茶化されて、更に恥ずかしくなった。
「神様だからさ・・・」
橙は「それじゃあ!」と後ろを振り向いて、青空と緑の壮大な景色を見渡した。
「幻想郷を案内してって言われてるから、幻想郷の紹介するね」
「よろしく、ここが何処だかいまいちわからないし」
八雲家もこの景色のどこかにあるのかな?
「ここは幻想郷で一番高い、妖怪の山の頂上、洩矢神社っていうところなの」
確か、あの帽子の子って洩矢諏訪子様ではなかったっけ…。
本当に、本当なんだね。
「そっか」
山から下を覗く。
建物がちらほら建ってはいるものの、現在の日本のようなものではなく、自然と融合している感じがする。
八雲家らしき建物は見えない。
「すごく、緑がいっぱいある世界だね、あっちの世界とは違って、すごく空気が澄んでいる気がする」
あっちは工場やら住宅街やらで、空気が澄んでいるように見えて汚い。
本当に澄んでいる所へ来るとなおさらわかってしまう。
「私も初めて来た時、そう思えました」
俺の言葉に、早苗も同感と言ってくれる。
「じゃ、神無、次いこ」
橙が服の袖を引っ張って、神社の表側へ回ろうとした。
「あ、早苗、諏訪子様、神奈子様、また!」
「また来て下さいね~!」
「じゃあね~」「またな」
「早苗のお茶はいつもおいしぃね~」
「ありがとうございます」
「早苗、この世界にはもう慣れたか?」
「はい、おかげさまで」
ニコニコ、緑色の髪を揺らしながら、会話のキャッチボールをして。
三人は肩を並べて お茶をすする。
そして、突然目の前に人が出現した。
――――――――――――――――――――――
「あ、いてて…こんな落ち方するんだ…」
橙はきちんと俺がキャッチした。
こんな落ち方してたんじゃ、いつか骨折でもしてしまいそうなんだが…。
「普段はこんなこと、紫様はしないと思うけど…。多分、サプライズだよ」
「そ、そうか、毎回こんなことされてたらたまったもんじゃないから、聞いて安心した」
土ほこりを払って立ち上がると、変わらない青空が見えた。
ブゥゥゥ!!!
と、同時に何か奇妙な音が聞こえた。
振り返ってみると、身長の違った三人が湯飲みを片手に、お茶を噴出していた。
あぁ、なんとなくわかった…。
「ど、どうも…」
そりゃ、のんびりお茶を飲んでいたのに突然人が現れたらそうなるわな。
俺が八雲家の三人と縁側で過ごしていたなら、同じくお茶を噴出すはずだ。
軽く頭を下げて、ここから立ち去ろうと思った。
「神無、大丈夫だよ。知っている人だから」
「あ、そうか、良かった…」
さすがに不法侵入とかで捕まるかと…。
改めて三人を見る…と、帽子の目玉が忙しく動いているのが気になった。
「あ、八雲藍さんの式神さんですね」
「お久しぶりです」
俺は、その帽子をかぶっている女の子と目が合っている。
というより、帽子の目玉と目が合っている。
発泡スチロールに黒いインクをたらしているわけじゃないらしい。
「………」
「……」
二人は沈黙する。
「橙さん、そちらの方は?」
「白鳥神無と言って、現実の世界から来た方です」
俺の傍では橙が変わりに自己紹介してくれているのが聞こえる…けど…。
気になる、とても気になる…。
「やっぱりそうでしたか!服装からそう思ったんです」
俺の高校の制服姿を見て、ニコニコ笑いながらそう言った。
「な、なぁ…その帽子、一体なんなんだ…!?」
先ほどとは距離を詰めて、じっと睨みつけて疑問をぶつけてみた。
「これ、私の本体」
帽子が本体って…。
すぐにでも壊されてしまいそうだな。
「君の体は偽者なの?」
「そうだよ~。だから、この帽子は大事なの」
と言って両手で帽子を抑えて笑顔を見せる。
「そそそ、そうなのか…。帽子が生きている世界か…。なんでもありだなぁ」
帽子の目玉は、俺に焦点を合わせたままで、不気味だった。
「神無、この人、現実世界にいた人間だよ」
橙が服の袖を引っ張って、女性を指差す。
「え、まじか」
緑色の髪と、巫女服に身を包んだ女性を見つめる。
「…そうは見えない…」
「あ、あの、その服装からして、高校生ですよね?」
「そうだよ」
かたっくるしい制服を、無理矢理引っ張る。
「そうですか、こちらへ来たのは最近なんですか?」
「うん」
早苗は「そうなんですかぁ…」と瞬きして、俺の姿をもう一度確認する。
「あ、そうでした、私は東風谷早苗って言います。」
「さっき橙が紹介した通り、神無って言うから、よろしく」
早苗は笑顔を作った。
果たして、これが巫女という役割での笑顔なのか、それとも現実の人間と言葉を交わしたことへの喜びなのかは、定かではない。
「現実の世界の人としゃべるなんて久しぶりで、すごく嬉しいです」
どうやら、後者が正解だったみたい。
「そっか、俺も現実の世界の人と会えてよかった」
これは本音である。
この世界では色々な種族が混じっていると言っていたが、本物の人間と最初に知り合えるなんて願っても無いことだ。
これは幸先がいいかもしれない。
この人も、あっちの世界で色々と苦労したんだろうな。
なんだか重い話にでもなりそうなので、事情は聞かないことにした。
この幻想郷へ来る意味…か。
「はい!じゃあ、この神社の神様と、その隅に祀られている神様を紹介しますね」
「か、神様…!?」
隣に座っていた二人へ視線を送ると、二人は頷いた。
か、かかか神様が普通に暮らしているなんて…。
さすが、幻想郷である。
「そうですよ、右から、八坂神奈子、洩矢諏訪子って言うんです」
「よろしくね」「これからよろしくな」
「神様」その言葉の途端、自分の無礼な行動を後悔した。
「すすすすすいません、神様とは知らなかったもので…」
「私、祟り神だから、祟っちゃうよ~?」
先程、帽子を睨み付けてしまったのだった。
こ、これは幸先悪いかもっ!?
「勘弁してください…」
両手を地につけて、頭を下げた。
必殺の土下座である。
「冗談だよぉ、大丈夫大丈夫。だから頭を上げて」
そういわれて顔を上げると、その神様は舌をペロッと出して笑っていた。
「あ、良かった…」
「その、俺は白鳥神無って言うから、今後よろしく…お願いします。加奈子様、諏訪子様…」
「にゃは、神無が改まっているところ、面白い」
隣にいた橙に茶化されて、更に恥ずかしくなった。
「神様だからさ・・・」
橙は「それじゃあ!」と後ろを振り向いて、青空と緑の壮大な景色を見渡した。
「幻想郷を案内してって言われてるから、幻想郷の紹介するね」
「よろしく、ここが何処だかいまいちわからないし」
八雲家もこの景色のどこかにあるのかな?
「ここは幻想郷で一番高い、妖怪の山の頂上、洩矢神社っていうところなの」
確か、あの帽子の子って洩矢諏訪子様ではなかったっけ…。
本当に、本当なんだね。
「そっか」
山から下を覗く。
建物がちらほら建ってはいるものの、現在の日本のようなものではなく、自然と融合している感じがする。
八雲家らしき建物は見えない。
「すごく、緑がいっぱいある世界だね、あっちの世界とは違って、すごく空気が澄んでいる気がする」
あっちは工場やら住宅街やらで、空気が澄んでいるように見えて汚い。
本当に澄んでいる所へ来るとなおさらわかってしまう。
「私も初めて来た時、そう思えました」
俺の言葉に、早苗も同感と言ってくれる。
「じゃ、神無、次いこ」
橙が服の袖を引っ張って、神社の表側へ回ろうとした。
「あ、早苗、諏訪子様、神奈子様、また!」
「また来て下さいね~!」
「じゃあね~」「またな」