それから数日が経った日。

アヤとメコと風の共同生活は意外にも続いていたのだった。

「パパ起きなさい」

「パパ、おーきーてーよー」

「や、柳さ…パパ、起きましょう?」


なんだろう、パパという呼ぶ名が固定になってしまっているような気がする。

というより、メコは「柳さん」と呼ぶようになって間もないのに「パパ」になってしまっているような…。

周りのノリに流されていないだろうか。

柳はゆっくりと目を開けて起き上がる。

体の上には風、横にはアヤとメコがじっと柳を見つめていた。

「あはは、毎回思うけど、起こしにくるのに三人はいらないんじゃないかな…?」

「では、私が毎朝起こしにいくとしよう」

ふふんっと勝ち誇った顔で言うアヤ。

何をどう勝ち誇ったのか知りたいものだ。

「やだ!パパを起こすのは私だもん!」

反面、だだをこねる様に希望する風。

こちらもかわいげがあって、つい頷いてしまいたくなる。

「わ、私は数年前から柳さ…パパをずっと起こしていますし、私が適任だと思いますっ!」

と、二人には詰めることができない、長年過ごしてきた生活を武器として使うメコ。

「メコ、多分、柳さんでいいと思う」

そう提案してあげる柳。

「私だけやですぅ~!」

ぷーっと頬を膨らませるメコも、風並みにかわいげがあるのだった。

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