「さすらーい、サラー大丈夫かー?」
「なんとかのぅ・・・これもアツキのおかげじゃ」
「ふぅ」と汗を拭う。
「ま、まぁ・・・なんだ、ありがと・・・よ」
人間の姿に戻ったサラが少し恥ずかしそうにそう言い、倒れたドラゴンを見渡した。
「・・・ボス、久しぶりだな」
一匹のドラゴンを発見すると、近寄ってそう呟いた。
「お、お前はやはり・・・黒い鱗を身にまとった・・・サラ・・・」
「そうだ、お前に追放されたドラゴンさ・・・」
「・・・・く、なんとも・・・苦しい運命だ」
サラは勝ち誇ったように笑っていた。
「サラ、そんぐらいにしとけよー」
「ほいほい」
「じゃ、俺は先に町へ戻ってる」
次には表情を変えて、手を振りながら町の路へ着いた。
そんな姿を二人は呆然と見つめる。
「さすらいお疲れー、何か、色々と世話になってすまないな」
「何、アツキが気にすることではない。我の判断じゃ」
「帰ったら、何か奢るよ」
「良いというておろーうにぃ・・。まぁ、仕方ないノゥ、楽しみにしておくぞよ」
「おっけーおっけー!」
グットラークポーズ。
二人はトボトボと町へ歩んでいたとき、
前から女性が走ってくるのが見えた。
「む、あれはサラ殿ではないかのぅ」
目の利くさすらいが呟いた。
「なんでサラがこっちに?」
さっき町へ走っていったばっかなのに。
サラの先にはすぐ町が見える。
「ふむ・・・」
「おーぃ、サラぁ・・・」
手を振って叫んだものの、サラは返事も返さずに、ものすごいスピードで横を通り過ぎた。
「お、ぉい、さら!!」
振り返った目の前には、彼女の背中が映るのみだった。
「・・・?」
ど、どうしたんだろ・・・?
「アツキ、町の様子がおかしいのじゃ」
町へ急いでみると、騒がしく何かを言っているのが見えた。
「もう二度とくるんじゃねええ!!」「カエレ!!カエレ!!」
武器を持ったそれぞれの町の住人がそう叫んでいた。
「お、おぃ、どうしたんだよ・・・」
「おぉ、ドラゴン達を追い払ってくれた勇者よ!!聞いてくれ、さっき人間に化けていたドラゴンがまた町へよってきたから、追い返してやったんだ」
「あいつはきっとスパイだぜ!」
そして、あの出来事が脳裏に浮かんだ。