切り裂くような風が町へ流れた。
「ドラゴン族じゃな、御主…この町へ襲撃をかけるとはどういうつもりじゃ」
さすらいは…きっぱりと、すごかった。
青空の雲に隠れて急降下して、この町へ襲撃をかけようとしたドラゴンをさすらいは認知して、剣をむけて防いだのだ。
「ふん、貴様、できるな」
「御主…何が目的じゃ」
隣で、サラが真剣な眼差しをむけているのに気がついた。
「サラ?どうした」
同じドラゴン族だからだろうか。
「あいつらは、俺を捨てた群れの奴らだ」
「…そうか…ん?群れ?…ドラゴン族は群れで暮らしているってことは…もしかして…。」
ある予想が脳みそをよぎった。
サラは頷く。
「多分、この町に群れが近付いてきてるんだ」
キィッと鋭い目つきへと変化する。
「ほ、本当か!?」
「この町を襲撃する気なんだ。多分、食料調達のためだ」
「っ!?早く止めなければ」
「貴様に話すギリはない、邪魔をするのなら消すぞ」
「ふむ、やってみるがよい」
X字に重ねた剣を左右で切った途端、ドラゴンは吹っ飛んでいった。
「アツキ、ドラゴン族で近付いているようじゃ、早く止めないと、こんな小さな町などひとたまりもないぞ」
「く・・・。戦闘はやむおえないのか」
懐の剣を抜き、町の外へと移動しようとする。
「アツキ、俺が行く」
「え?」
「アツキは戦いが嫌いなんだろ?だったら、俺が行く。あいつらは俺を捨てた群れだ。一泡吹かせてやりたいんだ」
「サラ、今ここでドラゴンになっては・・・っ」
俺の忠告は耳に届かず、サラは黒い美しい鱗を身にまとったドラゴンと化した。
「うぁああ、ドラゴンだ!」「なんだ、この町へ襲撃しにきたのか・・・!?」
町から人々のそれぞれの感想が述べられるが・・・。
「行ってくる」
すさまじい風を残してサラは行ってしまった。
「我も行くぞ、アツキは町の人々を避難を頼むのじゃ」
「あ?あ、あぁ・・・」
勇者として情けないと思いながら、被害が出ないように人々へ声を掛けた。
「今、ドラゴン族がこの町へ襲撃をかけようとしています。みなさん、避難してください!!」
・・・・・ドラゴン族の群れVS二人。
力はかなりの二人だが、数に勝てるのだろうか・・・。
「・・・」
町へすぐに無人と化し、俺の仕事は終わってしまった。
「俺も行くか・・・」
町へ出て、さすらいの方向へ向かって数分、二人の姿が見えた。
地上と空中、40頭を越しているドラゴン達を相手にしていた。
さすらいは地上から敵を踏み台にして空中線へと移ったり。
サラは空中から強烈なパンチを繰り出したりして・・・。
二人は時々、肩をあわせながら戦っていた。
「・・・く、やはり数が多くてややこしい、ドラゴン族のHPは桁違いじゃ・・・」
「俺もさすがに・・」
切りと蹴りで一瞬の息をついた二人は呟いた。
しかし、その間はドラゴン族の作戦であった。
40程のドラゴンは、先ほどの戦い方とは違い、体勢を整えて一気に押し寄せてきた。
「な・・・!一番避けたかったのじゃが」
「上等じゃねぇぇか!!」
俺は地に手を着けて、大地へと魔力を送り込む。
ノーム!
「・・・!!」
ドラゴン達は身動きがとれず、その場でもがいているのを確認できた。
「アツキ・・・!よくやったのじゃ」
ノームの大地の力を借りて、ドラゴン達の足を掴んだのだ。
おかげでドラゴン達にスキができ、さすらいとサラは絶好のチャンスを見逃すはずがなく。
数分して、ドラゴン達は一掃された。