「アツキー話は終わった?」
「うん、さ、次の町へ行こいこ」
じーと俺を見つめる魔王。
「アツキって、昔の友人どれだけいるのよ」
「・・・ざっと30人以上はいるけど」
「ど、どうしてそんなに?」
「父親が、傷ついた魔物や、両親を失った魔物とかをよく家に連れてきてたんだ」
「・・・だから、あなたの友人はあなたに好意的なのね」
「そっかなぁ・・・まぁ、父親の面が大きいんだけどね」
「あの銀狐もそうなの?」
「俺が住んでいた近くには狐の里があってね、そこの子狐達とはよく遊んでたんだ。それだけさ」
「シャルロは?」
「シャルロは父親が連れてきたんだよ。シャルロは元から力が強くて、ユニコーンの頂点に立つ奴だったんだけど、そのプレッシャーに負けてしまい、種族を追放されたんだ」
「そう・・・シャルロからそんな話、一切聞いたことはないわ・・・」
「話したくない過去もあるさ、さ、次の町へ行くぞ」
「わかったわ」
・・・・。
「この旅の中で、後どれぐらいの友人に会えるかな」
アツキはそう呟いた。
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「・・・アツキ、さっきの銀狐は多分、娘を封印すると同時にあなたの記憶を送り込んだんだと思うの」
ずーと考え込んで無言であった魔王がそう切り出した。
「そうなの?」
「推測に過ぎないけど、多分そうだわ」
「そっか・・・そうなのか・・・」
「つまり、昔も今も、あの銀狐はあなたのことを信用していたのね」
「なんか、嬉しいな」
そうだとしたら、ナミの行動にも合点いく点が見られる。