翌日、風の町を後にして、俺、魔王、シャルロは次の町へと歩いていた。
「シャルロ、着いてくるの?」
「えぇ、折角助けに来た+会えたんですから」
「そ、まぁ、アツキの古き友人らしいし・・・ね」
コクンと頷く魔王。
「え、いや、ですから魔王様も「殺すわよ」すいません・・・」
「昨日から、何の話してんだ?」
二人は昨日から黙ったり黙らせたり・・・。
「アツキは気にしないでいいのよ」
プンプンといった表情で、腕を組む。
「ま、まぁわかったよ・・・って・・・おい、ちょとまってくれ!」
二人を置いていき、俺は木陰に倒れている少女を見つけた。
「ぼろぼろじゃないか・・・一体何があったんだ」
上半身を軽く起き上がらせてみると、少女は薄っすらと目を開けた。
「大丈夫かい…?」
肌色の髪の毛がとても特徴的名少女は俺を見つめた。
「助け・・・て・・・」
「わかった、俺がなんとかするよ」
異変に気付いた二人は、すでに少女の元にいた。
「私が治療します」
ユニコーンの角が白く光り、治療魔法を彼女にかけると・・・。
強く瞑っていた瞳は少しずつ和らいでいた。
「よ、よかった・・・さんきゅ、シャルロ」
「いぇ、それより、この子を安静な場所へ連れて行きましょう」
「よし、とりあえず宿屋へと連れて行こう」
「ちょっと歩いたところに町があるわ、そこで待機しましょう」
シャルロは少女を背中に乗せて、なるべく衝撃を与えないように注意しながら走った。
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「大丈夫かな・・・」
宿屋のベッドへと寝かしてやると、傷の痛みが和らいだのか、心地よい寝息が聞こえてきた。
「よかった・・・生きてて・・・」
ベッドの隅で安堵の息。
「アツキ・・・」
「さて、これからどうしましょうか」
「・・・とりあえず、食材の買出しにいってくるよ。この子が起きたら食べさせてやりたいから」
「私も一緒に行くわ」
「・・・わかりました、私が見ていますね」
「頼む、治療魔法が使えるのはシャルロだけだからな」
「・・・一応、私も使えるわよ」
「えっ!?魔王なのに!?」
「水属性の魔法にも、回復魔法があるのよ」
「あぁ・・・なるほど」
「さぁ、おしゃべりはこれぐらいにして行くわよ」
「わかった」
俺達は宿屋を出て行って、食材の買出しを始めた。
「ねぇ・・・アツキ」
「ん?」
「あの子には、とても強い魔力を感じたの・・・もしかしたら、危険な子かもしれないわ」
「それでも・・・さ、傷ついている人を、俺はほおっておけない」
「・・・そっか、そうね・・・」
魔王は少し立ち止まった。
「やっぱり・・・あなたはあのアツキなのよね」
小さな声が聞こえた。
「ん?なんかいった?」
「いぇ、さぁ、早く食材買い出しにいきましょう」
「おぅ・・・スープ系がいいかな」
よし、今回はトマトを煮込んでトマトスープでも作ろうかな!
「新鮮なトマトがいいな」
「なんかいい顔してるわね」
「・・・まぁ、救えたからな」
昔、救えなかったものを今は救うことができる。
俺にも、人を守れるようになったんだ・・・。
「さて、早速戻ってトマトを煮込むぞ~!!」
エコバックにたくさんに詰まった食材を持って、自分の部屋のドアを勢いよく開けた。
「ただい・・・・・っ!?」
笑顔が瞬間、恐怖と驚きに変わった。
部屋の窓が派手に砕けており、シャルロは気を失っていたのだ。
そして、ベッドに寝ているはずの少女は消えてしまった。