――――――――回想
昨日の僕と同じように、自分は、でかい館の前まで来ていたのだ。
幼い頃の記憶なのに、紅魔館は、一つも変わっていなかった。
そして、門の前で見張りをしているメイリンも、同じように一つも老いてなく、居眠りをしていた。
自分は何も気にすることなく、好奇心というだけで、門を開き館の中へと入っていったのだ。
中ではパーティーが始まっており、たくさんの妖怪が来ていた。庭師のメイリンが、門の前で見張りをしている理由がわかった気がした。
なぜか、自分は誰にも捕まることなく、館の中を走り回っていた。
そして、ある廊下。
「あら・・・?こんなところにチビっ子がいる」
紫色の髪に、紫(ゆかり)と同じような帽子・・・レミリアだ。
「に、人間だわ・・。こんなところに人間の子供がいたら、すぐに食べられてしまう」
服の首を手で自分ごと持ち上げて、レミリアがそう言った。
「あなた・・・名前は?」
「あまた・・・あるじ。お姉さんは?」
その一言で、レミリアの眉間にシワが寄った。
「天田・・・あの天田ね・・・。だったら、ここで殺すべきかしら?」
「お姉さん、名前は?」
自分は殺されようとしているのにもかかわらず、他人の名前を気にしていた。
「ま、最後の願いを叶えてあげるわ」
先ほどと同じように、一つ間をあけて
「私は、レミリア・スカーレット。この館で、一番偉い人の名前よ」
それだけなのに、幼い自分は満面の笑みを浮かべて
「じゃあ、あだ名はレミーだねぇ」
無邪気な自分に、僕はハラハラしていた。
「殺される寸前なのに・・・・そんなのうのうとしていられるなんて、人間の子供は脳みそがないのかしら」
言っている事がわからないのか、首をかしげた。
今すぐにでも助けに行きたいところだが、そんなこともできず、僕はただ、見ているだけだ。
「ふん、私に殺されるより、フランに壊されたほうが、良さそうね・・・」
フラン・・・?さっき、レミリアが言っていた・・・・・・あのフラン・・!?
不気味な笑みを浮かべて、自分を片手に、パーティー会場を通り過ぎて、重たい扉を開いた。
―――――――そこで、僕の記憶は途切れてしまった。
多分、レミリアとの出会いの記憶だけで、続きは、別のキーワードで思い出すんだ・・。
「主?聞いてるの?」
「ぇ・・?あ、ごめん・・聞いてなかった」
「アハハッ」と簡単にごまかして、もう一度話を戻してくれた。
「ま、そんな重要なことじゃないけど、あんた、今恋人いるの?」
「え・・・・?い、いないけど・・・。どういう意味だ?」
レミリアが一つ溜息をつく。
「覚えてないならいいけど・・・」
・・・・まぁいいや。僕はそんなことより、記憶の続きが気になる。多分だが、この館から、地下へと続く、あの重たい扉の前にくれば・・!
「レミー!僕、ちょっと、地下へ行って来る」
少し、冗談を混ぜてみた。
「レ・・・レミー!?あなた、本当におぼえ・・」
返答も聞かず、僕はベランダから走り去った。
「レミー・・・。なんか、すごく懐かしいように思えるわ。十五年ぶり」
「何があったの?」
「色々よ。私、主を殺す気まんまんだったからなぁ・・・十年前の数時間までは」
end
レミーのおいしいレストランが始まるよ。
てか、もう定期テストで忙しいw